表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の血引いた俺、ジジイになるまで戦うってよ  作者: あーちらいおん
第1部「渡川勝己(とがわかつみ)高校生編」その2
18/22

第1部第17話「死闘」

宿敵、大門勇吾の後をつけ、公園の怪しげな小屋に入った勝己

その地下ではなんと、ファギア持ちによる超能力の戦いが繰り広げられていた。


──2013年7月1日

第17話「死闘」

朝の東谷高校。

俺は登校してすぐ、職員室へ呼び出された。

勝己(なんだよ、朝からツイてねえな……)

理事長「渡川。

──これ、君か?」

そう言われて、見せられたのは──

昨夜、俺がりこをお姫様抱っこしている写真だった。

勝己(……うそだろ!?)

理事長「しかも時間は、深夜──…これは風紀上、よろしくないな」

──いや、ちょっと待て。

そんな時間に外をうろついて、写真撮ってるそいつの方が問題じゃねえのか!?

──とは思ったが。

結局、俺とりこで“反省文”を書くことになった。

________________________________________





教室の隅。

りこと並んで、反省文を書く時間。

勝己「……ったくよ」

りこ「ふふっ、でも……

こうやって一緒に罰を受けるのって、なんか青春っぽくない?」

勝己「どんな青春だよ……」

──そのとき、りこがぽつりと呟いた。

りこ「これで、模範生じゃなくなっちゃった。

ねえ、勝己くん──責任、取ってくれる?」

勝己「……っ!?」

思わず手が止まった。

──何気ない一言。

けど、それはあまりにもストレートで。

勝己「……とっとと終わらせようぜ」

俺は顔を逸らしながら、ペンを走らせる。

──このドキドキは、罰のせいじゃない。

きっと、恋のせいだ。

________________________________________





反省文を提出し、理事長室を後にする俺たち。

その背中には、

ちょっぴりの後悔と、たっぷりのときめきがあった。

──その時だった。

教室の静けさを切り裂くように、

玄関の方から、あの“クソったれ”の声がした。

勝己(……大門!?)

──遠くてよく聞き取れない。

だが、俺にはあるじゃねえか。

勝己「インビンシブルインビジブル、

音を集める役割を空気に与える──」

──周囲の音が、鮮明に聞こえた。

大門「だからよぉ……鹿子のやつ、

渡川と夜遊びしてたんだぜ!」

──……は?

勝己……ざけんなよ

オタクA「幻滅だわ〜」

オタクB「ねえ、大門くんはバイトの帰りだったの?」

大門「バ、バカ!!

学校で言うんじゃねえよっ!!」

──なるほど。

大門は夜遅くまでバイトしてる。

つまり、深夜に活動しても怪しまれない環境にあるってわけか──

──けどよ。

人の噂を撒き散らすような、

そんな奴に言われる筋合いはねえんだよ。

勝己(……覚悟しとけ、大門)

俺はスマホを取り出し、

美沙都さんに電話をかけた。

プルル……プッ

美沙都「──何の用だ?」

勝己「りこを……無事に、家まで送り届けてほしいんだ。」

電話越しに聞こえる、小さな声。

りこ「──やだ。勝己くんと一緒がいい!!」

俺はりこの瞳を見つめた。

そのまっすぐな願いが、心を揺さぶる。

けど──





勝己「……大門にまた、ヤラれそうになってもいいのか?」

りこ「でも……」

俺は、少し言葉に詰まった。

本当は、ずっと隣にいてほしいに決まってる。

けど、それじゃダメなんだ。

勝己「……お前、可愛いんだからさ。

お前が傷つくなんてことあったら、

俺が俺でいられなくなっちまうよ。」

りこ「……わかったぁ。

でも、ケガはしないでね?

それと、早くおうちに帰ってくること。──わかった?」

勝己「ああ、約束する」

──




玄関前にいた美沙都さんが、時計を見ていた。

無言で、でもしっかりとした目で俺を見つめる。

俺は、静かに頭を下げた。

その瞬間。

りこは、美沙都さんに連れられて、

静かに学校から去っていった。

──この背中を、

二度と後悔で見送らないために。

俺は行く。

「例の超人クラブっすねー」

どこかのオタクがそんな風に呟いていた。

大門「……さて、今日も頑張るぜぇ」

──






アリアケ公園。

あいつの姿が見える。

勝己「インビンシブルインビジブル、

音を静かにさせる役割を“自分からまかれる風”に与える──」

──空気が、俺の周囲をそっと包み込む。

音を断ち、気配を消して、

俺は──“死闘”へ向けて、尾行を開始した。

アリアケ公園、アイスアリーナの裏手──

誰も近寄らない管理小屋の前で、大門の姿が消えた。

勝己(……入ってから、もう10分経った)

