第1部 第3話「氷解」
前回の筆箱監獄バトルに引き続き、今回もヤバいファギアが登場します。
クール系美人先輩・静華さんの魅力も爆上がり!
さらには、ちょっとだけ「この町を守る」って覚悟に目覚め始めた勝己!
ちょっとずつ物語が加速してきたので、引き続きお楽しみください!
2013年 4月26日
第1部 第3話「氷解」
よぉ!
渡川 勝己だぁ!
前回──まあ、一昨日の出来事なんだけどな。
改めて思い知ったぜ、ファギアのヤベぇところ……!
音を奪って詠唱キャンセルとか!
監獄を定義して筆箱に閉じ込めるとか!?
なんだよそれ、
中二病どころの騒ぎじゃねぇ!!!
この“力”を使うヤツらが、
もっと増える可能性があるなんて──
考えただけで、マジでヤバい。
イヴィルファング……
そいつを、なんとしてでも止めねぇと!
俺はもう、決めたからな。
この街の“笑顔”を、俺が守る。
バカでも、空気しか操れなくても──
“俺の役割”は、そこにあるんだ!!
──放課後。
授業も終わったので、
俺は静華の元へ向かおうとしていた。
「勝己くーん、帰ろうよー」
その声は──
俺を呼び止める、可愛らしい天使の声!!!
りこ……!
俺のメインヒロイン!!!(自称)
勝己「ごめんな、今日は一人で帰ってくれ!」
りこ「……もしかして、氷室センパイのこと?」
──えっ!?!?
りこちゃん……
知ってたのぉ!? しずかちゃんのことぉ!!??
勝己「え、えーっと、いつ!?
いつ静華のこと知ったんだ!?」
りこ「美沙都さんから連絡あったよ。
“氷室センパイに力を貸してあげなさい”って。」
なんてこった……!
いとこヒロインからの大事なメッセージ、ガン無視してたーーー!!
(メッセージ履歴)
美沙都『右京アリスの持っていたイヴィルファングは静華から回収した。引き続き捜索を頼む』
勝己「ああああああ!!!
完全に昨日のメッセ、読み忘れてたぁぁぁ!!!!」
勝己「美沙都さん!お願いだ、りこを迎えに来てくれ!」
美沙都『なぜだ?
──敵のファギア持ちに狙われているのか?』
勝己「……ちげえよ。
りこは家に帰ると、一人なんだよ。
両親が共働きで、家に誰もいねぇんだ。」
一瞬の沈黙。
美沙都『……フッ。
いいだろう。お前のガールフレンド、
傷つけさせはしないさ。』
勝己「ガ、ガールフレンドって誰がァァァ!!?」
──まあでも、
あのキル・ザ・ブリンガーを操る美沙都さんと一緒なら、
りこは間違いなく安全だ。
……と、思った瞬間──
俺の脳内が暴走を始めた。
(イメージ)
美沙都「りこ……可愛がってやるよ」
りこ「あぁん……お姉さまぁ……♡」
──キ、キスしてるぅぅぅ!!!!!!
ちょ、ちょっと待って!!!尊すぎてヤバいんだけどッ!!!
俺は思わず、口元をおさえて震えた。
勝己「(……これはこれで、アリだな)」
美沙都『引き続き、イヴィルファングの捜索を頼んだぞ。
……りこのことは、任せるんだ。』
勝己「了解っす!頼んだぜ、クールお姉様!」
りこ「勝己くん!
氷室センパイと……変なことしちゃダメだからね!!」
勝己「そ、それは俺のセリフだろおおぉぉ!!」
──ああ、
りこと美沙都さんが、
夕陽の向こうへと去っていく。
ちょっとだけ、不安。
でも──ちゃんと背中を任せられる安心もある。
さてと──
俺は足を向ける。
校舎裏。
産業コースの実習棟、
──そのさらに裏手にある、ほとんど人の来ない場所。
風の音だけが、聞こえる。
(さて、氷室先輩……今日の機嫌はどうだろうな?)
静華「……ようやく来たのね、勝己。」
夕陽が差す校舎裏で、
静華がすっとメガネを指で直す。
その仕草が、妙に様になってて──
勝己
勝己「あのー、先輩?
