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「日常」が変わるきっかけ

 空を見るといつもは青いのに今日は違ったとか、いつも通る道が全く違う景色になるとかそういった、あり得なくはないだろうと言いたくなる変化は実際にはあり得ないことだと誰もがわかっていることだ。

 今日も四角い箱の中はある種、外とは別のルールを形成しつつ同じ事を繰り返す。

 とはいってもそれはどこも同じだ。家にいようが外にでようがどんな場所に行っても同じ事を繰り返すことになるだろう。なんらかのアクションを起こさぬか限りずっと同じ事を…いや、起こしても同じか。

 黒板に描かれた文字を無感情にノートに写しながらそんなことを考えていた。同じ事を繰り返しているのだから退屈になる。飽きる。授業なんてめんどくさいもの、なおさらだ。だいたいの人間はそこでアウト。集中して授業を受ける奴の方がある種おかしい。だから真面目はすぐ潰れるのだ。同じようなことをずっと繰り返してるのにそれに集中しているのだから。機械と何が違おう。

 まあ、違いと言っても大差ないのが周りにはゴロゴロいるが。

 彼女は周りを軽く見渡す。

 そして思う。やはり大差ないと。

 先生に見つからないよう、隠れて携帯をさわる者。紙を使って言葉を交える者。寝る者。せいぜい多くても10種類あるかないかくらいの行動パターンしか見つけられない。

 結局同じ事をやっているのだ。皆、同じ事を。差なんていうほどない。

 最もそれは…

 授業が終わるチャイムがなる。それと同時に席から立ち上がり帰り支度をしながら、結局そんないつもと大して変わらない事をしている事実に少し自虐的に笑いつつ思う。

 自分も同じだが。

 カバンを持ち、教室から出ようとしたとき

 「ティードさん。」

 名前を呼ばれた少女は声がした方向、後ろを振り向いた。

 そこには…

 「生徒…会長…」

 この学園にいるものならだれでも知っている、容姿端麗、頭脳明晰、才色兼備という、絵にかいたような美人な女性がいた。

 エメラルドとさえ、言われたことのある綺麗な髪。それと会わせるようにしてできたとしか思えない翠の瞳。スタイルもよく、性格もいい。

 そんな、女の自分から見てもみとれてしまうほどの学園のアイドル的存在が自分に声をかけたのだ。驚いて言葉が躓くのも致し方ないだろう。

周りはさっきまでの無機質感が嘘のように黄色い声を男女問わずあげている。そんな状況にかえって冷静になることができ、言葉をかの生徒会長…天鼓秋葉に返した。

 「なんのご用でしょうか。秋葉生徒会長。」

 「とって喰おうなんて思ってないからそんな怖い顔で睨まないでくれると嬉しいな。」

どうやら冷静になれてはいなかったようだ。いつの間にか強張っていた顔をなおそうと努力する。

 しかしそう簡単に無意識になっていたことがなおるわけもなく、結果四苦八苦することになり、その様子が面白かったのだろうか。秋葉は口元を抑えながらプルプルと震えていた。

 「…からかいに来たんですか」

 秋葉はすぐに笑うのをやめ、元の顔に戻る。

 「ごめんなさい。そんなつもりはなくて…」

 「いえ、そこまで気にしてないから大丈夫ですよ。」

 すぐに謝ってきた秋葉に言い過ぎたかな?と申し訳なさを感じつつ、そういって返した。実際、そこまで気にしていない。照れ臭くなって言った言葉に過ぎず、むしろ笑っている秋葉を可愛いらしいと思ったくらいだ。