気配も音も、ない。

勝己「──内職でもしてんのかよ、クソが」

俺は、扉の前で立ち止まる。

そして──

勝己「インビンシブルインビジブル、

視界をぼやかす役割を、空気に与える」

──そっと、ノックする。

勝己「……もしもーし?」

返事は、ない。

勝己「おやぁ?留守かな?」

──扉を、静かに開く。

中には、

鉄のブロックと、それがハマりそうな複雑なオブジェ。

ただ──

普通の手じゃ、とてもじゃねえが入れられない配置だった。

勝己(つまり、仕掛けってわけだな)




俺は、鉄のブロックを持ち上げ、

その“重さ”を、感覚でしっかりと覚える。

勝己「──インビンシブルインビジブル。

鉄ブロックと同じ重さの役割を、空気に与えて……設置。」

カチリ。

──ビンゴ。

仕掛けが反応し、

壁がギリギリと音を立てて開き──

中から、鉄の扉が現れた。

勝己「なるほどねぇ……こういうの、キライじゃねえよ」

──けど。

俺は“その先”を確認するため、

ある“保険”をかけておく。

勝己「もしこの扉の向こうに呼吸があった場合、

静電気を俺に返す役割を、空気に与える──」

──反応、なし。

勝己「……よし、いない」

静かに、息を整える。

今、風は俺の味方だ。





空気に刻まれた役割が、すべてを導いてくれる。

俺は、

“真実”へと続く鉄の扉を、ゆっくりと開けた。

──鉄の扉を開いた先。

そこは、狭く閉ざされた無機質な空間だった。

勝己「……ん?」

すぐに気づいた。

床が、ゆっくりと沈んでいる──

勝己(エレベーターか!?)

ギィィ……

空間が下へと降りていく音だけが響く。

数十秒。

再び、カコンと鈍い音を立てて停止すると──

扉が、静かに開いた。

その向こうに、仮面をかぶった男が立っていた。

仮面の男「お兄さん新入り?

──テストに合格したってことは同志!仮面、被ってね!」




勝己「……え?」

──何の説明もなく、仮面を手渡される。

でも──

勝己(呻いて外れなくなるとか、針が出て怪物になるとか、

……ないよな?)

恐る恐る、被ってみる。

──ただの仮面。

今のところ、特に異常はない。

仮面の男「んじゃ、こっちねー同志!」

無表情なまま、男が案内する。

その道中──

天井や壁には無数のカメラ。

勝己(まさか……

ここで戦わせて、金持ちが観戦してるとか……




──いやいや、マンガじゃあるまいし)

自分に言い聞かせる。

──だが。

その“まさか”は、すぐに現実になった。

目の前に広がるのは、

円形の石壁に囲まれた「闘技場」だった。

勝己……マジかよ

そこでは、仮面をつけた連中がストレッチをしていた。

──体を慣らし、拳を握り、目を閉じる。

まるで、これから命を懸けて何かに挑む者の姿。

勝己「……まさか、ここで“戦わされる”のか?」

──俺は、

とんでもない“地下の真実”に足を踏み入れてしまったらしい。

筋骨隆々の仮面が、俺を見下ろして笑う。

仮面のムキムキ「なんだ、背も175くらいのチビじゃねえか?」




勝己(うるせぇ、これでもわりと高い方なんだぞ……)

もう一人、今度は肥満気味の仮面が俺をジロジロと見る。

仮面のデブ「変化形の能力っぽいよ。

──ブロック置いてなかったみたいだし」

(チッ、見られてたか)

その時、奥の椅子に座っていた“管理者っぽい仮面”が口を開いた。

仮面(管理)「キミ、名前は?」

一瞬、迷ったが──

俺は、小学2年で亡くなったじいちゃんの名前を思い出す。

勝己「……ダイゴロウだ」

仮面(管理)「おおっとぉ!?

変化形ファギア持ちのニューフェイスがアリーナに登場!

その名も──ダイゴロウ!!」

──





会場がざわついた。

仮面(管理)「そして記念すべき初戦の相手は──

勝率8割を誇るアリーナの名物ファイター!!

