表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の血引いた俺、ジジイになるまで戦うってよ  作者: あーちらいおん
第1部「渡川勝己(とがわかつみ)高校生編」その1
6/22

第1部第6話「立場」

2013年5月某日――

これは、物語に呑まれかけた高校生が“自分の物語”を取り戻すまでの話だ。


異常な空間、強制されたファンタジー。

仲間の洗脳、NPCとして扱われたヒロイン。

すべては"物語を操る者"によって用意されたものだった。


だが、俺・渡川勝己(とがわかつみ)は負けねぇ。


たとえゲームマスターがどんなに完璧を気取ろうと、

ファギアがあればバグだって起こせる。


見せてやるよ――

「設定だけの世界じゃ、俺たちの心は縛れねぇんだ」ってな!

2013年 5月17日

第1部第6話「立場」

放課後──。

またしても未久ねえが、

朝食を作らずに寝坊という“大人のお姉さん失態”をやらかしたので──

俺は、冷食を買うことにした。

向かったのは、歩いて遠い国道38号沿いのスーパー、ヒトマル。

──ところで、読者諸君。

「1話のあのエ●本、才崎に渡せたのか?」

って夜しか眠れなかっただろ?安心してくれ。

渡せました。あの3日後に。

……いとこものエ●本をな!!!

──さて、ヒトマルの隣には百円ショップがあって、

そこにはO市から運ばれてきた“消費期限2日後”の弁当が置いてある。

見つけた瞬間、俺は閃いた。

(そうか──ここで3日分買えば持つな!)

というわけで、

俺は弁当を3つ購入した。

•一つは今夜の保険

•残り二つは明日と明後日用

冷蔵庫で冷やせば……まぁ、なんとかなるだろ!!

帰り道、

俺はアリアケ公園の水飲み場で水を飲んでいた。

──と。

(あっ……あれは……)

いとこもの大好きマンじゃん。

目の前にいたのは──

TRPGバカであり、変態でもある俺の友人、才崎。

なんか、ライターなんかカチカチしてる。

りこ「勝己く〜ん!」

後ろから声がして振り返ると、

りこが走ってくる。

(はぁぁ〜〜……

走ってくる姿、愛くるしすぎるんだよなコイツ……)

そんな俺の妄想タイムを遮るように──

才崎が話しかけてくる。

才崎「ねぇ勝己、TRPGやろうよ!」

勝己「おいおい、屋外でかよ。

つーか、俺んち今……いろいろ面倒なんだよ。」

(この“いろいろ”ってのはな──

未久ねえがマジでダメすぎるってことだ。)

•居候のくせに、飲み干したビールの缶を片づけない

•洗ってない下着が、リビングに3枚くらい落ちてる

•おまけにパンイチでうろつく日もある

──こんな家に、

りこなんて呼べるわけねぇだろッ!!!

もはや俺は──

未久ねえのお世話役(笑)状態。

──まあ、そんなことは置いておいてだ。

あいつは──

ライターを持っている。

(……なんでこんなところで火つけてんだよ、マジで)

りこ「あ、才崎くんだ。

なにしてるの?」

才崎「──ドラマチック・ライター。」

ライターに、小さな火が灯る。

──次の瞬間。

その火を見た、

ほんの一瞬だけ。

世界が──

真っ白に、飛んだ。

(……ッ!?

意識が──

意識が……!?)

──意識が、ブラックアウトした。

でも、次に目を覚ましたとき──

そこには。

真っ白な部屋が広がっていた。

勝己「……おいおい……

まさか、“白い部屋”とかマジで起こるのかよ……」

──と、そのとき。

才崎「さぁ、ゲームをしよう。」

目の前には──

あの才崎が、スーツ姿で立っていた。

才崎「ロール(役割)はこうだ──

勝己、お前は“ヒーロー”。

りこちゃんは“姫”。」

──視線を向けると。

そこには──

水色のドレスを纏った、りこがいた。

ピンク髪×水色ドレス。

この世で一番、似合ってる。

勝己「お、おい……

俺は制服のままじゃねえか……」

才崎「いいじゃん。

学生だって、ヒーローにはなれるだろ?」

……そう言って、

才崎は指をパッチン、と鳴らした。

──世界が、動き始めた。

(ショータイムってか……!)

才崎「第1の関門──

モンスターを倒せ。」

その声と同時に、

目の前にバカでかいドラゴンが現れた。

(出たッ!王道すぎる展開!)

そして、俺の足元には──

特大サイズの10面ダイスが2つ。

──某お嬢様の挨拶っぽいテレビで、ライオンの着ぐるみが転がしてそうな、アレ。

りこ「た、助けて〜!!」

(くっ……!

