34話:神様プリン
ラピスはキッチンへ配置に着いた。着た積りはないのだが、エプロンが着用されてる。
「さぁ始め」
料理神の号令に作り始める。
クッキーから作り始める。篩に掛けた薄力粉250gにバター100gと砂糖80g、タマゴ一個をヘラで切るように混ぜ合わせる。
だんだんと固く纏まってきた。本来なら子供の腕力では厳しいところ。だが、普段から鍛えてる私(俺)には難なく捏ねられてる。
今回は、2種類のクッキーを用意する。1つは、先程捏ねた生地をそのまま焼くプレーン。もう1つは、プレーンにココアパウダーを加えたチョコクッキーだ。
「へぇー、今回は2種類あるんだ」
うっ、料理神様に見られてると緊張する。いくら子供の姿とはいえ、中身はれっきとした神様の一柱だ。
ニコニコと普通の子供のように笑みを浮かべているが、こうも見られていては緊張してしまう。
「あのぉ、そう見られていますと緊張してしまうので」
「えぇ良いじゃないか。地球にはライブキッチンというのがあるらしいじゃないか」
確かにありますけど、ここまで手元を見られる訳ではない。まだ遠目で風景の一部として見られるに過ぎない。ここまで近寄る事はない。
「料理神、大人しくしなさい。ラピたんが可愛いそうでしょ」
「えぇっ運命神良いじゃないか」
ギロリ
「うっ………分かったよ」
運命神の睨みに、いそいそとテーブルに着く。助かりました運命神様。
でも、私(俺)に向けられた訳ではないけど、意外にと運命神は怖い。おそらく運命神に睨み付けられたら、私(俺)ならその場で気絶する。
「先ずは2種類のクッキーをお召し上がりください」
時間が過ぎるのが早かったと感じた。だって、料理神だけではなくて全ての神様が、こちらを見てるんだもの。
いや、胃がキリキリと痛く感じるも実際には時間が過ぎるのはあっという間だった。
ラズリが教えてくれた。ここの流れる時間は下界とは違うと。下界で一秒と時間が過ぎると神界の時間は1週間過ぎてる。
つまり、よっぽど長居しなければ、ほぼ時間は過ぎない。ラピスが神界に来てる事すら気づいてないはずだ。
シャク…………モグモグ
「ほぉ、これがクッキーというやつか」
「めっちゃ美味しいじゃないか。流石、オレが選んだ事だけはある」
「なにこれ、うまぁぃ。流石、私が選んだだけはあるわ」
「なにぉ」
「なによ」
剣神と魔法神がバチバチと啀み合ってる。剣と魔法だから仲が悪いのか?何で誰も止めない。
「これは良い商品になる気が…………でも、長持ちせん事には…………ブツブツ」
「……………モグモグムシャムシャ」
商業神は食べながら何かブツブツと呟き、鍛冶神に至っては無言のまま厳つい顔をしながら食べている。
「いつもの事だから、ラピスちゃんは気にしなくて大丈夫大丈夫」
料理神が、そう言うが神同士の喧嘩なんて世界が滅ぶかもしれない。北欧神話のラグナロクや旧約聖書のノアの方舟等がいい例である。
ビクビクしながら私(俺)は、プリン作りに取り掛かる。料理神様信じますよ?
「ちゃんとプリンの型まである」
私(俺)の心を読めるのか?探した先で必ずと言って良い程に欲しい道具や材料が見つかる。
先ずは大量のタマゴをボールに割り混ぜてから、温めた牛乳に砂糖を溶かしタマゴと混ぜ合わせる。これで卵液の準備は出来た。
「後はキャラメルソース」
プリンには欠かせないキャラメルソース。甘味の中に仄かな苦味がある事により甘味が引き立てられる。
これを最初に考えた出した人は天才だ。誰が態々甘味と苦味を合わせようと思い付かない。
鍋に水とグラニュー糖を入れ火を点ける。ヘラで混ぜながら茶色になるまで煮詰めたところで、生クリームを投入する。
生クリームを入れる事により味と色合いが、まろやかに変わる。完璧に焦げないよう見極めるのは簡単そうで難しい。
「キャラメルソースと卵液の順番に型に入れて蒸す」
お湯を張ったパッドにプリンを容器事設置したままオーブンレンジにセット。時間をセッティングして蒸し終わるまで待つだけだ。
神々が座る円卓を見ると、クッキーは好評のようだ。既に大皿に盛ったクッキーが無くなってる。
「うん、これならボクの加護を与えても良いかな」
「まだプリンとやらを食ってないじゃろ」
「プリンも美味しいの?」
「そりゃぁ、美味しいに決まってるよ。この前、カイトくんに食べさせて貰ったから」
「またお主というヤツは」
何故かは知らないが、創造神が料理神にクドクドと説教を垂らしてる。まるで厳格なお爺さんとイタズラ好きな孫のような構図に見えてしまう。