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僕の物語― それでも、前へ ―  作者: シロイルカ
第1幕 それでも前へ
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第五章 壊れていく現実

ある日、家に帰ると、部屋が静まり返っていた。


いつもの音がない。子どもの声も、生活の匂いも消えていた。ただ空っぽの部屋だけが残っていた。


連絡をしても返事はない。電話もつながらない。違和感は一瞬で確信に変わった。


机の上には、妻の携帯電話が置いてあった。電源を入れると、すでに初期化されていた。その隣には貯金通帳があり、預金はほとんど引き出されていた。


悪い夢を見ているようだった。


実家に連絡しても、そこにも妻はいなかった。


警察にも相談した。しかし返ってきた言葉は冷たかった。


「その件はこちらで把握しています。捜索願は受理できません。」


それだけだった。


子どもに会えない。


今まで心の支えだった存在に、突然、触れることすらできなくなった。その現実に、頭がおかしくなりそうだった。


なぜ、こんな仕打ちを受けなければならないのか。


僕は今まで、家族のために頑張ってきたつもりだった。


それなのに、すべてが消えた。


僕の生きる理由だったものが、全部なくなった。


もう嫌だ。


辛い。


消えたい。


終わりにしたい。


そのとき、僕は初めて思った。


人は「死にたいから死にたい」のではない。


生きる理由を、すべて失ったときに、そう思ってしまうのだと。

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