今日はどういった感じで、いらっしゃるおつもりで?」
静華「──見つけたのよ。
2年生で、イヴィルファングを持つ生徒を。」
静華が一歩、俺に近づく。
視線は鋭くて、でもどこか柔らかい。
静華「……それと。
煩わしいなら、“静華”でいいから。」
勝己「…………ッ!!」
キ、キターーーーーーーー!!!
──名前呼び、公認!!!
勝己(うぉぉぉぉぉぉぉぉぉおいおいおいおい!!!
今、めっちゃ進展してんじゃね!?!?
これ、任務とか関係なくね!?!?)
──俺の脳内、軽くお祭り騒ぎである。
勝己「で、静華──
その生徒って、どこにいるんだ?」
静華「産業コースの生徒。
名前は……建創 清二。」
そのときだった。
──ギィィ……
俺たちのすぐ横にある、実習棟の古びた鉄扉が、
**ギィ……**と音を立てて開いた。
建創「ようこそ、ファギア持ち共。」
そこに立っていたのは、
身長180近くはありそうな、がっちりした男子生徒。
建創「お前らも“持ち”だな?
じゃあ……俺の“兵隊”に、殺されると良い。」
建創「──トイ・ウォリアーズ!!」
バチッ、と空気が震えた。
すると──
地面から、カチャカチャと音を立てて現れる……
木でできた兵隊たち。
目の前に広がるのは、
おもちゃの兵士の小隊……!!
勝己「な、なんだぁ!?
木製!? いやこれ……めっちゃ動いてる!!」
静華「……指示系ね。
なら、“命令を黙らせれば”──無力化できる……! くっ!」
パンッ!!!
銃声が響いた。
静華の脚に、赤いしぶきが散る。
勝己「し、静華っ!!」
ストッキングが破け、膝から血が滲む。
それでも彼女は、眉一つ動かさず踏みとどまる。
──が。
建創「氷室ォ……
お前のこと、ずっと前から狙ってたんだよ。」
その目は、狂気に濡れていた。
勝己「……デケェ図体の割に、
やることが……陰湿なんだよ、お前はよ!!」
──俺はこういうヤツが、
一番、大っ嫌いだ!!!
勝己「インビンシブル・インビジブル!
空気に、“逆の意味に聞こえる役割”を与えるッ!!」
建創「──邪魔するなァ、1年!!
兵よ!敵を撃てェェ!!」
……だが──
その言葉は、変わって届く。
『守れ』『味方を撃つな』──が、
『攻めろ』『敵を撃て』に、
真逆の命令となって響いたッ!!
カチャ──バン!バンバンバンバンッッ!!!
建創「な、なにっ!?
……て、敵は──あっちだぁぁあああああ!!!」
兵隊たちは、
命令通りに建創自身を──ハチの巣にした。
──バタリ。
倒れた建創から、キバのような異物が転がり落ちる。
静華「……見事ね。」
メガネを、クイッと上げる。
ほんの一瞬。
その瞳が、やわらかく笑ったように見えた
静華「勝己……肩を、貸しなさい。」
勝己「は?
お、おい、冗談だろ!?
自分で歩けよ!!」
──言いながらも、
俺は自然と、静華を背負っていた。
静華「……こうやって、誰かの背中に身を預けるのは……
父さん以来ね。」
……静華の父親。
イヴィルファングに耐えきれず、命を落とした人──
勝己「……そういう言葉、
本当に好きな相手にだけ取っとけよ……バカ。」
静華「フフッ……。
さぁ、“美沙都さんのところ”までお願いするわね。」
──そのとき。
ふわり。
背中に……
やわらかい感触が……!!!!!
勝己「っ……メガネ先輩……サイコーかよ……!!!」
──
俺は今日、“一つの氷”を溶かした気がした。
あーちらいおんです!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
氷のようにクールな静華先輩に、ちょっぴり距離が近づいた回でした。
戦闘も、相手のファギアの性質を“読み合う”頭脳バトルに近づいてきて、
勝己の成長も感じられてきたかなと思います!
感想や評価、お気軽に送っていただけると励みになります!
次回もどうぞよろしくお願いします!