 「そう?だとしてももう一度謝らせて。ごめんなさい。からかいに来たわけではないから。改めて…」

 コホンと声をだし、ティードの目を強い覚悟を込めて見つめる。

 「リーブド魔法学院高等科二年ティード・ハルーフさん。あなたにお願いがあって来ました。」

 日常というのはちょっとしたきっかけで変わるものなのだということを…この出会いをきっかけに知る事になる。




 周りがざわめくなか、連れてこられたのは、生徒会室…ではなかった。

 てっきり生徒会関係の用事かと思っていたティードはより一層頭に疑問符がわくのを感じた。

 そこは教室を半分にしたくらいの部屋に机と椅子、ホワイトボードが置かれただけの簡素な場所だった。

 「…あの…」

 質問をしようとしたティードをよそにホワイトボードに近づく秋葉。

 ホワイトボードに手をかけ、クルリと回し、逆の面をだした。

 そこにはマジックペンで描かれた文字があった。

 「「魔能対策部」?」

 「そう。知っての通りこの世界「アージェ」は魔法やいろんな能力を使う人がいる。その能力も様々だけど…使う人も様々。中には犯罪や悪事に使う人もいる。」

 「それは…わかってますけど…それとこの魔能対策部ってのになんの関係が…いや、正直まさかの可能性が頭に浮かんでて、聞きたくない気持ちもありま…」

「そのまさかよ。」

「まさかでしょ!」

 頭に手をあて露骨に嫌そうな顔をするティード。

 その様子をみて、申し訳なさそうな顔をする秋葉。が、その表情はここに連れてこられる前に見たあの覚悟をもった目で消えた。

 「…わずかな可能性として冗談…というのを期待したんですが…。はぁ。どうやら本気…みたいですね…。その「魔能対策部」ってのは…」

「魔法や能力を犯罪や悪事に使う…そういう人達を止めるのがこの魔能対策部の活動内容よ。」

「…質問したいことがあるんですが…」

「どうぞ。」

「何故、私なんです?魔法の扱いは全然うまくないですし…平々凡々な成績ですよ。他に凄い方いますし、その方達に声をかけた方がいいかと。」

 その言葉に強い目と覚悟をおびた表情で返す秋葉。しかしその表情と目は先程までのまっすぐな感じとは違い…どこか怯えが見えた。

 「あなたは、他の人達と違う。いや、そもそも…恐らく…「人間ですらない」。あなたを見たとき、そんな気がしたの。だからこそ、声をかけた。………そう感じさせるほどのあなたのような「異質」な力が必要だと思ったから。」

 「…そうですか…。」

「それとあなただけだけではないわ。他に五人。メンバーにいれようと思ってる子がいる。」

「学生にはすぎた部活内容。にも関わらずその人数の少なさ。ますます思ったんですけど、そういうのは大全管理局がやってるじゃないですか。私達がやる必要はな…」

「大全管理局は信用できない。」

 きっぱりと。毅然と。なんの逡巡もなく秋葉は言い切った。

 「え?」

 「だから人数は少ないの。なるべく情報漏れがないようにするため、なるべく統率して協力するためにもね。」

「情報漏れって…いやいや。大全管理局はそれこそ悪を取り締まる…」

「大全管理局は。そんな考え持ってない。」

「…どういう…」

「それはおいおい知っていくことにはなるわ。証拠という証拠が展示できないのが申し訳ないけど…。信じてほしいの。」

 まっすぐな瞳でティードを見る秋葉。その瞳には嘘が見えなかった。

 真実なのかも知れない…。そう思うと頭は混乱する。その混乱をうまく整理することができず、思わず秋葉の目から視線をそらしてしまった。

 「…そんなのいきなり言われても、簡単に信じれない…。本当かどうかもわかりませんし…。」

 「………そう…よね。ごめんなさい。急にこんな事言ってしまって…。でも………これは事実よ。」

 「……………。」

 「私は、世界を救いたいとかそんな大それたことは考えられないけど…。苦しんでいる人を少しでも助けてあげられればと思ってる。言うなればこれはボランティア。しかも一歩間違えれば管理局なんていう巨大な組織と相対しかねない…ね。命も失うかもしれない。だからもちろん、断ってくれて結構よ。黙っててくれさえすれば。」

