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41話:ラズリと初陣

「まだ1回も使ってないわよ」

「いいえ、あなたは使えるはずです」


 カイトは確信を持ってるかのように宣言する。まるで、この世界に転生し新たな生を受けてから、ずっと見られてるような感覚だ。


「君の固有武装は珍しい自律型です。自律型の固有武装所持者は、職業選定の儀以前より使える事があるそうです」


 固有武装には、いくつかタイプが存在する。


 カイトが持つ手提げカバンのようなアイテム型。

 アテナが持つ指輪のような武器や鎧みたいな武装型。主に多いのが、このタイプだ。

 自律型と似ているが、魔物モンスターの形を取ってる動物型。

 私(俺)が持つ魔法少女の神珠ことラズリように意志を持つ固有武装の自律型。動物型と違うところは、意志があるかどうか。

 上記のどのタイプとも一致しない固有武装は特殊型と呼ばれてる。


「ラピスの固有武装よ。聞いているだろ?」


 ふよふよと浮く青ぽい宝玉。


『ラピス以外と話すのは始めてであります』

「ラズリ私以外と話しても良いの?」

『この場合は仕方ありません。ラピス、初陣と行きますよ』


 ラズリが私(俺)よりも何故かノリノリだ。転生し産まれてからずっと一緒にいたから分かる。こういう時には頑固でけして意見を変えたりしない事を。


「はぁー、まだ見せたくありませんでしたけれども仕方ありませんね」


 ラズリを人差し指と中指の間に挟み、前へ突き出した。


「ラズリ行くわよ」

『えぇ、何時でもどうぞ』

「我が名はラピス。ラピスの名によって命じる。ラズリよ、神々の力を与えよ【変身プロセス】起動」


 ラズリが光り輝きラピスを包み込む。数秒後、光の中から出て来たラピスは、この世界ではあり得ないような服装をしていた。

 スカートはヒラヒラで丈が短く少し動けば見えてしまいそうだ。太ももを十二分に曝け出し、5歳といえど妖艶さを見て取れる。

 それに対して上衣トップは、胸全部は隠れてるが腹は出ており露出は激しい。でも、露出が激しい服装を着用してる種族や職業はいるから、そこまで気にする事ではない。

 だが、同じ転生者であるカイトは、口元を隠すようにソッポを向き肩を震わせている。


「おい、笑うな!わ、私だって好きでこんな格好をしてるんじゃないのよ」


 前前世でなら絶対に街中で歩けない。するとしても、コスプレ会場しかありえない。


「悪い悪い。プックククッ確かに魔法少女だ。それ以外にあり得ない」


 そりゃぁ、転生者なら魔法少女という意味を良く理解しているはずだ。

 私(俺)だけしか発現してない職業だから、こちらの住人も希少性は理解してるらしいが、それがどんな職業なのか頭の中は、チンプンカンプンだろう。


「ラピス可愛いぃぃぃ!」

「何という破廉恥な!」

「父様、あれは可愛いと言うのよ。女魔法使いや森精族エルフだって、肌を出してるじゃない」

「そ、そんなものか?」

「そんなものよ」


 王様!実の娘に言い負かされてどうするの!それも私(俺)と同じ5歳児に。内心で、そうツッコむが今は目の前の戦いに集中しないと。

 2度続けて同じ相手に負けられない。


「私めも少し本気を出そうか。これでお相手いたそう」


 カイトがアイテムボックスから取り出したのは美しい長剣だ。剣に詳しくないが、惚れ惚れする美しさだ。


「これはミスリルの剣だ」


 ミスリル?!始めて見た。前世の傭兵でも持った事はない。そもそも魔法の適正がないと、ミスリルは宝の持ち腐れになってしまう。

 持ち主の魔力により永遠的に成長すると言われる。ただし、加工の難易度が物凄く高く並みの鍛冶師じゃ手に負えない。


「それで君の武器は?まさか衣服を変えただけじゃあるまい」

「ありますよ。この衣装と合わせて私の固有武装です。ラズリ、剣武装ソードモード


 大人が持てば、ちょうど良い長さでも5歳児のラピスだと身の丈以上の長さとなってしまう。


「ラズリ、少し長い。そう、ちょうど良い」

「武器の大きさを変えられるなんて、興味深い」

「そんなの探せばあるんじゃないですか?」

「もしあっても国宝級だね。それは兎も角、第二戦始めようか」


 スカートのヒラヒラが気になるが、始めての固有武装。相手が相手だけに良い実験となる。


「ラズリ行くよ」

『固有武装の制御はお任せを。ラピスが思う存分に動きなさい』


 見た目以上に固有武装の剣は軽く、まるで手先を延長したみたいに扱い安い。

 それにカイトも木剣の時よりも動きが良く、こっちが固有武装を使ってるにも関わらず互角以上の戦いを見せている。



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