第1部第15話「殷賑(いんしん)」
唐揚げと鼻血、そしてメイド服といかがわしい本──
最初から最後までテンションMAXな“カオス修羅場回”。
けれどその裏で進行する、大門の新たな襲撃と“進化生命体”の影──
甘さと戦い、光と影が同時に噴き出す1話。
2013年6月29日・夜。
第1部第15話『殷賑』──
……え、読めなかった?
「いんしん」だよ、「いんしん」。
たぶん今、コピペしてググったヤツ、
ぜってーいるよなぁ!?
──意味は、大変にぎわって、盛んなさま。
……うん、要するに。
今回、めっちゃ騒がしいです!!!!!!!!!!!!
というわけで──
渡川勝己の!
修羅場が見れるぞ!
──土曜の夜、午後7時。
俺の家。
……なんか、おかしいと思わないか?
だってさ──
結婚可能な女性4人と、ひとつ屋根の下──って、何事!?!?!?
勝己(……やっべえ……
あれ、ちゃんと片付けたっけ……!?)
──ティッシュ。
鼻かんだやつね!?最近鼻炎なんだよ!?
違うからね!?!?!?!
勝己「あ、あの本……どうしたっけ……」
──脳内に、フラッシュバックする“悪魔の囁き”。
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堀井「なぁ勝己、メガネっ娘好きか?」
才崎「いとこもの!
これいとこ二人のやつ!めっちゃ良いから!」
太一「妹系幼なじみもの!
これ絶対お前ハマるからァァァァ!!」
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勝己(やべえ……やべえ……
3冊のエ●本が……ベッドの下に……!!!!)
勝己(この流れ……誰か、絶対捜索しだすだろおおおおおおお!!!!!!!!!!)
──リビング。
土曜の夜。地獄の宴、開幕。
未久「伯父さ〜ん♪」
勝利「かんぱ〜い!!」
勝己「なに伯父と姪で乾杯してんだよ!!!!」
勝利「おい美沙都〜!一緒に呑もうぜぇ〜!」
美沙都「……休ませろ。」
未久「え〜!お姉ちゃんも呑もうよ〜〜♡」
勝己「(ダメだ、こいつら……いつも通りに出来上がってやがる!!)」
──そのとき、キッチンから
いい匂いがしてきた。
りこ「おつまみに、唐揚げ作りました〜♡」
勝己(嫁力きたぁあああああああああ!!!!!!)
勝己(いや、ちがう!そうじゃない!)
勝己(俺だけに作っててくれ!!!!)
勝己(頼む!こんなやつらにエサ与えないでええええええ!!!!)
勝利「からあげ、いただきま〜す♪」
勝己「待てやあああああああああ!!!
俺が!一番最初に食うんだああああああ!!!!」
──その瞬間。
りこ「ふふっ、勝己くんのは、別に用意してあるよ♡」
勝己「天使!!!!マジで天使!!!!!!!!!」
未久「おいし〜い♪
りこちゃん、ほんと、いいお嫁さんになるね〜♡」
りこ「えっ、そ、そんなぁ未久さんっ!!」
──りこの頬が、ほんのり赤くなる。
勝己(……あっ、今、俺……)
勝己(なんか今夜、マジで“何か”起こる気がしてきた……!!)
──もう、頭の中は
唐揚げの匂いと、りこの照れ顔と、謎の期待感でいっぱいだった。
勝利「ハッハッハ〜!
唐揚げもうまいが、酒がさらにうまいな〜♡」
静華「……くだらない。
お風呂、借りるわ。」
勝己(あっ、やばい……
しずかちゃんのお風呂ターンだああああああ!!!!!!)
──そのとき、親父が言った。
勝利「ミクえも〜ん!!
しずかちゃんのお風呂が覗きたいよぉ〜!!」
勝己「言わねえよ!!!!
あのメガネの少年は事故で見るタイプで、進んで言わねえの!!!!」
未久「自首するといいよぉ〜(ダミ声)」
勝利「うわぁぁぁああん!!
ミクえもんまでぇぇええ!!」
勝己「うるせえ!!
関係者方面に怒られたらどうするつもりだぁああああああ!!!!」
──この家、まともなやつがいねぇ。
りこ「そういうの、駄目だと思いますっ!!」
──だが、止まらない。
未久「ふふーふ……
穴あき・伸縮性・樹皮風船〜〜〜(ダミ声)」
勝己「穴あきってなんだぁぁああ!?!?!?
っていうか、アウトーーーーーーーー!!!!!!」
未久「これを使って仲良くするとぉ〜?
おうちがとってもにぎやかになるんだぁ〜♡(ダミ声)」
勝己「さっさと未来に帰れミクえもーん!!!!!!」
──バシィィッ!!!
美沙都さんの手刀が、未久ねえを制裁する。
美沙都「やめろ」
未久「痛いナリよ!!」
勝己「それ別作品だぁあああああああ!!!!!!
地方でよく再放送されてるヤツ〜〜〜〜!!!!!!」
りこ「もー!!うるさい!!!!」
勝己「マジでな!!!!
