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神の血引いた俺、ジジイになるまで戦うってよ  作者: あーちらいおん
第1部「渡川勝己(とがわかつみ)高校生編」その2
21/22

第1部 第20話「不和」

前回までのあらすじ

なんか、でっっっかいコブができました。

名をリョウ。俺のことを「パパ」、りこのことを「ママ」と呼ぶ。

……なんだこの状況、めんどくせぇ。


2013年 7月2日



翌朝。

俺は早く起きて、未久ねえに頼もうと思ったんだ。

学校に行ってる間、リョウの面倒をお願いできないかって。

勝己「未久ねえ。」




未久「んぁ~……勝己くん、おはよ~♡(ほろ酔い)」

……って、おい。

昨夜のテンションのまま、朝ビールいってやがるこの人!!

未久「勝己くん、チューしよ♡」

勝己「やめろぉおお!!」

そのときだった。

りこ「あの、そういうの──やめてもらえませんか?」

※めっちゃ低い声で。

勝己「(あかん、汗が止まらん……)ア、アラヤダ、リコチャン、完全に敵対モード……」

これはダメだ。未久ねえには、リョウは任せられん!!

でも──

りこ「……でも、私たち学校があるよね……?」

そう、それもそうなんだよ!

この状況、完全に八方ふさがりだ!

くっそぉ、もし未久ねえがもうちょっとまともな大人だったら……!







勝利「ん?子どもの声がすると思ったら……なんだボウズ。

俺は孫を迎える準備なんて、まだ出来ちゃいなかったんだけどなぁ~?」

リョウ「もしかして……おじいちゃん?」

──ちょっと待て、なんで即答なんだリョウ!?

リョウ「じゃあ、この人は……おじいちゃんの、えっちな相手?」

勝利「これだッ☆」

(※小指を立てて、満面の笑み)

バチン!

美沙都「不純な一家だこと!!」

勝利「いてぇっ!? 何すんだよ美沙都ぉ!」

美沙都「今の、録画しておけばよかったな。伯母さんへの提出資料としては最高だったのに。」

美沙都「なぁ、勝己。《インビンシブル・インビジブル》に録画機能はついていないのか?」

勝己「発動すらしてねぇよ!

ついてたとしても、あって視力レベルだっつの!!」



話題をそらすしかねえな。

勝己「──あー、あの地下アリーナの話なんだけどさ。

あそこ、金持ちどもが道楽でファギア持ちを戦わせてる場所でさ。

最悪、死人が出てもおかしくないっていう……まさに狂気の見世物小屋だった。」

勝己「俺は大門を追って潜り込んだけど、もう、あんなことでファギアを使いたくねぇ。」

──軽く言ったけど、本音を言えば、あそこは地獄だった。

確かに、俺のファギアの進化にはなったが、それでも。

……そして問題は、大門。

あの野郎、まるで道端のガム。普段は気にも留めないのに、一度踏んじまえばしつこいったらありゃしねぇ。

だけどな──

義妹が死んで、それに似たりこに執着してるって理由があるにしても。

だからって、ストーカーしていいなんて道理にはならねぇんだよ。

勝己「……リョウのこと、どうすっかなあ……」




ポクポクポク……チーン!

勝己「そうだ!りこ、ポケットなあれの育て屋ってさ、タマゴ作るだけじゃなくて──レベル上げにも使えるよな?」

これだ!名案きた!

勝己「親父に送迎を頼んで、近隣のO市にある託児スペースに預ける!これがベスト!」

──マフラー巻いてタバコ逆さに持ってる、あの某先生だってこう言うはずだ。 「それがベスト……」ってな!

未久「言わないわ!なに急に、有名漫画の登場人物になった気でいるの!?」

リョウ「パパとママはお勉強があるんだね。じゃあ、未久おばさんと待ってるよ」

未久「……今、なんて言ったァ!?」

リョウ「だって、パパのお姉ちゃんでしょ? だから、おば──」

未久「──お姉ちゃん、だよ?」

勝己「リョウくぅん? 21歳の人をおばさんって呼ぶのは怒られるんDA」

未久「昭和のカルトアニメみたいな言い方しないでくれる!?」

勝己「まあでもさぁ……親のいとこをなんて呼ぶべきかなんて、学校じゃ教えねーしなぁ」

未久「お姉ちゃん、で統一してください」

まぁ呼ばれ方には敏感なんだな。




未久「姉の子どもにおばになった妹が、お姉ちゃん呼びさせるのって、わりとあるあるなんだよ!」

勝己「いや、だとしてもだよ? 未久ねえは俺の姉みたいなもんだからな。それとはケースが違うでしょ」

未久「おばさんって呼び続けるなら、この子、迷子として警察に届けるから」

勝己「なにその地獄みたいな対応!? ていうか、常識人ポジションのあんたがそれかよ!? あの親和エルフ大好きメガネこと静華でも、同じこと言いそうで怖いわ……!」

勝己「つーか、昨夜リョウの相談してんのに、ガチャ切りされたしな……! あの女には、2マリガンスタート確定の呪いでもかけてやりてえわ!」

勝己「ん?静華からメッセージだな。昨日のガチャ切りの件、謝罪か?」

静華『見てこのハンド』

送られてきたのは、カードゲームの手札の写真。しかもかなり強い。

勝己「はぁ!? 朝っぱらからお前のデッキの布教とか誰得だよ!? デカブツとマナ1だけでスタートしてろ!んで、マナ出し用の生物引けずに事故ってろ!!」

……と、思ったらまたメッセージ。今度は……誤送信か?