 「私は…」

ティードが答えを出そうとしたときアラーム音のような音が部屋に響いた。

 ティードが驚いていると秋葉は通学カバンから携帯を取り出しその音を止めた。

 どうやら音の発生源は秋葉の携帯からのようだった。着信でもあったかな。とティードは思っていると秋葉はティードを見て、音が鳴った理由を話してくれた。

 「ごめんなさい。仕事の時間みたい。急がないといけないからこの話はまた次の機会に。話を聞いてくれてありがとう。」

 言って部屋の扉に向かって歩きだした秋葉。

 それを見たティードは反射的に口を開いていた。

 「私も行きます。」

「え?」

 さんざん驚かされたティードだが今回は驚かす側だった。

 「いい…の?」

 自分から言ってきたのに恐る恐るティードの顔色をうかがいながら聞いてくる。

 まさかそう言ってくれるとは…と言わんばかりの表情をしている。今までのやりとりで断られると思っていたのだろう。

 「ええ。もちろんです。」

正直ティードに断る理由などなかった。この退屈がなくなってくれるならなんでもよかったのだ。

 それに…ただ退屈がなくなるだけじゃなさそうだ…。大全管理局が敵?命を失うかも知れない?どれも刺激的で面白そうじゃないか。

 ティードはニヤリと口角が上がっている自分に気付く。

 日常というのは案外些細なことで崩れる。その事を自分はこれから知っていくのだろう。

 いや、彼女は。秋葉は既にそれを教えてくれた。その時点でついていくという選択肢以外頭にはなかったのかもしれない。




 秋葉に歩いてついていくこと20分くらいだろうか。

 ついた場所はなんてことはない普通の公園だった。特徴という特徴はなくしいていうなら少し小さいくらいだろうか。遊具もシーソー、砂場といった公園ならどこにでもありそうなものばかり。

 ここでなにが?と思っているとその疑問はすぐに解消された。

 公園の空間が急に歪んだと思うと赤い結界のようなものが公園を囲うように張られていた。

 その結界から赤色の結晶のような形に刺がはえているものが大量にでてきた。

 「…魔力結晶…」

 ティードはこれを知っていた。というより魔法学校ならどこでも学ぶことができる初歩魔法だ。

 「そ。初歩魔法のひとつね。とはいってもこんな形状はしてないし、そもそも…」

「都市内で魔法を放つことは禁止されてる魔法ですよね。」

 魔法は便利だが当然規制される魔法も多い。

 その規制されている魔法…例えば炎を放つ…といっても料理するためとか、明かりをつけるためとかに出すくらいの規模なら問題ないが火球にしたりなどといった、明らかに範囲、威力、魔力凝縮が一般生活に使うレベルではない魔法を使ってはならないといったものを規制魔法という。

 「そう。「禁止魔法」ね。許可地域以外で使うのは特例の場合を除き使用してはならない。というレベルの魔法。」

 「…こういうの見る度よく思うんですけど、禁止魔法を何故初歩魔法として学ばせるんでしょうね…。犯罪としてよく使われてるし…。今回もその例に漏れずってことですか…」

「確かにそうなんだけど、仕方ないと言うしかないんだけどね…。現状、魔力の扱いにおいて、範囲、威力、魔力形状、魔力凝縮といった基本コントロールを一気に、かつうまいこと学べる魔法はこれしかないもの。他魔法でもできないことはないけど時間が相当かかるらしいし…。」

魔力結晶の矛先が一斉にティードと秋葉に向けられる。

 「とか言ってる場合じゃないね!どうしてこんなのがここにあるのかは後で説明するから、今はこの場をなんとかしましょう!」

 「はい!」

 言って秋葉は自分の右真横に手をかざす。

 「アンドレッド・ノート」

魔法の名を口にした時、手をかざした空間から魔力でできた鎖がでてきた。

 ティードは右手を目の前につきだすと同時目をつむる。

 すると右手に風のようなものが集まった剣ができた。

 しかしそれは剣の形をしていない。風を集め、武器をつくったという表現が正しいだろうが、その風でできた武器は鋭く、こと斬ることにおいては右に並ぶものはなかなかないだろうと思えた。ゆえに剣とそれは呼ばれた。

