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神の血引いた俺、ジジイになるまで戦うってよ  作者: あーちらいおん
第1部「渡川勝己(とがわかつみ)高校生編」その1
5/22

第1部 第5話「異質」

いつもと同じ朝、いつもと同じ教室──

……のはずが、何かが違う…

些細な違和感から始まる異変。

2013年 5月8日

第1部 第5話「異質」

──水曜日が、好きか嫌いかって?

正直、微妙なところだ。

「週の折り返しだな」って前向きになれる時もあれば、

「あと2日あるのかよ……」ってナーバスになる時もある。

──八方美人な曜日、それが水曜。

しかも今日は、連休明け2日目。

もう最悪のテンションだ。

俺はなんとか布団から起きようとして──

その時、手にふわっと、やわらかい感触が──

……は???

横を見ると──

いとこの未久ねえが、寝ていた。

しかも──笑ってる。

未久「ふふ……勝己くん、おはよ〜♪」

勝己「って!

アンタ朝飯作ってくれるんじゃなかったのかよぉ!!」

未久「えへへ〜……寝坊しちゃった♪」

勝己「……もういいよ!!

スエコーマートでパン買って学校行くからな!!」

勢いで布団を跳ね飛ばして、俺は急いで着替え始める。

(……なんだよもう……

この同居生活、心臓もたねぇ……!!)

学校へ行く途中、

俺は郵便局の横にあるスエコーマートへ立ち寄った。

腹ペコだし、なんか口に入れないとやってらんねぇ。

店内に入って、パンを2個とジュース1本を手に取る。

──そして、レジへ。

が、しかし。

目の前の客。

おっさんが、財布の中をごそごそ──

おっさん「えーっと……ポイントカード、どこだったかなぁ……?」

勝己おいおいおいおい……

勝己(ざけんなよ!?

俺、今すげぇギリギリなんだよ!?)

勝己(遅刻したら……

てめえのせいだからなコノヤロー!!!

この……ヅラ!!!!)

レジの遅延コンボを乗り越え、

俺はパンとジュースを手に、学校へダッシュした。

東谷高校・1年B組。

教室にたどり着いた俺を、

ガタイのいい男が待ち構えていた。

駒留「勝己く〜ん!」

……は?

誰だこいつ。

声の出し方、キッッモ……なんか裏返ってね?

勝己「……なんだよ、気色わりぃ呼び方しやがって。

てめぇ──駒留だったか?」

駒留「違うよ。

わたし、りこだよ♥」

……は?

何、気色悪いこと言ってんだ、こいつ。

ってか、そういえば──

りこの姿が、見えねぇ。

勝己「お前がりこなわけねえだろ、このすっとこどっこいが!!!!」

ツッコミつつも、

俺の中に、じわじわと奇妙な違和感が広がっていく。

(──おいおい、マジで……

りこが、どこにもいねぇぞ……!?)

担任の宮本が教室に入ってくる。

俺たち1年B組の担任、

年齢の割に服のセンスが昭和で止まってるタイプの男だ。

今日はいつも通り、

出席確認から始まった。

宮本「──鹿子?

……おい、鹿子はどうした?」

(……いねぇよ。

りこ、マジで教室にいねぇ……)

俺の中に、

変な汗がにじむ。

やっぱり──

なんかおかしい。

世界がズレて──

???「先生、すみません!」

──ガラッ。

りこが、教室に入ってきた。

りこ「腹痛で、トイレに行ってました〜!」

勝己「……なんだ、りこ。

ちゃんと……いる、じゃねぇか……。」

ちょっと拍子抜けするくらい、

いつものりこだ。

でも──

(なんか……

どこか、引っかかる……)

──朝のホームルームが終わり、

授業が始まるまでのちょっとした空き時間。

俺は、

さっきトイレから戻ってきたはずのりこに声をかけた。

勝己「りこ……お前、具合大丈夫か?」

りこ「うん。大丈夫だよ、渡川くん。」

……は?

苗字呼び……????

──え?

俺、この前のO市デートで、なんかマズいこと言ったか……?

勝己「な、なぁ……

俺、りこに……なんかまずいこと、言った?」

りこ「ううん。

なにもしてないよ?」

そう言うりこの顔は、

どこか──ぎこちなかった。

(これってもしかして……

関係が進展してる……とか……!?

え、これ、実はデレ期ってやつ!?!?)

──そんな俺の妄想をぶち壊すように、

太一「勝己、授業始まるぞ〜。」

勝己「お、おう……わかったよ。」

俺は、わけのわからないモヤモヤを抱えながら、

自分の席へと戻った。

(りこの様子が、どうにも……変だ。)

──そして、

あの駒留の野郎の「りこだよ♥」発言──

アイツの言葉も、引っかかる。

昼休み。

りこは、無言で教室を出ていった。

(やっぱり、怪しい。

りこ……本当に、あのりこなのか?)

