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8話:マギウスの石板

 数分後にママとパパが家から出て来た。どうやら魔力を測定する魔道具が見つかったようだ。


「ラピス、これは【マギウスの石板】と言って魔力を詳しく鑑定出来る魔道具なのよ。かの魔法神マギウス様が、作ったとされてるわ」

「神様でしゅか?」


 いきなり神様と言われて頭が混乱する。念話でラズリに聞いてみた。生前では、神を信じてると言えばドン引きされた。頭がおかしい奴として扱われた。

 生前の俺は、もちろん神を信じてなかった。


『ラズリ、神様はいるのですか?』

『イエス、神はいます。ですが、教会で営む神父や巫女でしか、その姿を拝見出来ないとされています』

『それじゃぁ、俺が会う事は出来ないのか?』

『可能性はゼロでありませんが、むずかしい事でしょう』


 神がいる事が分かっただけでも、とんでもない収穫か。

 私の生前では、誰も神の存在は信じていなかった。だから、教会という物はなかった。

 もしも、生前に教会が存在していたなら、おそらく迫害の対象となっていただろう。


「ママは神様は信じてるのでしゅか?」

「えぇ信じてますよ。魔法使いは、みんな魔法神マギウス様を信仰してますよ」

「俺は、武神カリン様だ。女神でありながらも猛々しい容姿に騎士や剣士だけでなく、様々な流派の武闘家達が信仰してるな」


 どうやら一柱だけではないらしい。聞く話によると、商人なら商業神、恋人や結婚を考えてるなら運命神等がいるらしい。

 まぁ他にもいるらしいが、数え出したらキリがない。大抵が、自分が就く職業によって信仰する神様を決めるらしい。


「ラピスが将来どの神様を信仰するのか楽しみにしているわね。話が逸れたわね。魔力を計りましょうか」


 私の前に【マギウスの石板】が置かれた。間近で見ると、ただの木の板に見える。これが魔道具と言われても信じ難い。


「【マギウスの石板】の上に手を置くだけでラピスの魔力を計れるのよ」


 ママの言う通りに【マギウスの石板】の上へ手を置いた。置いた瞬間に周辺を太陽が近くにあると錯覚する程の目映い光が発生した。

 急に光りだしたので、数分間の間は目がチカチカとまともに物が見れる状態でなかった。

 まともに目が見えるようになった後、【マギウスの石板】に俺の魔力量が表示されていた。


「そ、そんな馬鹿な!ラピスの魔力は……………たったの005なんて」


 比較対象がないと分かり難いので、平均で新人魔導師100、ベテラン魔導師1000、宮廷魔導師10000の魔力量があるとされている。


「いや、まだ諦めるのは早いぞ。【マギウスの石板】では、計り切れないのかもしれない。5歳になった時、教会で儀式があるだろう。そこでハッキリと分かるさ」


 パパがママを励ますが、二人の顔が暗い。どうやら後々聞いた話だと、どんなに少なくとも魔力は二桁はあるらしい。

 どういう理屈か不明たが、魔力が少な過ぎると病気になりやすいとか言われており、一部の有名な魔導師の間では魔力が多ければ多い程、病魔を遠ざけているとかいないとか、ハッキリした事は不明だ。

 不明でも、魔力が高い者に病気に掛かる者が少ないのは歴史が証明している。

 それで将来、私が大きな病気に侵されるのでないかとパパとママは不安なのだ。


「パパ、ママ、元気がないでしゅか?良い子良い子なのでしゅ」


 ラピスの中身は、40過ぎのオッサンのはずなのだがパパとママの不安そうな表情を見た瞬間に子供ぽく二人の頭を撫でたくなった。

 何故そんな行動に出たのか自分でも分からない。無性に両親である二人の頭を撫で子供ながら励ましたくなったのだ。

 もしかして、子供の体に合わせて精神も幼児退行してるのか?!なんだか、そう考えると私━━━いや、俺自身も何か急に不安になってきた。


「ありがとう、ラピス。ママは元気ですよ」

「ラピスは優しいな。よし、今夜はパパと一緒に風呂入ろうな」

「……………それはイヤでしゅ」

「ガーン!」


 誰得なんだよ。中身は40過ぎのオッサンの私とパパの入浴シーンなんて誰が望むんだよ。

 一見、仲睦まじい親子の絵柄だが、実際のところオッサン二人で入浴する。うん、俺ならゲロゲロと吐く自身がある。

 パパには悪いが、ここはママの方が良い。


「ママが良いでしゅ」

「あらあら、甘えん坊ね。良いわ、一緒に入りましょうねぇ」

「あのぉ、俺は?」

「三人も入ったら、流石に狭いわ。今回は諦めなさい」

「………………はい、分かりました」


 ママに言われては、パパは引き下がるしかない。何処の世界でもママは強しだ。

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