 それぞれ構え、迎える体勢をつくる。

 通常、これらの魔法は当然、禁止に当たる魔法だ。しかしこの現状は命に関わる場面。つまり特例にはいる。

 ご丁寧に結界まで張られてある。これなら遠慮なく魔法を振り回すことを許可された状況といっても過言ではない。

 ほどなくして魔力のぶつかり合いがおこった。

 魔力結晶がティードと秋葉、それぞれに向かって突撃してきたが秋葉は魔力鎖を使い、ティードは剣を振り風を飛ばすことで対処する。

 ぶつかりあう衝撃で魔力が砂塵のように舞う。

 そんななか魔力鎖が結界を突き刺した。そのまま、グッと秋葉が鎖を引っ張ることで結界にヒビが入る。

 その間も魔力の衝撃音は止んでいない。ティードの剣と魔力結晶がぶつかり合っているのだ。

 魔力結晶はプログラムされているのだろう。魔力結晶を出す元はこの結界。

 結界が壊されれば結晶は自然消滅する事になる。それを防ぐため当然魔力結晶は秋葉を狙う。

 しかし、それら結晶は全てティードが壊していた。

 魔力結晶の作り方を学んでいる以上壊し方も知っている。秋葉が狙わずともティードがやっていただろう。

 秋葉が結界を狙った以上、自分がやることは秋葉を守ることのみ。そうティード判断したのだ。

 ほどなくして結界はガラスが割れるように壊れ、結晶は消えていった。



「いやー、さすがですね。」

帰り道。やることは終わったため、学校に戻りながらティードはそう言った。

 「ううん。私だけの力じゃない。あなたが守ってくれたからあんなに早く終わったの。ありがとう。」

 「そうですか?そう言っていただけるのは嬉しいですね。ですが…」

「結構ショボい…かな?」

考えていることをあてられ少しギクッとするティード。

 「ま…正直…。」

 これではもっと凄いことおこれ!と暗に言ってるのと同じだが、今までの退屈を打開するために、そして刺激的なものが待っていると期待し、付いてきたのに蓋を開ければこれだ。

 あの程度の規模では学校のテストより多少危険…程度だ。

 あの結晶には殺傷能力がいうほどなかった。当たれば怪我するし、一気にあの勢いであてられたら重症にはなる。が、魔法を学んでいた者ならなんなく退けられるだろう。

 この都市のほとんどの者は自分を守ることくらいはできる魔法を身に付けている。

 加えてあの結晶の強度のなさ。危険性は限りなく0といっていいだろう。

 「…そう思ってくれているってことはやる気があるってことだろうから嬉しくもある。とはいってもそれは危険なものが来いって言ってるのと同じだよ。」

 くるっとその場で回りティードの目を見ながら、秋葉は強くいう。

 「言うほど危険なことじゃなくてよかったって、思わなきゃダメ。これは自分の命に影響がなくてよかったってことと同じ。その考えは自分の危険を察知する力に繋がるんだから。大事だよ。それは。」

 「…すいません。」

わかってはいたが改めて言われると反省する。

 それもそうだな。と思いながらしょんぼりしているとそんなティードを見て秋葉は嬉しそうに小さく笑った。

 「その反応。反省しているね。それなら少し安心だな。それを次に繋げてね。」

「…はい。」

 厳しくも優しく言われたティードは心配してくれているのが嬉しいという感情を抑えつつ、秋葉と同じように小さく笑いながら返す。

 秋葉も綺麗な笑みを返してくれた。

 後、秋葉は咳払いをひとつし、真剣な表情になった。

 「さて、わかってくれたところで。どうして今日、あの公園で魔力結晶がでたか。その説明をするね。」

 後で説明する。と言ってくれていたことだ。

 いくら威力がない。と言っても公園であんなことが起こる、つまり禁止魔法の使用があるなんてありえない。当然犯罪の部類に入る。

 それがどうして起こったか。何故威力がなかったのかの説明だ。

 ティードは説明は部室ですると思っていた。全管理局が敵になるかもしれない。そして、秋葉の誘いにのらなくてもいいが、秘密にしてほしいという念押し。

 これらの要素から外で話すことはないだろうと思っていたからだ。

 見たところ、結界魔法ははってないようだし、普通の帰り道だ。誰かに聞かれる可能性も十分にありうる。

 「大丈夫なんですか?」

危惧したティードは秋葉にそう言うと

 「大丈夫。」

一言。信頼するには十分と判断できるほど綺麗な声質でなんの迷いもなく答える。

 「なんで大丈夫なのかって理由も含んであるものなんだけど。」

その一言に加えるように説明をはじめる。

 「あれは監視用の魔力結晶なの。魔力のパスを通って映像として魔力機器に記録することができる。その監視用の魔力結晶を破壊してある周辺は安全ってこと。だからここで説明しているの。逆に他に何処にあるかわからない以上、部室で話したりする方が危険よ。」

