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4話:パパとママ

 私の固有武装であるラズリを自由自在に出し入れ出来るようになってから一週間頃、前世の分も話し込んだところで魔法の事とか魔法の事とか魔法の事とか聞いて見ようと思う次第だ。


『マスター、魔法の事しか頭にありませんが?』


 何!この子、私の心を読めると言うのか!


『いえいえ、マスターの表情に出ていただけです』

『そんなに解り安いかな?まぁ冗談はこれくらいにして、他にも聞きたい事はいっぱいあるんだ』


 第一に知りたい事が魔法だけど、他にはこの世界アークグラウンドの歴史や前世と現在の違いを主に知りたい。

 いくら歴史に疎くても親から子供に伝えられる吟遊詩人が謳うような伝説や神話的な事は確実に知っておきたい。


 キラキラ

『早く早く魔法を教えてくれ』

『マスター、了解しました。先ずは魔力を感じるとこらからです』


 魔力は大気内と生き物の体内に存在する。種族によって魔力の保持量は異なるが誰だって持ってる。ただし、それを感じ取り自由自在に操れるのは別の話だ。


『マスター、ワタシが魔力をマスターの体内に流すので感じ取ってください』


 ラズリはラピスが触れる高さまで降りていった。ラピスが触れると、何やら暖かい何かが流れる感覚を覚え、これが魔力なのだと理解した。

 後は簡単であった。技能スキルの【魔法制御】により体内の魔力を操り、掌から微風を出す事に成功した。初めての属性魔法に感激するが、初めての魔力を行使したからか瞼が重くなってくる。


『初めての魔法で疲れたのでしょう。マスター、今はお休みください。また後日、やりましょう』


 そ、そんな折角魔法が使えたというのに、またやりたい事がたくさんあるというのに眠くなるなんて!あっ、いけない。もう限界だ。グゥ~スピー。


「ふっはぁ~」


 初めての魔法を練習した反動で一度も夜中に起きてしまう事はなく熟睡していた。目を開けたのは、小窓から射し込んだ太陽の光を認識したからだ。

 昨日は折角初めての魔法を練習したというのに途中で寝てしまうとは歯痒い。これだから赤ん坊の体は不便だ。だけど、逆に考えるとラッキーかもしれない。

 赤ん坊の時から魔法の練習なんて、普通なら無理な話だ。まだ自我が安定しておらず、本能の赴くままに睡眠と食事にトイレを繰り返すだけだ。

 そうなると、自我が既にある俺はラッキーでないか!今はまだ赤ん坊で不便だけど、体的に成長する事で強くなるのはステータスによって確定している。

 ステータスのランクの横に書いてある《赤ん坊補正》というのは、初めて聞いたが………………おそらく成長すると取れると俺は予想している。

 これが的中していたら、レベルを上げなくても自動的に成長するだけでステータスランクがSやSSなる訳だ。まぁそれらを使いこなす事とは別だけどな。

 いくらステータスが強くとも経験がなけりゃ意味がない。ステータスが弱くとも経験で培った知恵・知識で成り上がった者もいる。


『マスター、おはようございます』

『ラズリ、おはよう』


 俺が起床してから数分後、ラズリがフワフワと顔の横に出現し浮いている。

 ラズリが出現したという事は夜だけでなく昼間も魔法の練習を出来ると俺は内心ガッツポーズをし大変喜んだ。

 喜んだのも束の間、部屋のドアを開け誰かが入って来て、俺を抱き抱えた。急に視線が高くなり、自我があるが故に恐怖を感じた。この世界に絶叫マシーンがあるなら、規模は小さ過ぎるが似てる感覚だ。


「ラピス、ママでちゅよ」

「あぅーあぅー(ママ)」


 ママと言おうとしたが、上手く言葉にならない。だけども、俺が何を言おうとしたのか理解したのか、ママはパーっと笑顔で俺の頬をスリスリと頬ずりをしてきた。

 ママの頬は柔らかく、まるでマシュマロみたいに気持ち良い。これがパパなら髭がジョリジョリとヤスリに掛けるみたく最悪だっただろう。


「あ、あなた!ラピスが私の事をママって……………ママって言ったわ」

「なに!それは本当か!どれ、ラピス…………パパでちゅよ」

「はぅーはぅー(パパ)」

「本当だ!我が娘は天才なのか!」


 この二人、とんだ親バカなのか!別に喋れてないじゃないか。そんなに褒められると逆に恥ずかしい。


「あなた、そろそろ行かないと仕事に遅れますわ」

「ラピスと離れたくない。どうしても行かないとダメか?ラピスもパパと離れたくないよな?な?」

「ほら、ラピスも呆れてますわ」


 ママよ、こっちに振らないで欲しい。でも、俺は空気を読める良い子なのだ。パパが、俺に顔を向けるのと同時にプイッと『仕事に行かないパパなんて大嫌い』という意思表示としてソッポを向いた。

 それが効果覿面だったらしく、パパはガーンと顔面蒼白となり床に膝と掌を付き俯いてる。よっぽどショックだったようだ。というか、さっさと仕事行けよ。


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