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April~二人羽織編 6~ダウンローダー2

 今回でやっと7話目。

 小説って難しいなぁと思う今日この頃です。まずちゃんと小説として成立しているのかもどうか…

 でも、読んでいただければ嬉しいです。

13


 銀髪の少女は颯爽と前に立ったかと思うと、その場で崩れ落ちた。

「ごふっ…ごほっごほっ―――」

 少女は咳き込みながらも、身を思い切りよじってガトリングを前に突き出して弾丸を放つ。

 照準が合わないのか何発かが、そこかしこをえぐりながら対する迷彩服の少女の体を射抜いた。

「うぅっ―――」

 爆煙で迷彩服の少女の姿が見えなくなると、少女は血混じりの咳をして倒れた。驚いたことに、少女が手にしていたガトリングガンは倒れると同時にガラスみたいに砕けながら霧散した。

「どうなっているんだ…?」

 何一つ理解できないまま状況が変わりすぎて、頭がパンクしそうだ。

 信じられないほどのスピードとパワーを持った迷彩少女。玩具みたいに自分と同じくらいの大きさの銃器を操る銀髪の少女。そんな状況を「はい、そうですか」と理解できたら、そいつはどうかしているだろう。

多分彼女ら、いくら人に見えても人間とは全く違うモノだろう。

「―――くっ、うぅ」

 目の前に倒れている銀髪の少女が苦しそうに立ち上がる。彼女もあの迷彩と同様に傷が修復されているが、あれよりも治るスピードが速かった。

 すると少女は振り返って俺の方を見た。バッチリと目が合ってしまい、その威圧におののいてしまう。

「なんだよ…」

 値踏みするように俺の顔を伺うと、澄んだ声で話し始める。

「対象を、猫目開架と断定。猫目開架は重要保護対象です」

 誰に対して話しているのか分からないような口調で彼女は俺を見つめる。よく見ると俺と同じくらいの歳か、下くらいに見える。なのに、凛とした風貌からか上にも見えるようで、なんとも言えない感覚だ。

「立てますか」と、いきなりの問いかけに驚く。見蕩れていたせいか反応に遅れてしまった。

「―――へ?…あ、あぁ」

 すると彼女は俺を軽々と抱き抱えた。いわゆるお姫様だっこだ。

 まさか自分がされる側になる日が来るとは。する方がまだ現実的にありえそうだ。

「な、何すんの?」

 その俺の問いかけに対して彼女は澄んだ声で答えた。

「この場から退去します。しっかりと掴んでいて下さい」

「え?」

抑揚の少ない口調でそう彼女は答えると、すこし屈んでから飛び上がった。


 純粋な跳躍。だがその高さはゆうに五十メートルは超えていた。

「おいおいおいっ!やばいって!!怖い怖い怖いっ!!」

 緑の、と言うより闇夜で真っ黒に見える森を、何度もありえない高さのうさぎ跳びで抜けていく。その間俺は軽く放心状態で彼女の揺れる銀髪を眺めていた。

 十数回程飛んでから、やっと地面に立つことが出来た。ほとんどもがくようにして彼女の手から離れると、激しすぎた上下運動に足がふらつく。

「っ!お前、何?アイツ、誰?なんで逃げてんの!?」

 あまりの出来事で、俺はヒステリー気味に怒鳴りつけた。それに対して彼女は臆した風でもなさそうにサラリと返してくる。

「はぁ…こうしないと保護できないので」

 困っているような口調だが、変わらずの無表情で彼女は答えた。

「なんだよ保護って!大体あんなのに狙われる覚えがない」

「命令ですので」

「命令って、誰の」

「はぁ…本人から聞いていませんでしたか?」

「誰からだよ。とりあえず、俺は何も知らない」

 ぐしゃぐしゃと頭を掻きながら彼女を睨む。しかし、そこで彼女が口にした名は俺のよく知る人物だった。

「あなたの保護を命じたのは、二人羽織開花です」

「っ!姉さんが?」

 半ばパニックになっていた思考が止まる。なぜここで姉さんが絡んでくるのだろうか。意味の分からない人間だが、今回ばかりは本当に理解の余地がない。

 怒りなのかなんなのか、とにかく心地の悪い気分だ。

「なぁ、他には何かお前に命令はしなかったのか?」

「いえ、特には」

 舌打ちをして考えを巡らす。

 理解の余地はないが、なぜ自分の命の危険に晒されるのかを考える。いくら姉さんでも、道楽で命を弄ぶことはしないだろう。

 そうやってイライラと爪を噛んでいると、銀髪の彼女が話しかけてきた。

「あのぉ…」

「なんだよ」

「命令はされてはいませんが、伝言を預かっています」

「伝言?」

 すると彼女は笑顔で、弾む声で話し始める。

『開架ぁ?生きてる?まぁ死んでたら伝言なんて聞かないか。まぁ頑張って。―――死なないでねぇ』

「……」

ムカつく内容とさらに無駄に上手い銀髪少女のムカつく姉さんのモノマネのおかげでわかった。

 前言は撤回。

 今回は、いや十年前から今日に至るまで、姉さんは道楽として俺で遊んでいる。そう確信した。


14


 このことは直接本人に聞いたほうが早そうだ。他にもこの銀髪の少女に質問をしたが、他には何も聞いていないらしい。


「ところで、―――」

 そう呟くと、彼女は真っ直ぐにこちらを見つめる。こう、人から―――人なのか?まぁ、誰かにこう真っ直ぐに見つめられると緊張してしまう。

 咳払いをして仕切り直す。

「ところで、あの迷彩服の女とか、お前とか、一体なんなの?」

 これはかなり重要な質問だったと思う。得体の知れないやつ一緒にいるのは、いくら味方でも危険だ。

 彼女は変わらずに真っ直ぐにこちらを見ながら答える。

「私と、あの軍事兵器の総称はデバイスです」

「デバイス…」

 最近、どこかで聞いたような単語だ。確かニュースでよく取り上げていた気がする。

 しかし驚いた。デバイスっていうのがこんな人間みたいなものとは思わなかった。イメージとしてはもっとメカっぽいモノを想像していた。

「まぁ、大きく分けたらの話です」

 口に手を当てて彼女を見つめる。

 確かに、あの迷彩と彼女とでは何かが決定的に違うようにも見える。

「なに?デバイスって種類があるの?」

「あれは軍が製造した量産機で指定された動きしかできません。例えば、目標Aを排除する、と言ったものです。目的を阻害するのであれば、それも排除します」

 話だけでも恐ろしい話だ。殺戮だけならそれは驚異だろう。

 まぁ、一番恐ろしいのが今の目標Aが俺ということだ。

「じゃあ、お前は…?」

「私は、違います。私は、多目的なミッションに対処する為に作られた特別製デバイスです」

「特別製…?」

「はい。私は―――」

 ドッと風が吹き彼女の銀髪が流れる。彼女の髪はこんな夜でも輝いて見える。


「―――私は、対人戦闘用人型デバイス。呼称、“非公式ダウンローダー”

 猫目開架、あなたの専用デバイスです―――」

 出来るだけ、ネガティブになりすぎないように続けていこうと思います。

 次回も頑張って書きます。

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