「なるほど…って、え?監視用? …それは管理局がやっているやつ…ですか?」

 「ううん。違うわ。管理局が公式に監視カメラとしてやっているものでも、裏で設置したものでもない。」

一拍おき。

 「あれをやっているのは一人の男よ。そいつのバックが管理局なの。」



 部室に帰り、帰るためにバックを持ち、秋葉に挨拶をして、部室を出る。

 家に帰りながらティードは頭の中を整理していた。

 話をまとめると、その男こそがこの魔能対策部の目的なのだそうだ。

 もちろん、困っている人、依頼があればそれも請け負う。

 それらをやっていくなかでその男に関する情報を仕入れ、動向を探り、捕捉、無力化こそが狙い。

 男の名前はタール・バイゼン。わかっているのはこれだけ。いや、詳しくいうと、能力は見たが、なんでも特殊な能力らしくよくわかっていないらしい。

 そいつの狙いが世界の混乱…。何も知らなければ笑っていしまいそうな目的だが、大全管理局が後ろにいるとなれば話が違う。

 やはり、大全管理局なる巨大勢力と関わることになる可能性は大きい。

 そもそも一人の男。それも目的が世界混乱だ。こんなのに協力しているという時点でおかしい。

 秋葉はだからこそ、慎重に慎重を重ねているのだという。得体が知らないだけではないのだから。

 部室で最初に秋葉が話したのも実はカモフラージュ。なんてことを言うほどだ。言っても主目的はタールの無力化でも、他の人を助けたいというのも本心であり、また、管理局が絡んでいるのも嘘ではない。

 つまり彼女は魔能対策部の主核をキープしながら、仮に部室が監視下であろうとも、真実を伝えることを可能にしたのだ。

 しかし、疑問はある。何故こうまでして、その男を倒そうと思っているのかだ。

 タールの目的が世界の混乱という大それたものを知っていること。仲間を集め、慎重に行動すること…。

 目をつむりながら、秋葉がタールのことを話していたときを思い出す。

 悲しそうだった。これは、もしかしたらあの覚悟がある強い目に繋がっていることなのかもしれない。

 つまり…過去に何かがあったのだろう。そのタールのことで何かが。

  基本的にやること…仕事内容を教えつつ、監視下ではない状況を作り、そこで魔能対策部の目的を伝える。

 ここまでした彼女は説明の最後にこう言った。

 「さて、目的を伝えたところでもしかしたらティードさんの考えが変わったかもしれいない。人助けももちろんするけど、その男を倒すことこそが主目的なんだから。入ろうと決めたこの魔能対策部の目的が聞いたものとは違うじゃないかって思っても仕方ない。ごめんね。だから本当にこの魔能対策部を。目的を含めて入ろうと思ってくれたのなら。明日、部活届けを持ってきて。こなかったら、入らないってことでこの話しは秘密を約束しておしまいだから。」

溜め息がでる。ティードはそのまま、まっすぐ帰路についた。




 翌日の放課後。

 秋葉は部室に入ると、人影があることに気付いた。

 顔を見る。あの最初は誘ったときはだるそうにしていた彼女の表情がイキイキと楽しそうなものにしてあった。

 自然、笑顔が秋葉に溢れて我慢できなくなる。

 ティードは部室届けのサインした紙を机の上におき。言った。

 「今日から正式に入ることになった、高等科二年ティード・ハルーフです。よろしくお願いします!」

見ているだけで幸せになりそうな笑顔を見せる秋葉を見ながら改めて思った。

 あんな悲しそうな顔、見せられて入りませんなんて言えるわけがないだろう。この娘は笑顔で暮らしてなければいけない…と。

 外の景色が見える窓ガラスに映った楽しそうな自分の顔を見て、これから楽しくなりそうだとワクワクしていることに気付いた。

 

 


 


 

 

 


 




 



 

 


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