Ep1「Time」
Red Shield
作者:Apple 10, Helen Midori, Powell X
※初心者故に文脈や言葉に偏りや誤りがあるかと思われますが、ご理解頂けると有り難いです。
-プロローグ-
ねぇ、おかあさん。
一つの言葉は私と母親の食事風景を少し切り裂く。
どうしたの?
母親が橋の先端を口に入れながらぽかんとした顔で聞く。
いや、なんでもない。
なんでもないよ。きっと。
きっと今の環境をどうとは思わないだろうし、私も満足してるよ。
でも、きっと、ごめんね。
強くなるから。
- Ep1「Time」-
今日はどうしようかな。
初夏のとある日、待ちゆく空蝉を眺めながら近所のコーヒーショップの窓際、アイスコーヒー一杯250円をストローで突くように飲みながら冷房を浴びる。
ある意味では至福であるが時間は午後13時15分。隣の席の男はパソコンを触りながら資料を作っているのだろうか、また3席となりの老婆は私と同じように初夏の熱気に耐えられず自分と同じ境遇か。
いずれにせよ学生は自分だけのようだ。
それも当たり前だ、今日は水曜日だし"同級生"とよべる人達はテストという名の夏休み手前に待つ苦い空気の真っ只中だ。
じゃあ私は何してるの?
何もしてない、てかそもそも学校になんて行ってない。でも別に罪でもないじゃん。
少しの背徳感を背後に私は時々ここに"通っている"訳だし。
あ、でも1年はパスしたし、いいよね?
まあ、2年の初めから行ってないけど。
頭の中で自分と自分の中の天使ちゃんが語りだす。
そうだよこれが私だから。
でもテニスは続けたかったかな、大会直前は厳しかったけど楽しかったし。ラケットまだ部屋に置いてあるよ、もう触ってないけど。
でもこんなボケボケしてるならバイトぐらいしないとって思う。コンビニでもやろうかな。
そうこう自問自答しながらスマホで動画見たり。不自由の中の自由の時間に浸りながら時間は午後16時30分。
今日もあの子くるのかな。
と考えていると方をトントンと叩いて妖精の様な…笑みで私を迎えてくれるのは一応同級生の龍崎彩菜ちゃん。
「朝日ちゃん今日も居た〜3日連続は珍しいね!」
いつ見ても可愛い…銀髪で長髪、ちょっとタレ目なこの子は同じテニス部の子…だった。
私が辞めた一週間後に辞めちゃったみたい。
彩菜ちゃんの帰り道にこのお店があって、登校していた当時に同じ帰り道だからって良く一緒に入ってたから大体わかる。
「今日は14番席じゃないんだね?」
あたしがいつも座っている席の番号を知っている。私が14番で彩菜ちゃんは13番、大体いつもそうだった。
「まあ今日はサラのおじさん居たからね」
そういえば動画見てる間にいなくなってた、気づかなかった。
「じゃあ私が今日は14番ね」
この時間、結構好き。
少し時間を潰して帰り道。
私はいつも乗り回している自転車を手に歩きながら彩菜ちゃんと一緒に帰る途中。
「朝日ちゃん籠もってる割には背高いよね…わたしも朝日ちゃんぐらいにはなりたいなー」
「あはは!彩菜ちゃんなら直ぐいけるって。だって兄貴があんなにデカいんだし」
「ああ、まあお兄ちゃんは確かにね…」
「最近仲良くしてる?」
「うーんどうかな…」
「まあ兄貴硬そうだもんね」
「あれ?朝日ちゃんお兄ちゃんと話したことあったっけ?」
「いや、ないよ(笑)。第一高校遠いじゃん、会うタイミングすらないし。」
「確かにそうだね(笑)。でもわたしと一緒いるのに会わないのも珍しいかも…」
「きっと磁石みたいに反発する感じなんじゃないかな(笑)」
「あはは…確かにそうかもね…」
そんな事を駄弁っていると彩菜ちゃんの家の前に。
「じゃあ朝日ちゃんまた明日ねー!」
玄関前まで上がったところで彩菜ちゃんは満面の笑みで手を振りながらそう言ってくれた。
「うん!!また明日…ね(笑)」
明日って私はまたあそこで待ってろって事か(笑)
そう言って彩菜ちゃんを送った後、一人の帰り道。私は考える。
