第1部第16話「目標」
甘酸っぱさいっぱいの青春パート
ヒロイン、りこへと勝己が語る夢とは
2013年6月30日
第1部第16話「目標」
夜中のコンビニって、なんかワクワクするよな。
理由はない。けど、“自由”って感じがする。
……まぁ、今回はそういう話じゃねえ。
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深夜2時。
メイド服で──
りこが、俺に覆いかぶさるように、ベッドで寝ていた。
勝己(……これ、夢じゃねえよな……!?)
──だが、下手に動かしたら起きるかもしれない。
そっと、そ〜っと、りこの頭を撫でて、ベッドを抜け出す。
勝己「……よし」
──リビングに降りて、思わず吹き出しそうになった。
勝己「……こりゃあ、わやだな。」
──北海道弁で言う“めちゃくちゃ”。その言葉が、これほど似合う光景はない。
•ソファには親父。顔はボッコボコ。
•その隣には、下着姿で眠る未久ねえ。
•壁際には、腰をかけてそのまま眠る美沙都さん。
•テーブルの横では──
静華「……森からあずまや……ゴー……」(寝言)
──あぁ、シミュレーションお疲れ様です。!?!?!
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勝己(なんだこの朝……夢の続きか……?)
──そのときだった。
下半身に──違和感。
勝己(……え、まさか。
お、俺、りこが覆いかぶさってる間に──
うわあああああああああ!?)
──震える手で、確認した。
勝己「……スポドリ、だと?」
──俺の横に、置いてあった。
冷たい、スポーツドリンク。
おそらく、りこが俺のために持ってきたものだろう。
勝己(……勘違いで死にたくなった)
──夜風に誘われて、外に出た。
心地よい風が、
今日のざわめきを少しずつ溶かしていく。
──そのとき。
りこ「勝己くん、夜のお散歩いこうよ〜」
──その笑顔が、
あまりにも自然で、あまりにも無防備で。
俺はただ、うなずいた。
勝己「あ、あぁ──」
──りこが、
“手をつないで”って言わんばかりに、
手を伸ばしてくる。
俺も、そっと手を伸ばした。
触れた瞬間──
ああ、やっぱこいつの手って、小さくて、すべすべだ。
勝己(おっと……ダメだ、紳士であれ、紳士であれ。)
でもさ──
こんな小さな手でさ。
大門に、立ち向かって。
変なオタクに絡まれても、笑ってて。
俺のこと、ずっと信じてくれてて──
──勝己(……ほんと、いとおしいよ。りこ。)
俺は、
りこの手を、ほんの少しだけ強く握り返した。
──スエコーマート。
夜の店内は、蛍光灯の白がやけに眩しい。
りこが、2リットルのペットボトルを2本、
でかい袋に詰め込んで──
それを、片手で持ち上げようとして──
バランスを崩しかけた。
勝己「……転ばせないぜ、お姫様。」
りこ「え……?」
──慌てて、照れくさそうに目を逸らすりこが、可愛すぎて困る。
外に出る。
夜風が、ふたりの間をすり抜けていく。
勝己「……夜中のバイトってさ、
やっぱ、仕事がちょっとテキトーなこともあるよな。」
りこ「うん……」
勝己「けどさ──
そんな中でも頑張ってる人がいる、この町でさ。
俺、ここで“公務員”になりたいって、思ってるんだ。」
──静かな夜に、俺の声が響いた。
言ってしまった。
俺が、最近ひそかに抱いてた“目標”を──
りこにだけ。
りこ「──なれるよ!
勝己くんなら、絶対になれるよ!」
その言葉に、俺の胸がじんわりと温かくなる。
勝己「……それは、俺が“じいちゃんの孫”だからか?」
──俺のじいちゃん、渡川大五郎。
この東谷町じゃ、めちゃくちゃ有名な公務員だった。
町長になれ!ってみんなに言われてたくらい。
けど、あの人はずっと町民のそばにいた。
どんなときも、目線を同じにして、暮らしを守っていた。
──だからこそ、
俺も、そんな人になりたいんだ。
りこ「勝己くん……
そんな素敵な夢を持つあなたが──
わたし、大好きだよ。」
その言葉は、
夜風よりも優しくて。
星よりも、まっすぐで。
俺は、
たまらず言葉を返した。
勝己「──りこ、好きだ。」
そして、俺たちは──
そっと、軽くキスを交わした。
派手じゃなくていい。
強くなくていい。
ただ、お互いの想いが、重なった──それだけで十分だった。
帰り道。
りこが抱えていた袋が、
ふらふらと傾くたびに、俺の心がざわついた。
──だから俺は、
袋ごと、りこをお姫様抱っこした。
りこ「えっ、ちょ……///」
勝己「落とさせるかよ、
“お姫様”なんだからさ。」
──
そして、俺たちは静かに、家へ帰った。
昼前。
美沙都「……進化生命体について、話しておく」
あの夜が明けたあとの静けさの中、
俺たちは新たな知識を手に入れる。
──けれど。
その時に聞いた話が、
のちに“ある切ない別れ”に繋がるなんて──
その時の俺は、まだ知らなかった。
第1部も次回から最終章へ突入!
投稿空いてしまい、申し訳ございません!




