第1部第4話「未久(みく)」
今日は暑い、暑すぎる……!
北海道ってこんなに暑かったっけ!?とツッコミながら始まる今回、勝己とりこの青春お出かけ回です。
ただし油断してはいけません。尊さと煩悩のサンドイッチをどうぞお楽しみください。
そして後半、ついに登場する“新たな爆弾”──未久ねえ。
一つ屋根の下、合法、タオル装備の大人の余裕──勝己の理性の防御力はゼロです!!
2013年 5月3日
第1部 第4話「未久」
北海道──
とくに道東、それもここ十勝のゴールデンウィークの気候ってのは……極端だ。
真夏みたいにクソ暑くなったかと思えば、
冬に逆戻りかよ!って年もある。
冷たい秋のような雨が降ってくる年もあって、
「どっちつかず」なんて、むしろレアだ。
だが──
今年は、“夏”が来るのが早すぎた。
天気予報によると、O市の最高気温は──
32度。
……おいおい、5月だぞ!?
この東谷も、きっと同じくらいあるだろうな。
──というわけで、俺は家の中で涼んでいる。
りこもいる。
あ、安心してください、健全な関係です。
……え?フラグ?知るか。
リビングで俺は、
「外になんか出たくねぇ!!」と抗議中──という形だ。
勝己「ちくしょー……あっちぃ……」
すると、
りこが優しく、うちわで俺を仰いでくれる。
ぱたぱた──
風、ちょー気持ちいい!!!
りこ「ねぇ、勝己くん。
O市、行くんでしょ?」
勝己「気持ちよすぎて……行きたくねぇ。」
りこ「じゃあ、仰ぐのやめた。」
……意地張らないでぇぇぇ!!!
しかも、
よりによってこんな時に……!
築17年。
親父が建てたこの家のエアコンは、現在、故障中。
部屋は蒸し風呂。
汗ばんだ空気の中──
白いワンピースのりこが、
軽く汗をかいて、背もたれに寄りかかってる。
……透けてる。
たわわを守る、神の布が!!
こ、これは……地獄か……?
いや──
──天国だッ!!!(確信)
かくいう俺も──
高校1年の、健全な男子である。
つまり今この状況、
完全に“生殺し”なんだよ!!!
触りたい……
りこの、その果実を……!!
りこ「──鼻息、荒いよ?」
ッッッあぶねぇ!!
理性よ帰ってこい!!!
俺たちは、まだ付き合ってないんだから!!!
りこ「ねぇ、もう9時になるよ?
今からなら、9時30分の普通列車に間に合うって。」
勝己「わかった!
……わかりました!!行きます!!!(即答)」
──そうして、
俺たちは勢いのまま駅へ向かい、切符を買った。
そして──
りこが、俺の腕にくいっと手を絡めてくる。
あ、暑ぃ……
でもなんだこれ、
こんな美少女と腕組んで歩く俺、カップルっぽくね!?
勝己「……でへ、でへへへへへ……」
りこ「……笑い方、
変質者のそれだよ、勝己くん。」
プシュー……。
列車のブレーキ音とともに、
俺とりこは、ホームに滑り込んできた車両に乗り込む。
東谷駅は、出発駅から二つ目ってこともあって、車内はわりと空いている。
俺は、りこと並んで座った。
身長175センチの俺と──
150センチのりこ。
……この組み合わせ、どう見えるだろうか?
──きっと、“ベストカップル”だな!間違いねぇ!!(確信)
列車は静かに走り出す。
次の駅、**千景**では、老人が一人、乗車。
その次のM町からは、なんかヤンキーっぽいのが4人ほど乗ってきた。
(M町ってわりと利用者多いんだけど、
今日に限っては、少ない方かもな。)
そんなことを考えているうちに──
**西O → 百厘台**を経て、
俺たちの目的地──O駅に到着する。
降りた俺たちが向かうのは、駅前の中島屋 O店。
街中にあるこの中島屋、通称──“街中”。
(昔は西Oにもあったんだけどな。
今じゃ……ペンギンの支配下だけど。)
中島屋。
俺たちはいろんな店を回った。
インデ●ンカレーで腹を満たし──
ゲーセンでぬいぐるみを取って──
そして、なんとなく通りかかった
女性下着売り場のコーナー。
……その時、りこが言った。
りこ「ねぇ、勝己くんってさ──
子供の頃、マネキンのブラジャーの上から撫でてたって本当?」
勝己「まさか……
それ、お袋から聞いたのか!?!?」
……ぼんやりだけど、記憶にある。
そしてそのたびに、
「りこちゃんに言うわよ!」と叱られていた。
──お袋のやつ……
ほんっとうに言いやがったな!!!