破壊と肉体の申し子──“ガルマックス”!!!」

ドオォォン!!!

巨体を揺らしながら、

仮面を被った男──ガルマックスが現れる。

ガルマックス「よぉ、さっきのおチビちゃんかぁ。

五体満足でパパママの元に帰れるといいなぁ!?」

勝己「──ふっ、いいのかよ?そんなデカい口叩いて?

デケぇのは身体だけにしとけや!

ウドの大木野郎がよぉ!」

ガルマックス「……てめぇッ!!」

管理仮面が、手を高く掲げ──

仮面(管理)「──ルールはひとつ!

凶器は“能力”のみ!!

それ以外は、肉弾戦!投げ技!格闘技!なんでもありッ!!!




──さあ、ゴングです!!!!」

──カァァァァァン!!!!!!

ガルマックスの右腕が──

金属の塊に変わり、まるで扇風機のように回転を始めた。

ガルマックス「俺のファギアは《メタリックスレイヤー》!

この金属の身体で、お前の四肢、まとめて切り落としてやるぜ!!」

勝己(なるほど、それで“五体満足”がどうとか言ってたのかよ……)

俺は足元の空気に「跳ね返す」役割を与え、

飛び上がり──闘技場の金網に手をかける。

観客たちのヤジが飛ぶ。

ヤジ1「なんだよ、煽ってたくせに逃げてんのかよ〜!」 ヤジ2「血を見せろ!やっちまえガルマックス!!」

……雑音は切る。

頭の中で、美沙都さんの言葉がよみがえる。

『──敵を見るな。“視ろ”だ。』

勝己(そうか……コイツ、風を放ってるだけじゃねえ。

回転の中心には、“吸い込み”も生じてるはずだ──!)

勝己「──頭上注意だぜ、このスットコドッコイ!!」





煽りと同時に、

ガルマックスが回転アームをこちらに向ける!

ガルマックス「馬鹿め!!叩き落としてやるよ、強風でな!!」

だが──俺はすでに仕込んでいた。

勝己「──さっき、上から“ブロック状の空気”を落としたんだ。」

ガルマックス「ハァ?それがどうしたってんだよ!?」

勝己「そいつは──“砕ける”前提で落とした」

ガルマックス「ガハハ!!小学生の自由研究かよ、おいおい!」

──俺は、仮面の下で笑った。

勝己「──いいか、俺の空気には“ルール”がある」

ガルマックス「ルールぅ?ハッ、どうせ形状変化くらいだろ?」

勝己「──いや、“再付与”できるんだよ。“離れてても”な」

ガルマックス「何言ってんだテメェ、空気がどこに──」

勝己「──お前さぁ、ドライヤーの吹き出し口に手当てたことねぇのか?

……“風を出すとこ”は、“空気を吸ってる”んだよ」

ガルマックス「ハ──」

その時だった。

ズォッッッッ!!!!!!

扇風機のように吸い込まれた、砕けた“空気ブロック”。

──そこには、**“爆発の役割”**がすでに込められていた!!

勝己「ドカンだぜ!!!」

ド ゴォォォォォォン!!!!!!




爆発ッ!!

吹き飛んだガルマックスの巨体が、

金網に叩きつけられ──頭を打ちつけ、沈黙した。

【──勝者、“ダイゴロウ”!!!!】

観客「おおおおおおおおおおお!!!」

勝己「フッ、ウドの大木がよ……

根っこが浅ぇんだよ、お前は。」

──仮面の下、俺はひとつ息を吐いた。

仮面の司会者がマイクを握り、興奮気味に叫んだ。

司会「奇想天外なトリックスター!これぞ期待の新人だぁ!!

変化形ファギア、“ダイゴロウ”の勝利だあああああああ!!!」

観客席から歓声とヤジが飛ぶ!

ヤジ1「ダイゴロウ!!」

ヤジ2「やるなぁマジックショーみてぇだったぜ!!」

ヤジ3「5連勝生き残れよ!!伝説になれよおおお!!」



……5連勝?

勝己「……なんだよ、“5勝”ってのは」

司会「あー、申し訳ない!説明不足でした!!

実はこの《アリーナ》では──

**5連勝達成者に《賞金1000万円》が授与されるのだあああああ!!!!」

勝己「一千万だと……!?