めちゃくちゃヒロインしてるッ!

ここで助けなきゃ男がすたるってヤツか……!)

才崎「ファギアの使用もOKだよ。

もちろん、素直にダイスに頼っても──いい。」

勝己「だったら──

こうするに決まってんだろがァ!!」

──バトル開始ッ!!

だが、

俺には最初から“戦うつもり”なんてねえ。

ファギアOKって言ったのは──

そっちだろうがァ!!!

勝己「インビンシブル・インビジブル──

01(クリティカル)を出す役割を空気に与えるッ!!!」

10面ダイスが、

カツン──コロコロ……

表示された数字は──

01。

──クリティカル・ヒットッッ!!!

ドラゴン「ぎ、ぎしゃあああああああああ!!!!」

一撃で爆発四散。

才崎「……ふふ。

さすがは“サマの天才”だ。

君のファギアとは、相性が最悪だね。」

勝己「才崎──

お前、その力……どこで手に入れた?」

才崎は、ニヤッと笑う。

才崎「大門くんがくれたんだ。」

勝己「また大門の野郎かよ……

あいつ、どんだけ配ってんだイヴィルファング!!」

──その瞬間。

空間が、**グワン……ッ!!**と揺れ始める。

りこ「きゃっ、ゆ、揺れすごいね!!」

──そして。

プルン。

(うおおおおおおお!?!?

りこのたわわが物理法則に従ってプルンと!?)

しかし、俺は──

囚われの姫ポジのりこを、遠目にしか見れねぇ。

勝己(……くそ……

俺のファギア、録画非対応なんすよ)

(って、

ハードディスクみてえな説明してる場合じゃねえ!!!!)




──足元が、グラリと変わる。

空間は“橋”になった。

才崎「第2ステージ──

6面ダイスを7回振って、“合計37ぴったり”を出せ。」

勝己「はぁ!?何言ってんだオメー!?

そんなもん、毎回ファギアでいじるに決まってんだろが!!」

才崎「──ただし。

ダイス“そのもの”にかけられる能力は1回までだ。」

(チッ、制限付きってわけか……)

勝己「りこ!

7回目を振ったら、叫べ!!」

りこ「えっ、う、うん!」

勝己「インビンシブル・インビジブル──

“触れたら6が出る”役割を空気に与えるッ!!」

──ダイスを振る。

6。

6。

6。

6。

6。

6。

(合計、36! あと1だ!!)

りこ「で、でも……

1なんて、都合よく出せるの……!?」

勝己「叫べぇぇぇ!!りこぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

才崎「ふふ、さぁ……

運との戦いだね。」

りこ「勝己くぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!!!」

勝己「インビンシブル・インビジブル──

“声の振動で物体をひっくり返す”力を空気に持たせる!!」

サイコロが空中でクルンとひっくり返る!

──出た目は、1。

勝己「6の反対面は、1だぜ。」

才崎「……今の。

サイコロに干渉したのでは?」

勝己「は?

俺、**“サイコロ”なんて一言も言ってねぇけどなぁ〜?」

──へへっ。

ざまぁみろ、吟遊野郎。

俺は、小ばかにした顔でヤツをにらみつける。

才崎「最後は──

僕が“魔王”として、君たちと戦おう。」

(出た!TRPGあるある、GMの自己投影ラスボス!!)

勝己「へっ──

ボコボコにしてやるよ、この吟遊野郎ッ!!」

──ルール説明が告げられる。

•勝己ライフ:300

•才崎ライフ:1000

•アクションごとに攻撃数値決定

•才崎はターンごとに**“イベントダイス”1D6を振る**

•10ターン以内に決着がつかなければ、魔王=才崎の勝ち

才崎「さぁ、ヒーローのターンだ」

勝己「おうよ!!」

勝己「インビンシブル・インビジブル──

“てめえを殴る”役割を空気に与える!!!」

──バコォン!!!

空気が炸裂、才崎の身体を吹き飛ばす!!

才崎「ふふ……

残り、850だよ。」

勝己「っし、まぁ──

初撃にしてはイイ感じじゃねえの?」

(いける。

いけるぞ、これは──!)

才崎「──イベントダイス!」

才崎「さぁ……

ダイスの女神は微笑むか、それとも……あざ笑うか?」

──コロコロ……ピタッ。

出目は──4。

才崎「おやおや……

イベント発動──《姫、洗脳》。」

(──な、なんだって……!?)