別に幸せでもないけど、不幸でもないかな。
そんな事を考えながら母親に言われた"お使い"咄嗟にを思い出す。
「あっ!トイレットペーパーとコーヒーパック買い忘れた!」
不意に声が出たことに少し慌てるが実はいつも買い付けにしているお店は通り過ぎてしまったのだ。こうすると彩菜ちゃん方面に戻らなくちゃいけない。
ま、いいっか。自転車を飛ばして逆走する。
到着した時は午後21時。
買い物を済ませたあとに駐輪場スペースにて
「(ちょっと帰り遅くなっちゃうかな…)」
そう思った私は母親に連絡しようとした時。携帯越しに遠くぼやけて見えるが背の高い男に直ぐに気がついた。彩菜の兄貴、龍崎英史だ。
そう思ってるのはあっちもこっちに気づいたのか目を細めてこちらを見てくる。
言葉は無いが、おそらくこれが奴とのファーストコンタクトなんだろうか(笑)
奴はこっちを不思議そうに目を細めながら自転車カゴに買った物を入れて出ていった。
「(やっぱなんか感じ悪そうだな…)」
そしてやるべき順序を思い出して私は少しポカーンとした状態を取り直して母親に連絡した。
「ああ、ごめんね。これから帰るね」
「朝日ちゃん明日もあそこいるかなー」
わたしは湯船に浸かりながら今日の出来事を少しだけ振り返る。
「そうだ、どうせ暇だろうし夏休み遊び誘おうかな(笑)」
風呂場という自由空間の一つに独り言が響くように飛ぶ。
「メッセ送っとこ、「朝日ちゃん夏休み暇?笑」」
そう打つメッセージの裏にある楽しみを胸にシャワーをを少し浴びて風呂場を後にすると。
ガチャン
玄関の音が聞こえる、この時間に帰ってくるのはわたしの兄だけだ。
「おかえりー」
風呂場から玄関まで少し距離はあるが、そう言ったものの返事がなく階段のあがる音だけが聞こえる。
「(お兄ちゃんまた返事してくれなかったな…)」
リビングに戻ると、母親がソファの上で体を横にテレビを見ながらだらけている。
「お母さん寝る時はちゃんとベッドで寝てね。」
「んあ…くぁかってるわよ…」
眠気で呂律が回っていない言葉を後にノロノロ階段を上がって部屋に戻る。
母親が後にしたリビングはそこから伸びるキッチンの光だけで少し不気味なものの水を飲んだコップを洗いながら明日の事を考える。
朝日ちゃん明日もいるといいな。
そうするとリビングの照明スイッチを押す音がペチンと響いて風呂後にした私の兄が現れる。
「あ、お兄ちゃんお疲れ様。最近塾忙しい…みたい…だね」
兄はいつも少し暗く、真剣なのか分からないけれど眼鏡をかけているその顔は硬派と言うべき雰囲気がある。
「まあ、な」
そう言ったあと。
「今日、お前の友達にあったぞ。」
少しだけドキッとしてしまうその言葉の後を待つように兄を見ると。
「ど、どうしたんだよ…人殺しみたいな目で見るなよ」
「い、いやぁ、ちょっと気になっただけだよ」
「朝日とか言う奴だろ?お前の同級生だよな?スーパーの駐輪場でボケっとこっち見てきたからすぐ分かったぞ」
「あ、あそうだよ!てかボケっと見てたんだ…
」
「まあ、な(笑)」
少し微笑むその兄の顔を見ると少しだけ安心感を覚える。
兄は最近勉強が忙しいのか真剣な顔で無愛想になっている様な気がしてならない。
きっと疲れているのだろうか、それとも何か隠しているのだろうか。私は最近兄が少し怖い。
故に笑ってくれたりすると嬉しい。
「あ、そうだお兄ちゃん。よければ…夏休み一緒に遊ばない…?」
向こう見ずでも最近兄の態度で出来てしまった家の空気は何とかしたかった。
「ああ、そうだな。考えておくよ」
少しはポジティブな返事を貰えたのだろうか。
でもたぶんそんな時間はないだろうし、兄は受験生でもあるから余裕はない故の最大限の返事だろうか。
「まあ、無理は言わないけどね。よければ遊ぼうね。」
「ああ」
そう言って兄はリビング後に階段を上がっていく。
きっと今より良くなるよね。頑張るね。
- Ep1「Time」 END -




