51話:ラピス10歳
ラピスは王城に通う事更に5年が経った。訓練場での訓練とアテナと一緒に魔法や学園に通うための勉強を、王国付の教師に教わりながら、ほぼ毎日していた。
この世界の歴史以外なら完璧だと称され、途中からアテナを教えていた。まだ日本にいた頃の記憶からの知識があるお陰だ。
「むふぅ、俺…………私も今年で10歳。益々綺麗に可愛くなっている」
そして、自由時間が出来ると高確率で私(俺)は、姿見の前でアイドルのようにポーズを取る。
細身でありながらも何処か力強さと美しさを両立したかのように育った。
まだ10歳のはずなのに首から下の方にある果実は、高校生並に育っている。世間でいうロリ巨乳だ。
「ラピスぅぅぅ、今日もここにいた。本当にラピスは鏡が好きよね」
「アテナ良いじゃない。自分の美貌を突き詰めるのもレディの務めよ」
毎日、騎士の訓練に混じりながら魔力を身体全体に循環させる練習も忘れない。
寝てる間もラズリのサポートを受けながら【 魔力制御】による循環を続けた。
今では、ほぼラズリのサポートが無くとも自然体に近い形で行えるようになっている。
「ラピスここに居たのか。アテナ様もご機嫌麗しゅう」
「パパ?どうしたの?」
息を切らしているパパを見るのは珍しい。結構慌てて私(俺)を探していたのだろう。
「急にブラウン伯爵様がお目見えしてね。騎士団の訓練を見学してたんだけど」
何やら嫌な予感がする。
アテナも感じ取ったのか私(俺)と目を合わせ、言葉には出さないが逃げ出したいと心の言葉が通じた瞬間であった。
「俺の部下の1人が、ラピスの事を話して、ぜひ会いたいと申されたのだ」
パパの階級は、いくら騎士団長でも貴族では男爵で準男爵の次、下から2番目に該当する。
伯爵より3つ下となると断れない。もし断ったりしたら、最悪不敬罪として打首にならかねない。
「分かりましたわ。お会いしますの。ドレスにお着替えするの」
「そうか、助かるが、親としては会わせたくない」
貴族も一枚岩ではない。良い貴族もいれば、悪い貴族もいる。その典型的な悪い側の貴族の代表格が、ブラウン伯爵という訳だ。
それを分かっているからパパ…………ガイスの本音は会わせたくないと言ったのだ。
「それと陛下も見に来ると申されている。アテナ様もお越しになりますか?」
「えっ?パ…………父上も来るのですか?ぜひ、行きたいです」
国王様も来るのか。国王様の目の前で悪さは出来やしないだろう。もし、しようものならそれこそ…………処刑だ。
「あれがブラウン伯爵だ」
パパが指差した先に立派な髭を携われ、毎日豪華な食事を食べてるのだろう。良い意味でポッチャリ、悪い意味でデブな体型の男がいる。
「そして、横にいる子がブラウン伯爵のご子息であるキール様だ。今年で10歳、ラピスとアテナ様と同じ年だ」
父親と似てるのは顔だけで、体型は真逆と言っていいだろう。一見、華奢に見えるが所々筋肉が見え隠れしている。
それに、【 鑑定】で確認してみたら魔力量も10歳という年齢の中ではトップに立てる程に高い。
「ブラウン卿、お連れ致しました。我が娘でありますラピスでございます」
「おぉ、そなたがラピス嬢であるか。我が領にも噂が届いておるぞ」
「伯爵様に知って貰えて光栄でございますわ」
カーテシーをしながらお辞儀をする。内心では、全然光栄とは思っていないが、ここは作り笑いでパパの身分に傷をつける訳にはいかない。
「我が息子も紹介しよう。ご挨拶しなさい」
「お初にお目見え致します。私は、カイル・ウォン・ブラウンが嫡男キール・ウォン・ブラウンで御座います。お見知り置きを」
満面な笑みで、お辞儀をした後、キールは私(俺)に握手を求めて来た。断る理由もなく応じる。傍から見たら好青年のように見えるが、近くで観察すると良く分かる。
「こちらこそ、よろしくお願い致しますわ。キール様」
目元が笑ってなく、ドス黒い何かが心の中にあるのだと直感的に感じた。それに、私(俺)の胸元を周囲には分からない程度に視線を向けていた。
うっ…………胸元を隠したいが、ここでそんな行為をするのはキールの面子を潰す事になるので出来ない。だから、作り笑いで誤魔化す。
「そこでどうだろうか?我がキールとラピス嬢の模擬戦をやるというのは」
「それは良い提案じゃないか」
ちょうど、国王陛下がお目見えになり、ブラウン伯爵の提案を耳にしたようで許可を出された。




