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別れ

村に戻ると村は活気付いていた。

村の畑や、家、人。それらが一気に元に戻っていた。貯められていた魔力が一気に開放され、元に戻ったのだろう。

村の人達は涙を流す者や、酒を飲み交わすものやらなんやらで宴会のように盛り上がっていた。

「おい!戻ってきたぞ!」

テルクス達が戻ってきたのを村人の一人が村全体に叫ぶように伝えると、皆、嬉しそうな顔を浮かべ、安堵、そして喜びを口にする。

「お前、やりやがったんだな!スゲーよ!」

ありがとうやら、凄いやら、いろいろ言われる中、テルクスはポカンとしてしまった。理由は…

「あれ?なんでそんなに飯あるんだ?酒も…貯められていた魔力が元に戻ったってのはわかるから、村が元に戻るのはわかるけど…でも、飯とかあんまなかったじゃん。」

「ああ。魔力が元に戻ったら貯められていた時分、まあ、俺らが本来、畑やらを使って手に入れていたものが一気にきたんだよ。だから凄い豊作でな。酒やら、飯やら、作り放題だわ。」

「マジかよ…。」

テルクスが驚いているとミレルが口を開いた。

「多分…、土地の魔力も奪われてて、衰弱して使えなくなるはずなのに、管理を怠らなかったりしたんじゃないかな?だから、魔力が一気に元に戻った時、今まで管理したり世話していた分がきたんだと思う。」

成る程。と思いながらミレルを見ると、村人の一人がミレルを見て声を出す。

「うわ!めっちゃ美人じゃん。この娘がテルクスが言ってた娘か?…これゃマジになるわ。」

その声を皮切りに口々に皆、ミレルを見て口を開いていく。

可愛いやら、魔力が綺麗やら。すると内の一人が言い出した。

「テルクス?この娘お前の…」

「未来の妻です。」

テルクスが即答すると村全体が一瞬で静かになる。

一拍おいて大騒ぎ。

「マジかよ!」

「だろうなと思ってたけど…羨まだわ。」

「お前、後でボコボコな。」

「いや、さっきまでの感謝は何処いったんだよ⁉︎」

テルクスが叫んで返す。その様子は本当に楽しそうで。これがこの村の、本来の姿なんだろうな。とアダンは思いながら笑うのだった。


「すいません…騒がしくて。」

「いやいや。楽しそうでいいじゃないか。」

あの後、アダンも、村の恩人として村の人達に絡まれ、話をした。その時に、村の人達と、近くの国の警察を呼んでもらい、ガレドを渡した。村の人達は元気を取り戻した。というのもあるのだかろうが、明るく、楽しそうで。

つられてアダンも楽しくなり、宴会のテンションに飲み込まれつつ、楽しんだ。

今はその席から離れ、風に当たっていたところ、テルクスとミレルが一緒にアダンの元にきた。

「そう言っていただけると…。」

「お二人はここに来ていいの?村の人達にめっちゃ絡まれてたじゃん。」

「はは。大丈夫ですよ。酔っているおかげで逆に流しやすかったですから。それで抜けてきました。」

テルクスとミレルはその様子を思い出したのか、楽しそうに小さく笑った。

アダンも小さく笑い、

「そっか。」

と応えた。

しばらく静かに風に当たり、過ごしたが、少ししてミレルが口を開いた。

「改めて…。ありがとうございました。テルクスと一緒に、私を、この村を、救けてくれて。」

「仕事だしね。人を救けるのも当たり前。言うなれば当たり前のことをしてお金を貰っている。むしろこっちが礼を言う立場だよ。ありがとう。」

快活にそう言って優しく笑うアダン。

改めてアダンを見るテルクスにアダンと初めて接するミレル。二人から見たら…いや、誰もがその笑顔に見惚れるだろう。そう言い切れるほどに綺麗な笑顔。

その笑顔を見ると同時、ある思いが大きくなり、近づいている事実をテルクスは口にした。

「そろそろ…お別れ…なんですよね。」

「ああ。そうだね。次の仕事もあるし、ここではあんまりのんびりできないかな。明日、朝には戻る予定だよ。」

「……そう…ですか。」

悲しそうに二人して落ち込んでいるのを見たアダンは明るく声をだしながら言う。

「まあまあ。そんな会って間もないんだし、別にそこまで落ち込むことじゃないだろうに。落ち込んでる暇あったらせっかくの宴会なんだ。盛り上がっていこう!」

言って二人の手を引いて宴会に戻るアダン達。

戻ってもしばらくは落ち込んでいた二人だったが、アダンと宴会で歌ったり踊ったり。そんな事をしているといつの間にか落ち込んでいた表情の陰りが消え、心の底から楽しんでいた。

そして夜、寝る時はテルクスの家で、一緒に寝たのだがその際にいろいろ話した。

アダンの過去、これから。今まで会った人達や、仕事。

思わず聞き入って。楽しんで。宴会は終わっても、その日、笑顔は寝るまで続いたのだった。


翌日の朝。アダンは荷物を整え、帰る準備をしていた。

準備が終わり、テルクスの家からでて村から出ようとしたら、村の入り口付近に人が集まっていた。見送ろうとして集まってくれたらしい。

挨拶もそこそこに、村の外に出ようとした時、テルクスとミレルがアダンの元に駆け寄る。

そして、テルクスとミレルはそれぞれ、口を開く。

「確かに、俺達は、アダンさんと会って、間もないです。」

「でも、これだけは言えます…一緒にいて、楽しかったです。だから…」

「「また、会いましょう。」」

アダンは笑顔でおうと応え、背中を向けながら手を振って外に出る。

この仕事は忙しいが、他の仕事より、沢山の人に会え、時には学び、時には反面として知り、時には…こんなまた会いたくなるようないい人達に会える。

成る程。父さんが夢中になるわけだ。

そう考えながら一歩一歩進んで帰路につく。ある程度、離れたら転移座標に入るから、それで転移石を使って帰るだけ。

でもやっぱり名残惜しいから意味ないとわかっててもゆっくり進んでしまう。

同時、次の仕事に思いを馳せる。

さて、次はどんな人達に会えるだろう…。

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