静華『強すぎて勝ち確定ごめんなさい。そのリョウって子の件、警察にも相談した方がいいと思う』

勝己「謝る内容そこじゃねぇ!! ポンコツすぎんだろ、あの知的メガネ女!!」

もうキリがねえ!りこの元へ行くぞ




勝己「りこ〜、愛妻弁当はできましたかな〜?(にこにこ)」

りこ「愛妻だなんて……(照れて顔を赤らめる)そんなぁ……もうっ」

勝己「で、言いにくいんだが――未久ねえと静華から、リョウのこと警察にも相談しろって言われててさ。どうする?」

りこ「うーん……まあ、あの子、昨日の夜に雨の中ずっと立ってて、最初は名前すら思い出せない状態だったしね」

勝己「ってか、雨ん中でずぶ濡れで立ってたって何事よ。100年前からの手紙でも待ってんのかアイツは」

りこ「そ、それは……」

勝己「でもって100年前の手紙が届いたら、いきなり西部劇の世界とか言い出すのもなあ……」

りこ「ちょっと!? 車がタイムマシンになってる話にすり替わってない!?」

勝己「まあさ、こんな――おほん、変わったお子さんにママって呼ばれたからって、俺たちで全部面倒みる義理はないだろ? な? わかるよな?」

りこ「……でも、ママって言って慕ってくる子を、知らん顔なんて――できないよ。私、そんなに冷たくなれない……!」

勝己「……りこ、お前、自分の家に親がいないからって、ウチに転がり込んできたよな。それだけなら――まだいい。だけど、そこに正体不明の子どもまで連れてきて、ウチに迷惑かかるとか考えなかったのか? 昨日は流れで連れてきちまったけど……」

りこ「……っ」

りこは、戸惑いの表情を浮かべて、言葉に詰まった。

勝己「……感情で動きすぎだよ、お前。」

りこ「――わからず屋。」

ピシャリとした口調。ふざけた雰囲気なんか、どこにもない。

勝己「り、りこさん……?」

りこ「そんなに冷たい人だと思わなかった。」




――あ、やべ。これ、ふざけすぎたか?

りこ「この子、連れて帰る。私の家に。」

勝己「ちょ、学校は――!?」

りこ「行けば?」

そう言い残して、りこは踵を返した。

勝己「ちょっと待てよ! 俺たち、あんなに一緒だっただろ……!」

りこ「……知らない。」

玄関のドアが閉まる音が、心に響いた。

美沙都「……やっちまったな(ボソッ)」

勝己「そのリアクションやめてくれえぇぇ!」




昼休み。廊下で静華に声をかけた。

勝己「……静華、ちょっといいか?」

静華「鹿子さんは?」

勝己「……リョウの世話で、今日は休みだってさ。」

静華「ふぅん。皆勤賞、消えたわね。」

あっさり言うなよ。もっとこう、心配とかねえの?

勝己「で、あのさ。静華からも、りこを説得してくんね? 俺からじゃ話にならなくて……」

静華「無理。」

即答だった。むしろ食い気味で。

勝己「……はやっ。」

静華「あなたの差し金だって、すぐバレるでしょ?今の彼女が、あなたの言うことを聞くと思う?」

勝己「うっ……」

静華「そんな状態で、私が口出したら、関係まで悪くなるに決まってるじゃない。言うだけ時間の無駄よ。」

ぐうの音も出ねえ。完敗感すごい。

静華「……それとも、鹿子さんがダメになったから、保険にしようとか思ってないでしょうね?」

勝己「さすがに俺だって、そこまで薄情じゃねーよ。てか、お前と付き合うとか、普通に嫌だし。」

静華「奇遇ね。私も、あなたの交際相手になるのは願い下げよ。」

口調は冷たいが、どこか一周回って落ち着くこのやり取り。

静華「でも……話し相手くらいにはなってあげるわよ。何度か一緒に戦ってきた仲だしね。」

そう言って、彼女は踵を返し、次の授業に向かって廊下を歩いていく。



勝己「あのさ」

静華「なに?」

勝己「……ありがとうな。」

静華「それだけ?」

勝己「それだけだっ!」

ふっと、静華の口元がやわらかく緩んだように見えたのは……気のせいじゃなかったと思う。


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