勝己「……はい、そうですよ!
男はみんな、たわわが大好きです!!!」
りこ「……えっち。」
勝己「きましたァァァァァァッ!!!
“えっち”いただきましたーーーッ!!!」
──
そんなこんなで、俺たちは、
すっかり楽しんで東谷へと帰った。
りこ「また、行こうね!」
勝己「おうよ。
また行こうな。」
家に帰って、
玄関を開けた瞬間──
見慣れない女性ものの靴。
……は? 誰だよ?
お袋が履くには、
ちょっと若々しすぎる。
しかも中からは、
カレーの香り。
トントン……と包丁の音。
そして、
キッチンに立つ、長い茶髪の女性の後ろ姿。
──まさか……!
(まさか……親父の……
愛人!?!?)
しかも……
缶ビール、片手に持ってるし!!
料理しながら酒って、疲れた主婦か!!!
勝己「っ……
インビンシブル・インビジブル。
空気に“俺の知らない人間だったら殴る”役割を与えるッ!!」
……あれ?
殴らねえぞ……?
女性「久しぶりー、勝己くん♪」
その声で、わかった。
未久ねえ──深山未久だ!!
勝己「未久ねえか!?」
女性はくるりと振り返り、笑った。
未久「フフッ。
わたしだよ〜♪ 未久お姉ちゃんだよ〜〜!」
──おいおいおいおい……
この人と、あの美沙都さんが姉妹!?!?
いやいや、
信じられねぇよ!!!
全ッッ然、違ぇタイプだろこれ!!!!!
昼にもカレーを食った俺は、
夕飯でもカレーを食うことになった。
未久「朱鷺子おばさんに頼まれたんだよ〜。
しばらく留守にするから、勝己くんのことお願いってさ♪」
おいおいおい……!
こんな、背は165くらいあって、
たわわもある、
結婚できる年齢のお姉さんと──
一つ屋根の下……だとッッ!?
勝己「なあ未久ねえ、たしか今、21だったよな?」
未久「うん、そうだよ〜。
だからお酒は、オーケー!」
……ヤバい。
この状況、全部合法……ッ!!
お、落ち着け……!
と、とりあえず風呂だ。風呂入って冷静になれ!
素数だ、素数を数えろ……!
2、3、5、7、11、13、17、19……
29、31、37……えっと……
57って素数だっけええええ!!!??
──そのとき。
ガラッ。
風呂の扉が、開いた。
いや違う、これは──
俺の理性の“トビラ”でもある!!!
最後のトビラが……!崩壊する!!
未久「頭、洗ってあげるね〜♪」
……未久ねえは、
ちゃんとタオル巻いて、完全対策済みだった。
……完全に、大人の余裕……。
しゃかしゃか、しゃかしゃか──
未久ねえが、優しく俺の頭を洗ってくれる。
勝己(……あ、気持ちいい……)
未久「かゆいところ、ありますか〜?」
よし……よし……!
美容院とかで一度は言ってみたかったアレ──今こそ解禁ッ!!
勝己「あー、ち●こ。」
未久「──頭の話だよ。
も〜〜、スケベっ!」
……ですよね〜〜!!!
マジレスされるよな、そりゃ。
でもなんだか……
未久ねえ、中身は小学生の頃と変わってないな。
俺が4年から6年まで、
一緒に暮らしてたあの頃と。
……そんな、どこか安心する感覚に包まれながら──
この時の俺は、まだ知らない。
未久ねえとの“一つ屋根の下”の生活が、
まさか──大人になっても続いていくなんてことを。
お読みいただきありがとうございました!
本話では初の“外出イベント”に加え、未久という爆弾が投下されました。
勝己の理性はギリギリ保たれてますが、この先どうなるのか……いや、どうにかなってしまうのか!?
ちなみに作者、書いててめちゃくちゃ楽しかったです。
未久ねえ、今後も出番あるのでぜひ覚えてやってください。
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次回もよろしくお願いします!




