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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

死神と天使

作者: 黒キ万華鏡

1つ

2つ

3つ

どれだけの命が散ったか、もう分からない

その中に俺の仲間も、居たのかも知れない

殺人鬼、悪魔、死神

俺を呼ぶ名前は様々だが吐き捨てられる言葉でしかない。倒せない敵を前に口だけでもと吐き捨てられる言葉のナイフ

傷付かない、傷付けない。似ている様で全く違う。

俺はどちらだろう?

心に何も響かないから傷付かない?

仲間の、国が殺させない為に殺したんだ傷付けないだろ


「死神っーー!」


「勝利の天使か。」


「よくも仲間を!殺してやるっ!」


殺気で空気が重い

でも軽い、まだ、まだまだ足りない

もっと、もっと


「血を寄越せ」


敵国の隊長フィリー・ユナイフル、勝利の天使を敵味方の血で染め上がった大地に追加していく

勝利の天使は全長1.2m刀身の厚さ2cmの細剣

死神は全長3m超刀身の厚さ1.8cm大太刀

勝利の天使はスピード重視の軽い剣を速く放つ女

死神はパワー重視の重く流しにくいそこそこ速い剣を放つ男

どちらが強いかと言われればやはり長期戦になるほど男が有利だろう


「っ!はぁはぁ」


「その程度か、天使。俺を殺すのでは無かったのか?」


「わた、しは」


「敵国に行ってまで俺を殺したいのか?いや、当然か。心友を殺したのは他でもない俺なのだから」


「/////死神っー!」


咆哮のように叫び真っ直ぐに突っ込んでくるのは正面から本当の事を聞きたいから。貴方が私達の心友を殺したのは上の命令だったからだと、そう一言聞く為だけに私は自国を裏切り貴方が出る戦争に参加しているのだから

貴方が私を天使と呼ぶ度に目の奥のほんの一欠片が揺れているのが分かっているからこそ正面から向かっていける


「しまっ、っ!」


細剣を弾かれ後方に飛んで行き地面に突き刺さった

勝利の天使は武器を無くし細剣が弾かれた衝撃で吹き飛ばされ地面を数回転がって止まった

死神は警戒を怠らずゆっくりと歩いて勝利の天使に近づく大太刀をゆっくりと上に振り上げ振り落とす


「る、な」


グサ


「・・・このまま気絶してる所を放置すれば死ぬだろうな。なぁツバキ、俺は、何故心友を2人を殺さなければならないのか」


心友はスパイの容疑がかかり上から殺すように言われ俺が一突きで殺した

せめて痛みや苦しみを感じさせない様に背後から麻痺毒を塗った短刀を心臓に突き刺して殺した

後々スパイでは無かったと言われた時俺は決意した、フィリーには真実を教えないと

そして今の前で気絶しているフィリーだ

フィリーは敵国として出陣している

フィリーは敵だから殺さなくてはいけないんだ

なのに俺の、フィリーが仲間だった時と同じように俺のルキナの名を呼んだから

手元が狂って首横を掠る程度しか当たらなかった、当てれなかった


「フィリー、どうして、どうして敵国に、いや。俺がツバキを殺したから復讐だよな・・・復讐、俺が死ねばツバキの最後の願いは叶えられない。どうすればいいんだ」


ツバキは俺を殺した事を気にするな。思い出して泣きたい時は泣けってのとフィリーを頼むと言って死んで逝った

そしてもう1つ、ツバキは俺に生きろ、死ぬなと言った

ツバキはフィリーが好きだった。庇って死んでもいいという程に愛していると酒の席で言っていた

だからこそ俺はフィリーにはツバキはスパイに殺された、敵国を許すなと嘘を言った、俺を許すなと壊れるなと

フィリーが俺を殺して少しでも恨みを晴らせるのなら死んでもいいと本気で思っている

それでも俺に言ったツバキの言葉が俺を生きなければと思わせる、そうさせる

どうしたらいい?どうやれば、2人の願いを叶えられる?


