44話:黄昏と2人きり
アテナがリリ第一王女殿下と行ってしまわれて、残された私(俺)は今、模擬戦をした黄昏であるカイトという男と2人切りで一緒にいる訳だが、私(俺)は5歳児で相手が15歳という傍目から見たら訳の分からない組み合わせだ。
兄妹の関係なら分からなくともないが、顔や髪からして似ていない。それに私(俺)とカイト以外誰もいない部屋で、お香型の魔道具を設置し厳重に結界まで張られ逃げる道はない。
結界を張ったのは、もちろん目の前にいる男、カイトである。
「さてとこれで誰も聞かれる心配はないね」
「そこまでする事ですか?」
「神様女神様の話を聞かれるのはマズイからね。邪神教の者が近くにいるかもしれない。それに転生者の話も本来なら国家機密に近い部類になる」
「でも、ステータスを見せたけど王様は何とも?」
「どれ、俺にも見せてみろ」
・名前:ラピス・グレィープニル
・性別:女
・種族:人間
・職業:魔法少女
・レベル:8
・年齢:5歳
・HP:S
・MP:SSS
・攻撃:SS
・防御:S
・魔攻:SSS
・魔防:SS
・俊敏:SS
・運:S
・固有武装:魔法少女の神珠
・技能:鑑定、開示、隠蔽、幻影、魔法制御、剣能
・魔法:無、炎、水、雷、土、風、闇、光、神聖
・称号:グレィープニル家長女、転生者
・加護:剣神、魔法神、料理神
あれ?レベルが上がってる。でも、他は変化がない。多分、カイトと模擬戦をしたからだろか?
「……………なるほど、これは凄まじいの一言しか尽きない。多分だが、余りに強烈過ぎて称号のところを見逃したかだな。俺が陛下の立場なら見逃してもおかしくない。まぁまだ補正が掛かってる分、マシか。成長していく度にハズれて行くとすると恐ろしいな」
成る程、産まれた時から似たようなステータスだからそこまで気にした事はないが、他人から見たら驚くか。
「ラピスのステータスだけ見たら不公平だな。俺のも見るか?」
「はい、見たいです」
【鑑定】を妨害されて見れなかったから楽しみである。
・名前:カイト・ハイデンバーグ
・性別:男
・種族:人間
・職業:黄昏
・レベル:200
・年齢:18歳
・HP:C
・MP:SS
・攻撃:B
・防御:C
・魔攻:A
・魔防:B
・俊敏:C
・運:S
・固有武装:素材の次元鞄
・技能:鑑定、開示、黄昏
・魔法:収納魔法
・称号:ハイデンバーグ家長男、冒険者ランクB、転生者
・加護:錬成神、料理神
「どうだ?」
「なんか、思ったより平凡というか」
自分のステータスと比べると平凡に見えてしまう。いや、一般的な兵士や冒険者と比べるとそこそこ高い方だ。
「ステータスなんざ、将来どう成長するかの参考程度に思っていれば良い。レベルが上がってもほぼ変化しない。変化するのは隠れステータスの方だ」
『隠れステータスは、HPから運と技能と魔法の強さ・加護の強さを数値化されたものです。【鑑定】のレベルを上げるか古代遺跡物でしか見る事は出来ません』
古代遺跡物、聞いた事がある。前世の記憶にもある。ダンジョンに稀に発見される希少な魔道具。その大半は使用方法が不明のままコレクターが収集していると聞く。
だが、その中には用途がハッキリと判明してる物がある。その1つが、隠れステータスを【鑑定】してくれる《神の目》がそうだ。
一番有名な古代遺跡物であり、各ダンジョンの入口か5層毎に設置してある。
盗難は不可能であり、盗もうとした輩は少なからずいたが必ず天罰を喰らう。雷が落ちたり、炎に焼かれたりと様々だが当分の間は動けなくなる程の重症を負う事になる。
「ラズリでも隠しステータスは見れない?」
『不可能です』
ラズリが出来なきゃ私(俺)にも出来ないと同意だ。
「まぁ俺の場合は、時間は掛かるが隠れステータスを見る魔道具を作れるし、黄昏の戦い方は魔道具で左右されるからステータスのランクはあんまり関係なかったりする」
「なっ!つまり、私(俺)の隠れステータスを既に見ていたり?」
「くっくくく、さぁそれはどうだろうな」
変態がいる。お巡りさん、眼の前に変態がいます。キャァァァァっと逃げようと考えるが、ここはカイトが展開した障壁の中だ。カイトが解除しない限り部屋の外へは出られない。
「そんなに慌てんな。まだ作ってないからな」
「まだという事は、何時か作る気なんですね」
「俺じゃなくとも錬金術系統の職業を持ってる奴は少なからず挑戦してる課題だ。まぁ俺なら何時でも作れるから取り掛かってないだけだ」
何気に自分の事をマウント取ってて少しキモく見えて来た。