お隣の藤高さんから苦情くるぞほんと!!!!!!」
未久「ダメ人間製造機〜〜〜♪
よい子を僕なしでは生きられなくするんだ〜♡(ダミ声)」
美沙都「……まず、お前が“いい子”になるところからだな。」
──ボコスカ。
美沙都さん、未久ねえを蹴りまくる。
リアルな音がする。たぶん容赦してない。
勝己(誰か早く時空を修正してくれ!!!!!!!!!!)
未久「そうだ。
メイド服、買ってたんだよね〜♪」
勝己「お前、居候の分際で何買ってんの!?!?
しかもそれ──」
勝己「あの“帽子かぶったペンギン”のとこで売ってるやつじゃねえか!!!」
──その瞬間。
未久ねえが、メイド服をりこの方にバッと差し出す。
未久「りこちゃん、着れるよね?」
りこ「え、ええっ!?こ、これを……?」
──でも、りこは迷わない。
少し顔を赤くして、でもしっかりと微笑んで──
りこ「……はいっ!
勝己くんの、専属メイドになります♪」
──その破壊力。
唐揚げどころじゃねえぞこれ……!!!!!!
勝己(やっべ……
この家、今夜何人生き残れるんだよ……!?!?!?)
りこ「メイドとして〜!お掃除、入りま〜す♪」
勝己「やめろおおおおお!!!!!!
なんで酒入ってないのにテンション爆上がりなんだよ!!!!」
りこ「ん〜?勝己くん、なにかやましいことでもあるのかな〜?♡」
勝己「あっ、あかん!!
俺の部屋はアーティファクトまみれだから!!
親和するからあああああ!!!!!!!!」
静華「“親和”は、エルフの代名詞よ。」
勝己「誰がTCGの話しろって言った!?!?!?
スタックすんな!!!
ていうか誰だよ!お前を待機コストでキャストしたやつ!!!!!!」
静華「いいえ、“カスケード”よ。」
勝己「お前の発言で場がクラッシュしてんだよ!!!!
ってか今何ターン目!?!?!?!?」
──だが、止まらない。
りこ「さ〜〜〜て♡
勝己くんの部屋に突撃ぃ〜〜〜〜〜♡」
勝己「ぎゃああああああああああ!!!!!!!!!!」
──迷いがなかった。
りこ「ベッドの下、怪しいな〜♡」
勝己「やめろおおおおお!!!!!!!!!!!!!!
見えてる!!神の布が!
その清らかな白い心でいてくれええええええ!!!!」
──だが、遅かった。
りこ、小さな身体を活かして
ベッドの下を、容赦なくガサガサと漁る。
勝己「やめろ……その深淵に入ったら……もう戻れなくなるぞ!!」
──次の瞬間。
りこ「……メガネも上着も、ずれ落ちて?」
勝己「あっ、それ堀井の!!堀井に借りたヤツ!!
俺のじゃない、俺のじゃないから!!」
──だが、りこは止まらない。
りこ「“いとこラブ! 血のツナガリ”……?」
勝己「才崎のだから!!!あいつの趣味だから!!俺はノータッチだから!!」
りこ「“幼なじみが可愛すぎて理性が保てず とうとう一線超えてしまった件”」
勝己「太一の!!!!!
完全にアイツのだあああああああああ!!!!!!!!」
──世界の終わりは、
こうしてベッド下からやってきた。
──りこは、例の“3冊”を手にリビングへ戻ってきた。
りこ「美沙都一佐!
これが今回発掘された危険物であります!!」
勝己「やめろおおおおおお!!!
そのノリで持ってくなああああああ!!!!!!」
美沙都「……思ったより、少ないな。」
勝己「分析しないで!!
冷静に部数で評価しないで!!!!!!」
──だが、地獄はまだ終わっていなかった。
美沙都「この──“幼なじみが可愛すぎて 理性が保てず とうとう一線超えてしまった件”という本の表紙。
……りこに、似てないか?」
勝己(あんたにだけは!!!そのタイトル読んでほしくなかったああああああああ!!!!!!)
りこ「そうなんですよ!!
汚らわしい!!!!!!!!!!!!!!!!」
勝己(……はい、出ました。汚物判定。)
──そして、正妻の裁きが下る。
りこ「勝己くんは、わたしと、そういうこと──したいの?」
勝己(したい!!!
めっっちゃしたい!!!!!!!!!!!!
ていうか愛してる!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)
勝己「……いずれは、なりたい。」
──その一言で、りこの目がふっと柔らかくなる。
りこ「……でも。勝己くんなら──いいよ。」
──はい。
破壊力、核超えた。
りこ「ねぇ、コンビニ行こ?♡」
勝己「その格好でかよ!!
メイド姿で!?いや、絶対注目の的だろ!?!?!?」
りこ「行きましょう〜♪
ご主人様ぁ〜♡」
勝己「……わかった!!!わかったから!!!!!!」
──俺とりこは、夜の街へ出た。
初夏。空気はほんのりあたたかく、
りこは嬉しそうに俺の腕に絡んでくる。
勝己(……幸せだな。
このまま、なにも起こらなきゃいいのに──)
──その瞬間。
ざわり、と。
嫌な気配が、肌を撫でる。
勝己(……視線。誰かが──見てる!?)