空から、ふわぁっと──

りこが舞い降りてきた。

(ちっくしょおおおおお!!!

さっき視力に役割与えときゃよかった!!!

ぜってぇ見えてたもん!お得だったもん!!!!)

──だが、

りこの瞳には光がない。

りこ「……才崎さま……」

(し、死んだ目してやがるッ!!)

──しかも次の瞬間。

りこが、才崎の前に跪いた。

(うわああああああああ!!!

これ、“寝取られ”だよな!?

完っ全に、寝取られイベントだよな!?

くそがああああああ!!!!)

才崎「──あ、ちなみに」

才崎「“姫の愛”で、さっきのダメージはチャラだからね。」

才崎「ライフ──1000に戻りました。」

(ざっけんなクソがああああああ!!!!!!)

勝己「……だったら俺は──

直接てめえを殴る!!」

才崎「いいのかい?

それじゃ100ダメージしか出ないよ?」

勝己「ふん、いいぜ。

てめえ、攻撃にファギア使ったら2手番扱いってルール、

使わなきゃ制限ねえんだよなぁ!?」

(へへ、ざまあみろ。ルールの隙間、ブチ抜いてやる)

才崎「……ふふ。

でも僕には“姫の愛”がある。

小さなダメージなら──

なんどでも回復できる。」

勝己「……へぇ。

じゃあ──

その“姫の愛”を逆手に取らせてもらうぜ。」

勝己「インビンシブル・インビジブル──

才崎の発言の“空気振動”を、“いやらしい言葉”に変換する役割を空気に与える!!」

──才崎「愛してくれ」

→りこに届いた言葉:「抱きしめたいなぁ!」

りこ「え?才崎さま……?」

才崎「な、なんだ今のは!?」

→才崎「おい、発動しないじゃないか!」

→りこに届いた言葉:「ドレスなんて脱げよ」

りこ「い、いやああああああああああああ!!!!!!」

──次の瞬間。

りこの目が、光を取り戻した。

(……やった!

“才崎の物語”から、りこを取り戻した!!!)

勝己「インビンシブル・インビジブル──

“姫から俺へのダメージを、GMに移す”役割を空気に与える。」

りこ「えっ……?」

勝己「……ぶってください。

お願いします!!(土下座)」

りこ「こ、この……変態ぃぃぃぃぃ!!!」

──バゴッ!!!

勝己「いってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

(……でも、悪くねえ……ッ!)

才崎「な、なぜだ!?

なぜ攻撃が終わらない!!」

勝己「へっ、バグだよバグ!!

同行NPCの連続行動チェック、怠ったお前のミスだろーがぁ!!」

──りこ「ご、ごめん!!ごめんってば!!」

──バキッ!ドカッ!!

勝己「あ、あぁ……

**見えてる!**ふふ……儲けたぜ!!」

りこ「このッ!変態ッ!!!!!!」

──ズガァァァァァァァァァァン!!!!!!

りこの“変態蹴り”が、才崎=魔王に炸裂した!!

──才崎のライフ、0。

【勝者:渡川 勝己】

才崎「う、うーん……」

──気がつくと、そこはいつものアリアケ公園だった。

勝己「ち……穴だらけだったぜ、欠陥ゲームがよ……」

りこ「でも……

その“穴”がなかったら、私は戻って来れなかったかもね。」

才崎は、静かに立ち上がる。

才崎「──最高に楽しかったよ」

「グッドゲーム。」

サムズアップしてくる。

勝己「二度とやるかぁ!!ふざけんなぁぁぁ!!」

りこ「ふふ、でもまた遊んでくれそうな顔してるよ」

勝己「してねーよ!!してねえからな!!」

──そんな風に、俺たちは、

現実の中で“自分の物語”を歩き始めた──



お疲れ様でした!!!

今回のエピソードは「ジジ戦」でも屈指の名(迷?)バトル編でした!


まさかの物語内TRPG空間バトル。

しかもラスボスがゲームマスターという、厨二心全開の展開!

勝己のバカ正直さとファギアの屁理屈運用が輝いた神回でした!


「りこ洗脳」→「いやらしい声変換」→「変態プレイ反射ダメージ」

という、読者の予想を5周半くらい上回る結末には、

書いてるこちらも笑いと熱さと涙で仕上がりました。


そして才崎くん……

おまえ本当、次回出てきたらもっとヒドい目に遭うからな!!(愛)


次回からはちょっと落ち着いた日常編かな?

でも、勝己の物語はまだまだ終わらない!


引き続き応援よろしくお願いします!


ジジ戦は、まだ始まったばかりだ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