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神の血引いた俺、ジジイになるまで戦うってよ  作者: あーちらいおん
第1部「渡川勝己(とがわかつみ)高校生編」その2
13/22

第1部 第12話「写真(しゃしん)」

今回はちょっと現代ホラーじみた、静かな恐怖回。


カメラ小僧、調子乗ってたら人生終わるぞって話です。


ファギア同士の戦いも久しぶりにやや濃いめ。


スマホでパシャッと撮る日常の裏に、もし「記憶」が絡んでたら……?


そんなテーマで書きました。


※スカッとする終わり方なのでご安心を。

2013年 6月17日

第1部 第12話「写真しゃしん




──最近のスマホのカメラ、マジでヤバい。

解像度もキレイすぎて、

**もうデジカメいらねえんじゃね?**って思ってる今日この頃。

だってさ、

日常の「残したい一瞬」って、

パシャッとやるだけで、すぐ手元に残るんだぜ?

勝己(……ま、俺も“りこフォルダ”ってのを持ってるわけで)

りこフォルダが──火を噴くぜ!!!

  ◇ ◇ ◇










──ある女子生徒の視点

……あれ?

なんで私、ここにいるの?

教室? 廊下?

なんか、よくわかんない。

……いや、それよりも──

「10分前が、思い出せない」──

さっきまで何をしてたの?

誰と話してた?

どうやってここに来たの?

……なにも、思い出せない。

  ◇ ◇ ◇


















──勝己の視点に戻る。

本「最近、授業に遅れるやつがかなり増えている。気を引き締めろ」

勝己(……うっわー。

今日も今日とて、宮本(担任)の説教タイムかよ)

勝己(あー……ホームルームめんどくせえ。

早く終わんねぇかな〜〜〜……)

──そして、やっと終わった。

生徒たちがザワザワと立ち上がり、

その中で、ひとりの男子が俺の席に近づいてきた。




堀井「よっ、勝己」

カメラ小僧──堀井。

たしか写真部所属、りこの自撮り騒動の時にちょっと関わってた奴だ。

勝己「で、お前さ──

りこの“きわどい写真”とか、持ってたりしねぇの?」

軽く言ってみたつもりだったが──

堀井「……ないけどさ」

堀井「……りこちゃん貸してくんない?」

勝己「──ダメだ。俺は許可しない」

語気が、自然と強くなっていた。

こいつ、スピリッツトレード事件のとき──

りこと身体が入れ替わった駒留を見かけてたって話がある。





そのときの写真を狙ってたのか──

それとも、別の“欲望”なのか。

勝己(どっちにしろ──

りこをモノみたいに扱うやつには、絶対渡さねぇ)




──昼休み。東谷高校の廊下。

りこは、教室からパンを片手に歩いていた。

すると、カメラを磨きながら歩く男子とすれ違う。

堀井「よお。制服ポスターモデルになったんだってね、りこちゃん」

りこ「あっ……知ってたんだ。うん、そうだよ〜」

ニコっと微笑み返す。

──その瞬間。

堀井「《メモリアスナップ》」

──カシャッ。

手に持ったインスタントカメラで、

りこの写真が唐突に撮られる。

りこ「え……なに? ちょっと、やめてよ」

堀井「10分前に……しておくか」

りこ「えっ……?」




──インスタントカメラから、一枚の写真がウィンッと吐き出される。

そこに映っていたのは──

さっきの昼食、ミートボール入りのお弁当を食べているりこの姿。

堀井「……ミートボール入りの、お弁当だったんだね?」

りこ「……うそ、なんで知ってるの?

一緒に食べたわけでもないのに……!」

堀井は、その写真を片手でビリッと破いた。

りこ「っ……あ、あたまが……!」

頭を押さえて、崩れそうになるりこ。

堀井「……もう、これで──

お弁当を食べた記憶は、なくなったよ。りこちゃん。」

──廊下のざわめきは、何事もなかったかのように、流れていた。

──そのとき、





人気のない廊下の片隅で。

堀井は、りこに向けて、

しゃがみ込みながらカメラを構えていた。

かなり──ローアングルな位置から。

堀井「……いいねぇ。

“見えそうで、ギリ見えない”くらいが一番そそるんだよなぁ……」

りこ「や、やめてってば……!」

その声を無視して、

堀井はまた、インスタントカメラを構える。

堀井「《メモリアスナップ》──」

──カシャ。

りこ「っ……!」

堀井「……今回は“2分前”でいっか」

カメラから吐き出された、

さっきの“りこ”が映る写真を、

堀井は無言で、ビリッと破った。

──その瞬間。

りこ「……え? わたし、なにされたの……?」

目を伏せ、混乱するりこ。

その目には、

たった今まで起きていたことの記憶は──

もう、残っていなかった。

堀井「じゃあねー。りこちゃん」

──写真とともに、

記憶も、尊厳も、破り捨てられていった。





──放課後。

俺が校舎裏を通りかかると、

数人の男子が、ヒソヒソと話していた。

男子A「……マジ? 鹿子のローアングル?」

鹿子──つまり、りこのこと。

堀井「そだよ。

3万で手ぇ打とうや。

これ以上は値上げするぜ?」

男子B「マジかよ、お前天才かよ……」

──その声に、俺の中で何かが弾けた。

勝己「……おい。

何の話してやがる?」

堀井「ん? ああ、写真の売買の話」

言いながら、

堀井は慌ててポケットから何かを隠そうとした。

勝己(……あからさまに、やましい動き)

