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生贄
しかし、幸せな時間は長くは続かないと言うのが世の流れである。
生物は食欲を満たすと性欲を求めるものである。
そして、目をつけられたのは広川まなであった、当然秋山は抵抗したが、秋山の味方するネズミはどこにもおらず、逆に秋山を殴りつけてポイントを稼ぐネズミまで現れる始末であった。
そして、ボスネズミは信じられない事に簡易な身分制度を作り上げた、真っ先に秋山を殴りつけた奴は現代でいう王侯貴族階級となり
次に参加した物は一般階級そして不参加者は奴隷階級となった。
しかしながら、反抗する者は秋山を除いて殆どいない
まず第一に広川は万人に対しても優しく振る舞い多くのネズミはボスを憎みながらも、まなを悲しませたくないと理由をつけて歯向わない事を納得させた、腹が立てば秋山を殴ればガス抜きが出来るからだ
そして、広川は秋山の前でさめざめと泣く
「辛い悲しい」と勿論本心ではない、彼女は知っていた、「千丈の堤も蟻の一穴で崩れる」という事を、しかしながら自分自身が蟻を駆り立てているとはまだ知らなかった