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僕の物語― それでも、前へ ―  作者: シロイルカ
第1幕 それでも前へ
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第七章 優しすぎる自分が嫌いになった頃

家族という形が、音もなく崩れていった日だった。


家族という居場所を失ったあと、僕の中に強く残った感情があった。


それは怒りよりも先に浮かんだ、「優しすぎた自分への嫌悪」だった。


相手を思うあまり本音を飲み込む。


ぶつかるより我慢を選び、正しさより空気を守る。


家族のためだと思って続けていたその姿勢が、いつの間にか自分自身を削っていた。


無理をして笑い、傷ついても平気なふりをする。


周囲から見れば優しい人間でも、自分の中では少しずつ壊れていく音がしていた。


「どうしてもっと強くなれなかったのか」

「なぜ嫌われる勇気を持てなかったのか」


裏切られたあと、真っ先に責めたのは相手ではなく、自分だった。


優しかったから守れなかった。

信じすぎたから壊れた。


そう思うほど、あの頃の自分が嫌いになっていった。


それでも今なら少しだけ分かる。


あの優しさは弱さではなく、必死に家族を守ろうとした証だったのだと。


完璧じゃなくても、不器用でも、あれは確かに僕の生き方だった。


そして今、僕は思う。


傷ついたからこそ、誰かの痛みが分かる。


裏切られたからこそ、簡単に人を切り捨てない強さを持てる。


優しさは失うものではなく、鍛えるものだ。


昔のように無防備に与える優しさではなく、自分を守りながら、それでも人を思いやる優しさ。


誰かを信じることをやめない。


人に冷たくならない。


壊されたからといって、自分まで壊れた人間にはならない。


それでも僕は、強く、そして人にやさしく生きていくと決めた。

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