prologe/take.01/take.02
自身に問いかけるために書いたものでもあります。よければぜひ。少年と青春が大好きです。
「ルルドラン、もうすぐ授業が始まるけれど」
メンフィが中庭に座る僕を迎えに来てくれた。
「ああそうですね、教科書を取ってから行くよ」
「それなら持ってきたよ」
メンフィは笑顔が素敵だ。
にこやかな笑みは光の射したこの綺麗な中庭のようだから。
take.01
「その四肢ののびやかなこと、自由な姿勢と空へ飛びあがるしなやかさがなくてはならない」
「ルルドラン、ありがとう。では「青春の欲求」をもう一度通して音読してから今日はおしまいです」
先生のその一言で皆の心が浮遊する。
一時間の授業は僕たちには長すぎるのだ。
下校の空はまだ明るい。
「お~いルルドラン、今日は遊んでいかないのか?」
「僕は今日は止しておきます。ミュラゼは今日どこへ?」
「街はずれの山近い場所にティールームが出来たそうなんだ。そこへメンフィと行ってくるよ」
「ああ、そうだ。母から聞いてはいたのですが大変賑わっているのでしょう?今から行っても入れないのでは?」
メンフィが鞄を抱えてこちらへかけてくる。
ミュラゼは手招きをしてからこちらへニッとした顔を向ける。
「学徒では俺らが一番さ!メンフィ!急ぐぞ!」
メンフィが足を緩めた途端走り出すミュラゼ。
「ミュラゼ、もう待ってよ~ルルドランまた明日ね」
「ああ、また明日」
よたよたとした足取りでミュラゼを追いかけていくメンフィ。
しかし二人の顔は明るくキラキラとした光に満ちていた。
「あの二人は本当に仲がいい」
take.02
空の色が深くなる頃。
ルルドランはまだ家には帰らず、街をふらふらと歩いたりしていた。
「空があおい。そろそろ帰らなければ」
「あれはあおではないだろ、赤が周りを取り囲んでいるように見えないのか?」
突然聞こえてきた声にルルドランはびっくりする。
右へ振り向くと黒の……いや、よおく見ると深緑の人が立っている。
僕よりも少し背が高い。
「それでもあおでしょう」
話しかけてきたのかもわからなかったが、おそるおそる返事を還してみた。
「あおでも赤でもない俺もあれをなんと呼ぶかは知らないんだ」
「ああ、そう……」
「君は高等生だろうがもう暗いぞ」
「ええ」
深緑の人はそういうと夜がどっしりと腰を下ろしたような街の黒に溶けていった。
変な人だなあとルルドランは首を傾げた。
それよりも母がまだ帰っていないうちに家の用事は粗方終わらせておかなければまた小言が飛ぶ。
「早く帰らなくては」