「隊長ーフィリー隊長ーフィリー隊長!!っおのれー!死神っーーー!」


「黙れ」


グチャ

ブシャ


「ん、熱い、っ!血、が。ルナキっ!」


フィリーの顔に血がかなり掛かったことで起きてしまった

さっさと離れて放置していればさっきの奴がフィリーを連れて帰って治療してくれたのに

あぁそうか、考えてみれば分かったことだ。今来たのがフィリーの仲間じゃ無ければフィリーは生け捕りで連れて行かれるかも知れなかったからだ

敵国の隊長ともなれば捕虜にすればいい手札になる、もし要らなくなれば国家反逆罪、裏切り者として打首になるかも知れなかったからだ


「フィリー大丈夫だ俺が守ってやる、だから、眠れ」


「あ、あぁ。ルキナ、帰って、来て、くれた、んだね。うん、おや、すみ」


「フィリーの頭を撫でたのは久しぶりだ、血が付いてるのに柔らかくて心が暖かくなるのは変わらないんだな。」


「ルキナ様ー!」


「ロウか」


「ルキナ様!え!?その方はフィリーさん、ですよね?」


「・・・あぁ」


「ルキナ様も裏切るのですか?フィリーさんと同じように」


「・・・」


「そう、ですか。分かりました、死んで下さい」


ロウは裏切るか聞いた。答えない死神の俺を狙うのではなく勝利の天使であるフィリーに向けて地面を蹴り一気に距離を詰め目を瞑って短刀を振り下ろした

考えるより先に身体が動いた、この時は何故かは分からなかったけどな


「フィリー!」


ロウは短刀の感触が早かったのが疑問に思い目を開けて目の前にいる俺に驚き短刀から手を離した

俺がツバキを殺した時に使った物と同じ麻痺毒が使われているのを知っているからこそ俺は死を覚悟し、頭に浮かんだ不安と心配と願いを震える声で伝えた

痺れて上手く声が出せなくなっていくのを感じながら死ぬ前にと声を絞り出した


「フィ、リー、を、ころ、すな。ロウ、お前、は、間違、て、いな、い。泣く、な。フ、リー、をたの、む、ぞ。ロウ」


「はい!はい、わかり、ました。最初で最後のお願いを聞きますから!お願いですから死なないで下さい!ルキナ様!」


「わ、り、眠ぃ」


懇願されたのは久しぶりで少しだけ俺は慕われていたのかも何て呑気な事を考えながら手を動かす

手に全神経を注いで泣き顔なロウの頭を撫でた

一往復も出来なかったがもうその時には真っ黒で何も感じなかった



何も無い空間をさ迷う、何も無い、何も感じない、これが地獄かと微笑む

ふと掠れて聞こえにくいほど小さい声が聞こえた


フィリーを頼む


ツバキを殺した時の・・・フィリーを頼むと言われた時からずっとフィリーを見てきたんだ

でもだからこそ俺はフィリーの代わりに死ねた事に後悔はない


「フィリーを庇ったことを後悔してない」


生きろ、死ぬな


「悪いな、フィリーを守った事で死んでしまった」


生き返るなら何がしたい?


「こんな質問無かったのに、生き返ったら。そうだな・・・もし出来るならフィリーに真実を伝えて許されるのなら一緒にツバキの墓参りに行きたいな」


フィリーの事どう思ってる?


「質問尽くしか、いいぜ、付き合うよ。フィリーの事は心友だと思ってる。詳しく言うなら努力と鍛錬を怠らず前を見据えていて闇を知らない優しい奴だと思ってるぞ」


ククッ質問を変えようか。フィリー・ユナイフルを愛しているか?


「愛しているか?」


愛して、いるのか

どう、だろうか、愛しているのだろうか?

