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33話:料理神

「俺の他にも転生者はいらっしゃるのですか?」

「あぁおるとも」


 一番驚いたかもしれない。それもそうか。私(俺)だけが特別ではない。ラノベや漫画・アニメだと自分が特別に勇者になれるものだけど、現実は荘単純ではない。


「無慈悲な死を経験した者の魂が輪廻転生をしやすいのじゃ。お主の場合は、我々の不注意だがの」

「まさか2回も転生するとは思いませんでした。とんでもない確立です」


 運命神の美女さんが物凄く驚いてる。まぁ私(俺)が知ってるラノベや漫画の異世界転生物でも2回はなかった。あっても複数人だろう。

 ただ、私(俺)が知らないだけかもしれない。それだけ珍しい事のようだ。


「分かりました。カイトさんにお会い出来ましたら、錬成神様からよろしくと言っていたとお伝えします」

「よろしゅうな。仲良くしてぇや」


 後は残り2柱の神様。どっちもヒゲを地面に着くギリギリまで生やしており、片方は三つ編みで編まれている。細目で優しそうなお爺さんって感じだ。

 もう片方は、2つ分け肩を通り背中側へと回している。瞳はキツめでキリッとしており、ひと睨みすると萎縮してしまう。


「ヒゲを三つ編みしてるコヤツが、商業神。農業から酪農、薬に武器何でも売れる物なら扱っておる。商人なら持っておる加護じゃな」

「フォフォフォ、何にでも価値はあるものよ」


 商人よりも私(俺)は戦っている方が性に合っている。おそらく私(俺)にとって一番無縁な加護だ。


「商業神の隣に座っておるのが、鍛冶神じゃ。主に土精族ドワーフが持ってる加護じゃな」

「ふん、土精族ドワーフが作る武器が天下一品よ」


 どうりで、いがつい体型をしてると思った。土精族ドワーフなら納得だ。まぁ私(俺)には、ラズリがいるからお世話にはならなそうだ。


「もう一柱いるのじゃが、遅刻かのぉ」

「ゴメンゴメン、遅れた?」

「アンタで最後よ」

「ゴメンって、つい食べてたら遅れちゃった」


 最後に現れたのは年端も行かない男の子だ。突然に現れた男の子を呆然と見ているラピス。


「最後の1柱の料理神じゃ」


 えっ?!こんな子供しか見えないのに神様!


「よろしくね。クンクン、ボクのお気に入りの匂いがするね」

「お、お気に入り?」

「そう、お気に入り。もしかして、中華大衆食堂「優」に行った事あるんじゃないかい?」

「…………?!」


 確かに行った事ある。誕生日祝いとして連れてて貰った。あの時の炒飯チャーハンが美味しかった記憶がある。

 また行きたいものだ。


「そこの店主が、ボクのお気に入り。因みに転生者だよ。名前はユウマくん」


 日本人ぽい名前だ。ほぼ確実に転生者だ。こんな近くに転生者が3人纏まるとは、凄い確率なのでは?!


「料理神、お主また下界に降りていたのじゃろ?」

「えっ?な、何の事かな?あっはははは」

「はぁ、まぁ良い。いつもの事だしな」


 一番偉そうな創造神が諦めモード。それ程に下界…………私(俺)達が住んでる世界に降りてるのだろう。

 外見からしてイタズラ好きな子供しか見えないからな。


「ラピスちゃん、わかってないなぁ」

「ちゃん?!」

「僕が行ってるのは、ユウマくんのお店だけさ。他にボクが加護を与えた料理人もいるけどね。ユウマくんの料理はダントツで一番なんだよ」


 これは、何かスイッチが入ってしまったようだ。自分の得意ジャンルの話になると時間を忘れて話し出す人、時々いる。


「そうだ、ラピスちゃん。ボクの加護欲しくないかい?」

「料理神様の加護?」

「そうだよ?ボクの加護無しでも料理は出来るけど、この前アークグラウンドにはないお菓子を作ったんじゃないか」


 えっ?この私(俺)が、この世界にはないお菓子を作った?それはもしかして、プリンとクッキーの事か?


「まだまだアークグラウンドの料理は良い意味では発展途上。悪い意味では、味気がないんだよ」


 それは私(俺)も感じている。いや、地球でまだ生きてた頃の記憶を思い出してからの方が正確か。

 たが、それは仕方ない。アークグラウンドは地球で言うところの中世に当たる文明だ。

 その頃はまだ、十二分に砂糖や塩、香辛料全般が手に入り難い時代。料理なんて味は二の次で生きて行くためには食えるだけで儲け物なのだ。


「君が作ったお菓子をボクに食べさせてくれないかな?それで加護を与えるか判断するから」

「でも、ここには材料と道具がありませんし」

「そこに用意してあるから」


 いつの間にかキッチンが設置してあり、道具と材料も全て揃ってある。これはもう作らないという選択肢はなくなった。

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