俺は机に突っ伏して、

朝にスエコーマートで買ったパンをかじった。

──うん。

スエコーマートのパン、普通に美味いな。

……じゃねぇんだよ!!!

問題はパンじゃねえ!!!

りこだよ!!!

なんで、なんで俺のこと──

「渡川くん」なんて呼ぶんだよ!!?

俺はスマホを取り出して、

美沙都さんにメッセージを送る。

『ファギアって……

人を操るとか、あるのか?』

──すぐに、返信が届いた。

美沙都『ありえる。

心理起因のファギアも存在する。』

(……やっぱりかよ──

これは、“異常”だ。)

昼休みの終わり際。

俺が教室を出ようとすると──

後ろから、聞き慣れたキモい声に呼び止められた。

堀井「よお、渡川。

りこちゃんが、屋上で──自撮りばっかしてたの、見たぜ?」

勝己「なにぃ!?

どこでだ、屋上だなッ!?」

堀井の笑みがキモいことには目をつぶって、

俺は一気に屋上へ駆け上がる。

そこには──

制服のスカートを翻しながら、

ちょっときわどいポーズでスマホを構える“りこ”の姿。

勝己「──お前……

お前、本当に“りこ”か?」

りこ「ううん、わたし──りこだよ?」

……違う。

違う、何かが違う。

勝己「じゃあ──俺の誕生日は?」

りこ「4月7日」

勝己「血液型は?」

りこ「O型」

(くそ……

どれも……正解しやがる……)

でも、それだけじゃわからねぇ。

俺は、

あの日の“感情”をぶつけた。

勝己「じゃあ……

O市でデートした時、

下着のマネキンの前で……

俺に、なんて言った!?」

りこ「え……」

りこ「『こういうの好きなの?』」

勝己「……ちげえよ。」

沈黙。

りこ「……覚えてないよ。

そんなこと。」

──その瞬間だった。

俺の中で、

何かが「コレじゃない」と叫んだ。

そこへ、誰かが駆け込んでくる。

──駒留だった。

駒留「勝己くん!

そいつ、ファギアで“わたし”になりすましてたヤツだ!!」

勝己はすぐに試す。

勝己「じゃあ──

下着のマネキンの前で言った、あの時のセリフは?」

駒留「えっち。」

……間違いねぇ。

──よし、

決まりだッ!!!

勝己「インビンシブル・インビジブル。

空気に、“駒留がファギアを発動する”役割を与えるッ!!」

俺は、深く息を吸い──

“りこ(偽)”に向かって息を吹きかける!

りこ(駒留)「はぁ!?なにを──ッ!?」

──その瞬間、

りこの身体が淡く発光し始めた。

そして──

駒留の身体から、何かの“魂”のようなものが抜け出す。

スピリッツトレード──“心の入れ替え”の能力。

それが、元の身体へと戻っていく。

りこ「も、戻った……!!」

駒留(本体)「……やるじゃねえか、渡川。

俺の“スピリッツトレード”を見破るとはな。」

勝己「てめぇも──

大門にイヴィルファングを渡されたクチか?」

駒留「そうだよ!あれは“力”だ!

お前の能力もなかなかイイな……!

お前の身体を──寄こせ!!」

勝己「今度は俺を狙う気かッ!!」

駒留「俺のファギア──

スピリッツ・トレード!!!魂の交換ッ!!!」

駒留の手から、

眩しい光が発せられる!

勝己(やば……避けろ──ッ!!)

バッと身をかわすと同時に、

俺は、口を開いた。

勝己「インビンシブル・インビジブル──

光をカラスに向かわせる役割を与える!!」

ビュンッ!

駒留の放った光は、

空に舞っていた1羽のカラスへと飛んだ。

──次の瞬間。

カラスの身体が淡く光り、

入れ替わるように──駒留の意識がカラスに移る。

カラス(駒留)「が、がああああああ!!!!?」

勝己「人間の身体じゃねえと、

ファギアは使えねぇんだろ?」

りこ「信じてくれてありがとう!勝己くん!」

あたりまえだ。

勝己「お前が苗字呼びなんてするわけねえからな」

カラス(駒留)「かあああああああ!!(ちくしょおおおおおお)」

駒留 カラスとして余生を過ごす。


お読みいただきありがとうございました!


第5話、いかがでしたか?

今回は“りこがりこじゃない”という、ジジ戦初の心理ミステリー風展開!


「好きな子を“感覚”で見抜く」って、やっぱり勝己の最大の強みだなと思いながら書きました。


そして駒留──カラスとして余生を過ごします!


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次回もよろしくお願いします!

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