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16話:レッスン

『そうだったのか!今まで助かった。それよりも、話し掛けて大丈夫なのか?今、アイル先生がいるんだぞ』

『この女には、ワタシを認識出来ないので、ご安心を』

『この女って、アイル先生は俺の先生だぞ』

『でも、怪しさ抜群ではありませんか』


 確かにそうだ!肝心なところで二年後とはぐらかせてしまう。一体二年後に何があるっていうんだ。

 二年後といえば、私(俺)が五歳になる頃か。うーん、わからん。


「このステータスの事は、ご両親にはもう?」

「いえ、まだ話してません」


 こんなステータスを話せないし、見せられるか!もし見せたら、相手が恐怖に陥るか神や勇者のように崇めるかの二択だろう。

 前世の時は、最初の時は勇者みたく尊敬の念で見られていたが、徐々に周囲の人々は恐怖の瞳へと変わっていった。

 そんな訳で、今の両親にも話せていない。あれはもうトラウマみたいなものだ。


「話した方がよろしいのでしょうか?」

「まだ話さない方がよろしいでしょう。ここでの話は、ガロウ様と私の二人だけの秘密です」


 元々男だった私(俺)にとってアイル先生みたいな美女と二人だけの秘密という甘美な響きに私(俺)は、ゴクンとノドを鳴らす。

 それに今思えば、一緒の部屋で寝るのか。今更ながらドキドキと胸が高く響き合っている。


「お話は、これくらいにしときましょう。明日も早いようなので、ガロウ様お休みなさい」

「あぁ、お休み」


 私(俺)がドキドキして悩んでいるというのに、アイル先生は気にした様子は無く床に敷いた布団で颯爽と寝てしまった。

 私(俺)も蝋燭の火を消しベッドへダイブした。睡魔よりも緊張感が勝ち、隣で寝てるアイル先生の寝息により中々眠れなかったが2時間程経つと自然と瞼が閉じていき、いつの間にか視界は暗闇へと落ちて行った。


「ガロウ━━━━ラピス様、朝で御座いますよ」


 アイル先生により体を揺らされ、まだ重い瞼を擦りながら上半身を起こした。


「ラピス様、おはようございます」

「アイル先生、おはよう。今日からお願いします」


 午前中は、食事のマナーから始まりダンスレッスン、歩き方、挨拶等々まだ3歳なのでそこまで詰め込む訳ではないが、基本的な貴族のマナーを一週間で叩き込まれた。

 休憩を挟み午後からは魔法混みの剣技の訓練に費やした。

 やはり前世が剣聖なだけであって貴族のマナー講習は肩が凝るらしく、魔法や剣で体を動かした方がリフレッシュ出来るってものだ。

 そして、あっという間に一週間が経った。頼んで置いたドレスは届き着てみるとピッタリで鏡を覗くと、その中の自分が自分ではないみたいだ。

 ママやパパ、アイル先生がいる事を忘れ、ついクルリとその場で回転し一人ファッションショーを開催した。


「「クスクス」」

「はぁっ!パパママ、さっきのは忘れてください」

「マイエンジェル、凄く可憐で世界一の娘だ」


 抱き着こうとしたもんだから私(俺)は避けた。ドレスやハイヒールでなかったら、もっと避け易いはずなのに途中で息が切れる。


「ハァハァ、何故避けるのだ!」

「ハァハァ、パパ気持ち悪いからです」

「ガーン!」


 娘からの言葉にショックを受け、床に両膝と両手を付いた。

 まだ力量差があるパパには私(俺)自身を使った精神攻撃が良く効くと、この産まれて三年間で良く分かっている。


「アナタ、ふざけてないで行きますわよ」

「あぁそうだな、すまない。つい、ラピスがキレイなモノで暴走してしまったようだ」


 まぁその気持ち分からん訳でもない。フェミニストでないはずの私(俺)本人でさえ、ウットリとするレベルだもの。

 これで3歳、将来成長したら何処までキレイになるのか?実に楽しみだ。もちろん剣と魔法の腕も上げていく積もりだ。


「どうやら迎えが来たようだ」


 家の前で馬車が止まる音がした。招待されてるため態々迎えを寄越したらしい。

 家の扉を開けると、前世でも見た事のない豪華絢爛な装飾を施した馬車で3歳である私(俺)ですら、ゴクンと唾を飲み込んだ。

 これだけでも凄いと感じるのに馬車を引いてる馬にもあった。馬というよりも馬型の魔物と言った方が良いかもしれない。

 額に鋭利な角を一本生やしている白馬、ペガサスという魔物だ。だけど、翼が生えてない。


「陛下のご命令によりお迎えにあがりました」

「ほぉ、お前が来たのか。ユリウス」


 馬車の御者が態々降りて来て挨拶をしてきた。

 パパが知ってるって事は、パパの部下なのか?それにしても何というイケメンなんだ。キラキラと輝いて眩しく感じる。

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