確か昔ツバキが教えてくれたな

恋愛感情を確かめる時は、1つその人の事が頭から離れない、2つ離したくない離れたくない、3つ自分を犠牲にしてでも庇えるか

犠牲にしてでも・・・愛してる、のか


「/////あ、愛して、愛している!フィリーを愛しているぞ/////」


ククッストレートに言えるのはルキナのいい所だ。ルキナ、俺を切り捨ててフィリーを選べ


「ツバキ、何をするつもりだ」


勘が良いのは分かるけど大丈夫だ目を瞑れ

フィリーを思い浮かべて、そう、それでいい

ルキナ、フィリーを大切にな


「ツバッ!」


ピチャ

ピチャ


「っー」


声が出ない、身体も動かない

目は、ボヤけてるけど見えるとは言い難い、気配も温度も感じない


「居なく、なら、ないで」


フィリーの声だ!フィリー泣くな、フィリーが泣くのは嫌だ


「っ、っ、ふ、り」


「ん、る、な。ルキナ!はぁはぁ」


「ふぃ、り」


「る、きな?ルキナ!良かった、良かったよぉ〜」


あー痛覚は無くて良かった、フィリーは感情が高ぶってる時は加減ってものを知らないからな

指の1関節すら動かせない、ピクリともしないからフィリーを止められない。息出来なくて本気で死ぬ


「ふぃ、りー、ゆる、め、て」


「ごめん!ルキナ痛かった?」


「ゴホゴホ。だ、じょ、ぶ。」


「良かったぁ〜」


コンコンコン


「ロウですフィリーさん入りますよ。ルキナ、様?ルキナ様!」


「抱き、付くな、ロウ」


「起きてくれた事が嬉しくて、つい」


「2度、目は、ねぇ、ぞ」


「はい!」


「2人、共、あの後、どう、なった?」


「フィリーさんが起きるまでは僕が話します」


男に抱きつかれても嬉しくねぇ

ロウは俺を戦場から連れ帰る為に馬車を用意して、敵味方両方警戒してフードと馬車と積荷を上手く使って連れて帰ってきたそうだ

途中副隊長に会ってかなり疑われたが馬車に居る俺の顔を見せたら寧ろ協力してくれて検問すっとばしてロウに付いていき合鍵で俺の家を開けてくれたんだと

ロウの体格的に俺を運べないのも気付いて態々一緒に来て長らく使ってなかった俺のベッドに寝かせる事に成功したらしい

フィリーの事は副隊長にはあっさり気付かれてバレたが問題は無かった

寧ろおかえりと言ってくれたとフィリーが言った


「フィリーさんはその2日後に起きました。フィリーさんはルキナ様ぁ!痛いです!」


「余計な事言わなくていい。ルキナ何処か痛い所や違和感は無い?」


「痛覚が、無い。違和、感は、身体が動、かない」


「麻痺毒が残ってるのでしょう。どんな生物でも死ぬのに生きてるのが不思議です。が、ルキナ様が死ななくて良かったです」


「ロウ、副隊、長と一緒、に、粥を、作って、来てくれ」


「気が利かなくてごめんなさい!すぐに作ってきます!」


「ゆっくりで、いい」


「はい!」


「えっと私も手伝ってきた方がいい?」


「フィリー、言いたい事が、ある。聞いてくれ」


「うん。ルキナの話はちゃんと最後まで聞くよ」


「話は、2つある。1つ目は、ツバキの事だ。」


ちゃんと真実を伝えた

嘘、偽り無く真実を

フィリーは何も反応してくれない、無言で怒っているのかもしれないし、俺の話を整理しているのかもしれない

どんな言葉でも受け止めるつもりだ


「・・・ツバキは、大切な親友で。ルキナも大切な心友なの。ツバキの事を殺した上が許せない。ツバキを本当に殺さなくても良かったんじゃなかとか、ルキナなら何とか出来たんじゃないか。色んなことを思うけど、1つだけ聞かせて。ルキナはツバキが嫌いだった?」


「嫌いじゃ、無かった。明るさを、親しみやすさを、優しさを羨んで、いただけで、妬んで、無かった」


「そう・・・なら私はもうルキナが黙ってた事も殺した事も許す。でも下した上は許せない」


「ありがとう。根源は、根絶やしにした。証拠は、残してない」


「う、ん。ごめん、ありがとう」


「フィリーに涙は似合わない、笑ってくれ」


泣いて欲しくなくて、笑って欲しくて、ただ触れたくて唇にキスをした

驚いた顔も照れた顔も可愛い。フィリーってこんなに可愛かったっけ?

綺麗だとは常々思っていたが可愛いとは余り思わなかった


「/////」


「2つ目だが、スーハースーハー。フィリー、愛している。俺と、墓地まで、一緒に居て、くれないか?」


俺なりのプロポーズだ。死んでも一緒にいて欲しい。でも無理強いはしない、俺らしくない。居てくれって言えばよかったのに

ツバキの友達(いっぱいいすぎて名前を覚えていない)は死んだら俺を食べてお前の血肉にしてくれってプロポーズするって言っていたが

俺は一緒に死んで欲しいしフィリーが死んだら後を追いたい



「プロポーズ?」


「そうだ/////」


照れてる!ルキナが照れてる/////

え、本当にプロポーズされたの?え、嘘!?

私がルキナに執着してたのはツバキの事を話して欲しかったのもそうだけど、本当は、ルキナの事が好き

助けられた恩から憧れ、其処から恋愛感情になったのが数年前の事

物語の白馬の王子様じゃなく聖馬の兵士だったけどね

私はルキナが思ってる程いい所何て無いそれでもいいのかな?


「私は嫌な性格してる、周りが幾ら死んでも大切な人達さえ生きていれば気にしないし、節約は苦手で裁縫も出来ない。そんな私でもいいn」


「フィリーは可愛い、し美しい。料理は、美味しいし気、遣いも出来、て俺の理想を、上回るくらい、だ。フィリーが自分、を卑下にする、のならそれ以上に褒め、ていい所を言ってや、る。それでも駄目、ならどうしたらいい、か教えて欲しい」


「/////宜しく、お願いします。ルキナ死んでも一緒に居てね?」


「/////おう/////身体が、動くように、なったら婚約指輪、と結婚、指輪買い、に行こうぜ」


「うん!/////」


ルキナ・アークスとフィリー・ユナイフルは結ばれ相思相愛で戦争に赴く時もラブラブオーラを出し続け背中を任せて戦ったと歴史に刻まれていった


「面白かった?」


「うん!面白かった!続きは?」


「もういい子は寝る時間だよまた私達の話をしてあげるわ。」


「はーい。フィリー母様」





end


最後まで読んでくれてありがとうございます!


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