表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空白のパレット  作者: 真咲 透子
未来編
6/13

再会したら元上司は恋愛小説家になっていました

この一話だけどうしてこうなった!?

…なお話です。

今までのシリアスぶち壊しにきてます。

 サラ=アベカシスは18という若さでこの世を去った──。


たくさんの思惑と、陰謀の果てに。………なんてこともありましたが。


 生まれ変わったぜひゃっほう!さよなら前世!!こんにちは現世!!!


 私は、平和な世の中に生まれ落ちた。様々な物が溢れ、とても豊かな。あの頃に比べたら本当に自由だ。いやー。つらかった、前世。今思い返してみてもあれはないわ。真顔で語れる。


 言うこと聞かない部下、冷たい上司、なんか陥れようとしてきた同僚。


 職場環境が最悪すぎて笑えない。これがいわゆるブラック企業か。軍って国営だよね?これってまずくない?


 私はすべてのしがらみから解放され、新しい人生を歩む。まさに、私の中で春到来だった。


 かつて失ってしまった色を取り戻していく。世界はまた、美しい彩りを見せてくれるようになった──。



 今の私は17歳の花の女子高生だ。ある一点を除けば、どこにでもいる普通の女の子だった。そのある一点とは。



『俺が、この戦いを終わらせてやる………!!』

『待っているぞ、勇者よ』



「はいカット!!サラ、よかったよ」

「ありがとうございます!」


 マイクから離れ、監督の許へと向かう。お分かりいただけただろうか。そう、私は。


アニメ声優になっていた。


なんで自分でも、声優やっているのかいまだに理解できてないんだけどね?



 忘れもしない中1の夏。


 怪しげな男の人2人がモデルやらないかって勧誘してきた。


 しつこかったんでとっさに「声優目指しているので無理です」と言ったら、無理やりスタジオに連行された。そして「ちょっとやってみなよ、見てあげるから」と強引に演じさせられた。……横暴すぎる。


 それから何だかんだいいながらも声優を続けている。


 私が演じているアニメの役は大体何かと戦っている少年役だったので、前世での記憶を辿りながら演じた。


 役と似たような境遇になったことも多々あったから、こんな気持ちかなーって想像がつきやすかった。臨場感ある演技をする声優としてそこそこ名の売れるようになった。



 今考えると、中2病なセリフを素でバンバン言ってたな。そういう時代だったといえばそれで終わりなのだが。いかんせん、恥ずかしい。まぁ左目がうずいたことはなかったけどね!!


 私は今この瞬間を存分に楽しんでいたのだ───。


 しかし、事件は唐突に起きる。



 それは、ほぼ少年役をしていた私に、ヒロイン役をしてみないか?と言われたときのことだった。ヒロインとか私の性格からして無理でしょ、と端から期待していなかったオーディションでなぜか受かった。

 

 しかも演じる中身はコテコテの恋愛小説。さらにラノベ。胸キュンとか乙女とかいうアレだ。



 まじか、無理ゲーだろ。


 辞退したいんですけどと、私をスカウトしてくれた人に言ったら私の横にあった壁に穴が空いた。


 バカかお前。今すぐここから飛び降りるか?


 「ヒロインを演じるか?」という問いに「イエス」か「はい」しか選択肢は残されていなかった。


 なんでも、原作者が私の声を気に入ったらしい。


 物好きな人もいるもんだなー。世の中不思議に溢れている。

「精一杯女の子っぽい声出した私気持ち悪っ」て、思いながらオーディション受けたのに。


 泣きながら練習をして、ついに収録日が来てしまった。かつてここまで明日がこなければいいのにって思ったことはあったかってくらいに行きたくなかった。


 しかし逆さ吊りされたくはなかったので嫌々ながらに来た。




「おはよーございまーす」


 スタジオに入り、スタッフのみなさんや演者さんたちに挨拶をした。遠くで、このアニメの監督が歩いているのが見えたので、急いで監督の許へ行った。


「監督、おはようございます!今日はよろしくお願いします」

「あぁ、サラ。おはよう」


 監督が、少し考え込んでから口を開いた。


「今日は原作者の方が来ているから、紹介しよう。こちらへ来なさい」


 監督は近くの小部屋へ案内してくれた。



 監督の後に従い部屋に入る。そこに座っていた人物を見て、叫ばなかった私を褒めてくれたっていいと思う。




「サラ、こちらが原作者のクラリス先生────グレン=バルドーさんだ」


 監督の紹介とともに、彼は私に手を差し出した。




「初めまして。グレン=バルドーだ」

 

 かつて愛してやまなかったその瞳は、美しい蒼のままだった。




 それから、前世では何の素振りも見せなかった元上司が昔の私くらいに猛烈アプローチを仕掛けてきたり、何故かクリスがせまってきたり、騒動を起こしたり逃げたりするのだが、私がどのような選択をしたのかは───。


 また別のお話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