りこ「勝己くん……? きゃあっ!!」
──ズシャッ!!!
路地を切り裂くように、黒い影が駆け抜けた。
大門──!!!
大門「可愛いじゃねぇか……♡
オレ専用のメイドに、してやるよおおおおお!!!!!!」
りこ「いや!!
離してええええええ!!!!!!」
──メイド服の裾を掴まれ、りこは身をよじる。
勝己「……っ!!!」
勝己「てめえ、大門──!!
りこに指一本触れさせねえ!!!!!」
大門「よぉ、ヘタレ。」
──その一言が、
俺の中の何かを強く揺さぶった。
勝己(……落ち着け。
こいつの狙いは煽って、俺の冷静さを削ることだ──)
大門「“イヴィルファング”は、もういらねえ。
代わりに──りこはもらうぜ?」
勝己「……!!
最後の一本──やっぱてめえが持ってるのか!!」
──次の瞬間。
大門の口から、粘着質なクモの糸が放たれた!
バシュッ!!
りこ「きゃっ!!いやぁぁぁ!!
離してええええ!!助けて勝己くん!!!!」
──りこの細い足が、必死に宙でバタつく。
だが、その必死の抵抗を──
ヤツは、にやにやと笑いながら見下ろしていた。
大門「今日は白かぁ。
本当に、かわいいな。
この“ヘタレ”を始末したら──
俺が、たっぷり可愛がってやるよ、メイドちゃん♡」
──その瞬間。
勝己「……ふざけんな。」
勝己「ふざけんなああああああああああああああ!!!!!!」
勝己「テメェなんか──ぶっ倒してやるッッ!!!!!!!!!!」
──拳を握った。
今、俺の中の“正義”が、怒りと共に燃え上がった。
大門「フランケンフュージョン──
カエル!!!」
──跳躍!
ドォン!!
ヤツはりこを抱えたまま、空へと跳ね上がる!!
勝己「てめえええええ!!!!」
勝己「りこをどこへ──!!」
大門「もう、逃がさねぇ……♡
ずっと、可愛がってやるぜ、メイドちゃん♡」
──その瞬間。
⚔️「キル・ザ・ブリンガー!」
──ズドン!!!!!!!!
空中から落ちる大門。
空気を斬り裂く鋭い刃。
その先端が──ヤツの背中を打ち砕いた!
大門「があああああああああ!!!!」
──そして、その手から解き放たれたりこを──
誰よりも速く、誰よりも正確に。
美沙都が──キャッチした。
美沙都「ふっ。危なかったな、りこ」
りこ「美沙都さん!!!!!!」
──正義の刃、今、再び降り立つ。
大門「チッ……!
深山美沙都!邪魔をするな!
お前はもう……“過去の人間”なんだよ!!」
──“過去の人間”?
美沙都「……進化生命体に繋がる貴様は、始末する。
ここが──お前の終点だ。」
──進化生命体、ビオ。
確かに、大門は自分が“進化生命体に近い”と口にしていた。
大門「へっ。やっぱお前、変わってねぇな……
10年前……お前の親友をキメラにされた。
だからってよ──
“何の罪もないビオの息子”を殺し続けていいわけがねぇだろ!!!」
──衝撃が、走る。
大門「正義の執行者気取りが……気に入らねぇ!!
正義は俺だ!!!!!!!!!!」
美沙都「──喋るな。」
──その声は、氷のように冷たく、美しかった。
勝己「インビンシブルインビジブル!!
大門を抑える“空気”の役割、発動!!」
──バシュッ!
空気の流れがねじれ、大門の動きを止める!
勝己「今だ、美沙都さん!!
全部、ぶっ飛ばしてやってくれ!!」
美沙都「キル・ザ・ブリンガー。」
──ドン!!!
視界が、光に包まれる。
空間を裂くように現れた、あの“刃”。
キル・ザ・ブリンガーが──
恐ろしい速さで、大門に連撃を叩き込む!!
シュバッ!!ズバッ!!ドガァン!!!!!!!!
大門「ぐっ……!!
いずれ……ビオの息子が、この町に来るぞ……!!」
──その言葉を残し、大門は吹き飛ばされた。
勝己「やっぱ……すげえや、美沙都さん」
──あの瞬間、あの刃。
まるで**“絶対の正義”**を体現しているようだった。
りこ「もう……大門はいません!」
美沙都「……私の言うことを聞け。」
その声には、反論の余地がなかった。
美沙都「飲み物なら──
私が買いに行く。お前たちは、家で待っていろ。」
りこ「……うん」
勝己「よし、行こう。りこ。
家に──戻ろう。」
──夜の風は、まだ少し温かかった。
まるで、誰かが
「大丈夫」と囁いてくれているような──そんな、帰り道だった。