──じゃあガルマックスってヤツは?」

司会「彼は3勝か4勝で、いつも止まってしまうんですよォ……!」

勝己(なるほど……なら、俺が“最初の壁”を超えたってことか)

観客が次々と声を上げる中、司会がマイクをこちらに向けた。

司会「さて、ダイゴロウ!!

──君はその一千万、なにに使いたいッ!?」

勝己「……そうだな」

仮面の下で、俺はあの子の顔を思い出していた。

りこ。

俺を信じてくれて、命をかけて守りたいと思えた子。

──いつか、約束していた気がする。

勝己「──彼女と暮らす家が欲しいかな」

沈黙。

観客「なんだよこの色男!!!」

観客2「なんで仮面なのにキュンキュンすんだよ!!」

司会「こりゃあ、ますます見逃せないッ!!」

勝己「さて──次の相手、早く来いよ」



司会「続いての挑戦者はッ!!

“頭脳明白”!

その大柄な身体に宿るのは、鋭利なる冷徹な知性ッ!!

《知性の巨人──ゴウキ!!!》」

リングの奥から、

肥満体型の仮面ファイターが登場した。

勝己「ああ、さっき俺の能力について何か語ってた──あのデブか」

ゴウキ「……ほほっ。

君の能力、実に面白い。

だがそれも、今日で“おしまい”ですよ?

彼女との家の夢──潰えることになりますから」

勝己「言ってくれるじゃねえか」

司会「さああああああああ!!!!

ゴングです!!!!!!」

──カァァァァァァン!!!!!!




第2戦、開幕──!!!

──リングに、霧が立ち込める。

いや……これは霧じゃない。

**熱を帯びた“水蒸気”**だ!!

勝己(こいつの能力……まさか水系!?)

ゴウキ「フフ……我がファギアの名は──

《ボイル&クーラー》。

水の“熱”を操り、蒸気にして満ちさせ……

そして、それを冷却し“氷の針”と成す!」

シュゥゥゥッッ……!!

空中の水蒸気が凍り、氷の針となって飛来する!

勝己「チッ!」

咄嗟に腕を上げて防御──

──氷の刃が、弾かれた!!

勝己(ギリギリ防げたが……厄介な能力だな!)

──そこで、俺は“ある操作”を思い出す。

勝己(そうだ……蒸気は、上に昇る性質がある)

俺は、口元を吊り上げながら言った。

勝己「……おい、オッサン。一つ忠告しといてやるぜ」

「この先もこの闘技場で戦う気なら、

そのヒラッヒラのマフラーはやめるんだな」

ゴウキ「……なんのことかな?」

勝己「もう“仕込み”は済んでる。

──泡状の空気の膜を浮かせた。

そしてそれは、地面から……お前のマフラーの高さまで漂ってる」

ゴウキ「水滴にして落とせば、消せる!」

勝己「……あーあ、そういうタイプか。

シャワーで湯気に水かけりゃ消えると思ってるクチだな?

“水の温度”を操ってるくせに、熱力学の基本も知らねえのかよ」




ゴウキ「なに!?」

勝己「お前に教えてやるよ──

さっき説明したのは“空気の形状”だけだったよな?」

ゴウキ「形状……だけ?」

勝己「──役割は、まだ言ってねえよな」

ゴウキ「ま、まさか……!」




勝己「答えてやるよ。

てめえのマフラーが揺れて、あの“泡状空気”にぶつかったとき──

その瞬間から、“てめえが気を失うまで”、

マフラーがてめえの首を絞め続けるって役割だ!!!」

ゴウキ「ッ!!?!」

──マフラーがふわりと揺れた。

次の瞬間、

ガクン、とゴウキの身体が崩れ落ちた。

白目を剥き、泡を吹いて失神。

勝者、“ダイゴロウ”!!!

観客「ダイゴロウ!!!」「また戦術勝ちだ!!」「えぐすぎる!!」

司会「お見事!2勝達成ッ!!

なお、ファギアの公平性保持のため──

次の対戦者との戦闘は、観戦・盗聴・干渉、すべて禁止となります!!

ダイゴロウ、休憩室へ!!」



________________________________________

勝己「ふぅ……なんとか、勝てたな」

仮面の下、俺は小さく息をついた。

──あと、3勝。

彼女と“未来”をつくるには……まだ、終われねぇ。



鮮やかに戦う勝己

次の戦いも華麗に決めることが出来るでしょうか、次回もこうご期待

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