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初めまして ?

 カプッ! ボクは白い紙包みに噛みついた。舌先にじわっと伝わる柔らかな感触…… アチッ! あまりの熱さに絶えきれず、袋から口を離す。『猫舌』のボクは熱い物が大の苦手。けど、空腹には勝てない。思い切ってもう一度かぶりつき、破けた紙袋の中からお御馳走を引っ張り出した。上手い! それは揚げたてのコロッケだった。ボクはムシャムシャと音を立てながら、夢中で食べた。一個目を食べ終え、二個目にかぶりつこうとした時、ふと上の方に何かの気配を感じた。さては、他のノラが来たか! お御馳走は渡さないぞ! ……でも、ボクは喧嘩が弱いんだよね。しっかりとコロッケを加え、逃げの体制を整えて、ボクは頭を上げた。

「……?」

 野良猫じゃなかった。人間の少年だ。ボクはコロッケを加えたまま、じっと彼を見つめる。彼もボクを見下ろしている。しばらく見つめ合う彼とボク。

「……それ、やるよ」

 間をおいて、彼が口を開いた。

「コロッケ好きの友達にやろうと思ったんだけどさ。お前もお腹空いてそうだし」

 制服姿の彼は、そう言うとふわっとした顔で微笑んだ。少したれ気味の目が、ふんわりとした印象を与えてる。いかにも人が良さそうな人間の少年。人は見かけによらないって言うけど、猫の感として彼は悪い奴には見えなかった。現にコロッケを三つもくれたし。紙袋の中には、もう一個のコロッケが残っている。餌をくれる人間に悪い人はいないんだよ。これ、猫世界の教訓。

 ボクは安心して、彼の前でコロッケを食べ続けた。時々、チラチラと彼を見上げて様子を観察する。最初、ボクが食べている姿を眺めていた彼は、それに飽きると土手にゴロンと横になった。どこに行くでもなく、川から吹いてくる風にあたりながら、気持ちよさそうに寝ころがる。

 ボクが三つ目のコロッケを食べ終えた後も、彼は相変わらず転がっていた。

 ちょっとのんびりし過ぎかなぁ? けど、猫が好きみたいだし、彼の家までついていったら、またお御馳走をもらえるかも? いっそのこと居着いてしまおうか!

 色んなことを頭で考えながら、ボクは寝ている彼のまわりをゆっくりと歩いて一週する。

 よし、決めた! 彼を新しいご主人様にしよう。ちょっとスローテンポな気もするが、彼は良い奴だ。それに、ボクは人間を見る目があるからね。

 いつまで経っても起きあがらない彼にしびれを切らせたボクは、ミャーとかわいく鳴いて彼の肩をチョンチョンと片手で小突いた。ゆっくりと目を開けると、彼はボクの方に顔を向ける。

「ん? 何?」

 ボクはもう一度鳴いて、出来る限り愛想のいい顔を彼に向ける。人間だったら微笑むってことが出来るんだけど、猫にはちょっと難しい。招き猫の置物のように、笑えたらいいのにと思う。ボクはまた彼の腕をつつく。言葉が話せたら、彼に自己紹介するのにね。

 えー、名前は、一応『クロ』って呼ばれてました。年は二歳ちょっとです、とか。

 彼は大きく伸びをすると、体を起こした。

「そろそろ帰ろうかな」

 ボクの気持ちを察することもなく彼は起きあがり、制服についていた草を払う。そして、ボクを置いて歩き出した。

 あっ、ちょっとちょっと待って。ボクは慌てて彼の後をつける。しばらく土手に沿って歩いた所で、彼はようやくボクがついてくるのに気付いた。

「何? ノラも来るの?」

 振り向きざま、彼は聞く。『ノラ』? それボクのこと?

「ノラも家に来るか?」

 いや、『ノラ』って名前じゃないんですけど……。ま、いいか名前なんて。今確か、家に来るか?って聞いてくれたよね! ボクは小走りに彼の元に走り寄り、体をこすりつける。猫のスキンシップだよ。

「僕は、榎本 えのもとしょうって言うんだ。高校一年」

 ボクを見下ろして彼、翔は、そう言った。ん? ボクに自己紹介してくれるの? よろしくね翔。ボクはそう言うつもりで彼のにこやかな顔を見上げ、嬉しい気持ちを目一杯現して鳴いた。





もう覚えている方は少ないかもしれませんが(^^;)、翔の友人とは「☆アイドル☆」のコロッケ好き香田大輝君です。

翔が住んでいるのも大輝や隆輔が住んでる商店街の近くという設定です。香田さんちや隆輔のコロッケ屋もそのうち出てくると思います。

興味のある方は、共同製作「☆アイドル☆」をご覧になってくださいね。(ただ今執筆休止中)

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