勝己「おい、テメェ──

そのカメラのデータ、今すぐ見せろや」

堀井「……《メモリアスナップ》」

──カシャ。

突然、堀井がインスタントカメラを構え、

俺を撮った。

堀井「……“1分前”で」

ウィン──と吐き出された写真。

そこには、今まさに堀井に詰め寄ろうとしている、俺の姿が映っていた。

……そして。

堀井「ふっ」

ビリッ──

写真は破かれた。






勝己「……あれ?」

気づけば、俺は校舎裏で、

ただ“なんとなく堀井の前に立っている”状態になっていた。

勝己「……俺、なんで堀井の前にいるんだ?」

堀井「……さぁ? 忘れっぽいんじゃない?」

そう言って、

にやりと笑う堀井の目は、

明らかに何かを“知っている”目だった──





勝己(……おかしい。明らかにおかしい)

ここ数日、

りこや俺の周りで“記憶の空白”みたいな違和感が多すぎる。

誰かが──

俺たちの“時間”を、書き換えている。

勝己(……あの堀井、やっぱり何かやってやがる)

俺はスマホを取り出し、

ある人物にメッセージを送った。

勝己《美沙都さん、不自然なことが多い。

“記憶を消すファギア”があるとして……どう対処すればいいですか?》

──すぐに、返信が届く。

美沙都《お前のファギア。

“意志を空気に浮かせる”ことができただろう。

──それを応用しろ》

勝己(意志を……空気に浮かせる……?)

頭の中で、何かが閃いた。

勝己(記憶が消されるなら──

消される前に、空気に“伝言”を残せばいい)

そう、俺のファギア《インビンシブル・インビジブル》は──

“空気に、意思を込めて命令できる”。

だったら、記憶を奪われる前に……

**“この空間に、俺自身のメモを残しておく”**という方法だって──ある。




勝己「……これで、騙されっぱなしの俺じゃねぇって証明してやるよ。堀井」

──放課後の教室。

りこ「え? 写真? うん、撮ってもいいよ〜」

そう無邪気に答えるりこに、

堀井がニヤつきながらカメラを構えた──そのとき。

勝己「──よぉ、いい写真が撮れそうじゃねぇの?」

堀井「……勝己か。

ま、被写体がいいもんな」

明らかに不機嫌そうな堀井の顔。

だが、俺はすでに“構えて”いた。

勝己「《インビンシブル・インビジブル》──ボソ……」

呟きと同時に、空気に“ある命令”を与える。

堀井「そうか、お前も……ファギア持ちか。

……面倒なことになりそうだな」

堀井「──《メモリアスナップ》」

──カシャ。

堀井のインスタントカメラが俺を撮影する。



堀井「“1分前”で」

ウィン、と写真が吐き出される。

堀井は即座に──それを破いた。

だが、俺は──

勝己「……っ!!」

一瞬、意識がぼやける。だが──

勝己「……俺の“空気”が反応した。

つまり、やっぱり……お前、記憶操作してるじゃねぇか」

堀井「な、なに言ってんだよ……!? 証拠でもあるのかよ!?」

勝己「あるさ──」

俺は空気に命じていた。

──“もし俺が記憶を奪われそうになったら、その記憶を俺に思い出させろ”と。



勝己「俺が空気に与えた“役割”は、

“俺が忘れそうになった記憶を、思い出させる”ってことだ!」

堀井「そ、そんな……!?」

勝己「──もう逃げられねぇぞ。堀井。」

りこ「……記憶を、奪う……?」

勝己「ああ。

りこ──そいつの“記憶”、見てみろ!」

一瞬、りこの瞳が鋭く光った。

りこ「……うん」

──りこは堀井の肩に手を添える。

その瞬間──

りこのファギアが発動する。

記憶の断片が、頭の中に流れ込んできた。




カシャ──

しゃがみ込みながら、自分にカメラを向ける堀井。

隠し撮り。

ローアングル。

そして……笑ってる。

りこ「……これ……っ!!」

勝己「……どうやら、言い逃れはできねぇようだな」

堀井「ま、待て! 俺は、別にそんなつもりじゃ──」

勝己「──言い訳、いらねぇ。」

バキッ!!

りこ「変態カメラ小僧は──

被写体に許可を取ってから出直してきなさいっ!!」

ボカッ! ドカッ!

──堀井、コンビでボッコボコ。




数分後。

堀井のスマホ、カメラ、データ、SDカード、すべて初期化&破棄。

印刷された写真も、燃やして完全消去。

勝己「これにて──

変態カメラ小僧、人生終了。」

──スッキリした風が、教室を吹き抜けた。



お読みいただきありがとうございます!


堀井、お前はやりすぎた──そして当然の報いを受けた……。


勝己とりこのコンビプレイ、個人的にもお気に入りのシーンになりました。


ファギアって、単純な力比べだけじゃなく「頭の使い方」でも魅せられるところが好きです。


次回はちょっと熱い恋のお話、引き続きよろしくお願いします!


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