表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/67

0004. はじめてのダンジョン





 俺たちはダイン鍾乳洞とやらへ進んでいた。



「だけど、こっちに寄ったのは正解だったねぇ」

「ええ! 絶対いい事あるって気がしてたんです!」

「本当によかったよ~! ヴァンさまに会えたのは奇跡! 運命という奴だね!」

「さぁ、どうだろうね? ただ僕は天の声に従っただけさ。あそこで待っていれば運命の人に出会うという声にね。つまりはそういうことさ」

「きゃー! ヴァンシュタイン様かっこいい!」


 右手にたわわ。左手にロリっ子。

 今、俺は人生で初めて女の子に囲まれている。


 転生者という特殊なステータスで、

 この上ない程の自信を持っているから、

 なんの恐れすら抱いていない。無敵だ。


 どう考えたって最強の『プログラミング』

 使えるようになれば勝てない敵なんているわけない。


 ……いや、まてよ?

 まどろっこしいことしなくても……。


 俺は二人の手を握りしめたままつぶやく。


『コーディング』


「ヴァンシュタイン様、何か言いました?」

「聞こえちゃったかな、恥ずかしい。君達との出会いについて神に感謝を伝えたのさ」

「流石はヴァンさま!」


 やっぱり他人に対してもコーディングは使えない。

 何になら使えるんだ、コーディングは……。


 それにしても、だ。


 この子たちは俺が何を言っても称賛してくれる。

 こうなると歯の浮くような台詞が止まらない。


「そういえば、僕としたら恥ずかしいことに、君たちの名前の名をまだ聞き及んでいなかった。美しさとは罪なものだよ。君たちの名前までも隠すのだから」


 気づけば一人称すら変わっていたことに気付いた。

 改めるつもりはないが。


「そうでした! えへへ、自己紹介がまだでしたね?」

  

 たわわは頬を赤らめ上目遣いで俺を見る。


「私の名前は……トロンです///」


 い〜い名前だ。

 トロンとしたその目つきにピッタリ!

 名は体を表すというが名付け親グッジョブ!


「僕はレイだよ! よろしくねヴァンさま!!」


 これまた可愛い名前だ!

 将来、絶対美人になるって確約されたこの可愛さ。

 レイは漢字で書いたら『麗』に違いない!!


「私は……トオルだよ。これからも末永~くよろしくね? ヴァ・ン・くん♡」


 耳元で囁くのは反則過ぎる。

 ゴッデス オブ エロティ。

 アダルトがありあまる。


 こんな美少女に囲まれているだなんて……

 俺、正直もう死んでもいい!

 

 幸せがほとばしりすぎている!!

 ありがとうございます!!


 ご都合主義? いいんだよ。異世界なんだもん!

 これ、死んでまでして得たチケットだぜ?

 ハーレムがなければ異世界じゃないって

 エロい人も言ってたじゃん!

 

 自分にそう言いきかせた後、

 俺はにやつきをかみしめた。


 いつだって女の子はクールな男が好きなんだから!


 と、道中かつてない幸せな時間を過ごしていたが

 やはり楽しいひとときはあっという間。


「ヴァンシュタイン様、そろそろダンジョンにつきます!」


 とうとうついてしまったようだ。

 目の前に見えるは、いかにもな入口。


 こんなド〇クエの洞窟の入口みたいなのが

 本当にあるんだと感心する。


 だって、考えてみて?


 草原の真っただ中に大きめの岩があって

 それがくりぬかれてて

 中に洞窟が続いてるとかある? ないよ。

 

「その辺の魔物は私たちが倒すから、ヴァンくんは例の奴まで力を温存しておいてねぇ」


 そう言ってトオルは、

 片腕を上げ、もう片方の腕でそれを頭に寄せ、

 ストレッチを始めた。


 足のストレッチの時、下着が見えた気がする。

 ごちそうさまです。


 さて、そんなことよりもだ。

 この三人はいわゆるボスを俺に任せるつもりだ。


 正直、嫌である。


 だってさ?

 モノにも人にもコーディングできないのに

 何にプログラム組むん!?


 それだけではない。

 俺のステータスは底辺レベル。

 職業とやらは無職。レベルは1。


 正直言って転生者の特殊スキルとやらが強くても、

 そんなので勝てるほどこの世界は甘いのか?


「君たちに聞いておきたいのだが、僕以外の転生者もいる聞いたけれど、どんな人達がいるんだい?」


 俺は焦りを埋めるように転生者の話を聞く。

 少しでもヒントになるものがあるかもしれない。


「ふふーん! それなら僕の出番だね!」

「ふふふ、レイは転生者様のこと大好きですもんね?」

「右に出る者がいないと自負があるよ! 転生者のことだね?」


 レイはその平な胸を自信満々に張って続けた。


「多種多様な人達がいるけれど、最近有名なのはスノウさまやイヴさま! あとジャンヌさまかな〜? ナツメ様とかアリスさまも面白い人だったよ!」

「ほぅ? どんな能力を使える人達なんだい? 強いのかな?」

「ものすごく強いさ! スノウさまは氷を操って『七人の小人(グラシアルセプト)』っていう独特な氷の武器をつかうよ! イヴさまは星の力を自身と融合させて様々な星衣フォーレマに変身して戦うんだ! 他の人もかっこいいんだよ!!」

「そっか……、他の転生者も凄いようだね」


 まてまてまてまて。

 何その凄そうな能力!


 一番、優れてた能力が引き継がれるんだろ?

 

 氷を操るだとか星の力を取り込むとか……

 どんな生活してたらそんな能力になるんだ?

 本籍、銀河? 住所は冷蔵庫ですか!?


 絶対、地球人じゃないじゃん。

 別の異世界から来てるじゃん!

 そんな奴らからみたら地球人ゴミじゃん!

 戦闘力5とかじゃん俺!!!


「勿論、ヴァンさまの能力も楽しみにしてるからね!!」


 キラキラとした目を俺に向けるレイ。

 やめて! 純粋やめて!! 溶けちゃう!!

 

 まるでお湯に溶かした味噌のように

 俺の不安が広がっていくじゃあないか!


「ヴァンシュタイン様、よろしくお願いいたします!」

「ヴァンくんのかっこいいところ、楽しみにしてるからねぇ」


 そんな俺の心を知る由も無い、

 彼女たちの期待の目が次々と俺に突き刺さる。


 だが、俺は自信に満ちた表情を作る。

 ハリボテを表面だけを繕っているような

 不自然な笑顔かもしれないが。


「ふっ。あまりに早く仕留めてしまわないように気を付けるよ。君たちの視線を集める名誉な時間を僕は楽しみたいからね」



 何を言ってるのだ俺は。

 笑顔だけだと気が休まらなかったんだよぉ!



 兎にも角にも。



 俺のはじめての冒険が始まることとなる。

 屈辱的な始まりが、始まる。






 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