表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/46

14話:転生のナイフ

 これは怒ってるよね?


「アイル先生、私が余計な事を言ったばかりに」

「いえいえ、怒ってませんよ。今までガイル様に秘密にして来た事に罪悪感を募っていたのです。それを失くせたのは、ラピス様………………あなた様のお陰であるのです」


 前世では他人から褒められる事は少なく、こう褒められると背中がむず痒くなる。


「ラピス様、ありがとうございます」


 私(俺)の何倍も長く生きてる森精族エルフであるアイルから感謝の意を込められお辞儀をされている。

 この時に何て言葉を掛けてれば良いのか分からない。こういう時に前世でソロを貫き通した事が後悔とした押し寄せてくる。


「あ、頭を上げてください」

「ありがとうございます。それで改めて質問なんですが、この魔道具で惑わした私の正体を、どうやって解ったのですか?」


 これは話した方が良いのだろうか?今までラズリの指導により魔法を訓練してきた。

 そのお陰で元々高い魔力を制御出来るようになってきた。だけど、まだ訓練するに越した事はない。


「アイル先生、先生は【鑑定】は出来ますか?」

「はい、それはもちろん出来ますが?」

「では、私を鑑定お願いします」


 これで私(俺)の異常性を知らしめる事になる。

 口から言っても、まず信じてもらえない。だから、自分の目で確めさせる事にした。


「そ、そんな!鑑定が妨害された!私の【鑑定】は、高レベルのはず……………それよりも、ラピス様が【鑑定妨害】を行使出来るなんて」


 うふふふふっ、驚いてる驚いてる。本当は、【鑑定妨害】よりも上位技能ハイスキルである【隠蔽】により全てのステータスを隠してるだけだ。

 私(俺)が、【隠蔽】をOFFにしたら、更に驚愕するに違いない。


「【鑑定妨害】を解くので、また【鑑定】をお願いします」

「ゴクン、分かりました」


 では、【隠蔽】を解いた。これでアイル先生にも見えるはずだ。

 さぞ驚いてると期待しながらアイル先生を見詰める。あれ?これは驚愕してるというより固まってる?


「あ、アイル先生アイル先生。大丈夫ですか?」

「はっ!す、すみません。余りにも凄いステータスなもので気絶していたようです」


 うん、瞬きをせずに直立不動のまま数秒間微動だしてなかった。その間、無呼吸でさすがに私(俺)でも驚いた。だって、呼吸してなかったら誰だって驚く。


「な、何かの間違いでは!流石に、こんな出鱈目なステータスは」


 ・名前:ラピス・グレィープニル

 ・性別:女

 ・種族:人間

 ・職業:魔法少女

 ・レベル:1

 ・年齢:3歳

 ・HP:S(B:3歳児補正)

 ・MP:SSS(A:3歳児補正)

 ・攻撃:SS(C:3歳児補正)

 ・防御:S(D:3歳児補正)

 ・魔攻:SSS(D:3歳児補正)

 ・魔防:SS(C:3歳児補正)

 ・俊敏:SS(C:3歳児補正)

 ・運:S

 ・固有武装:魔法少女の神珠

 ・技能:鑑定、開示、隠蔽、幻影、魔法制御、剣能、変身

 ・魔法:無、炎、水、雷、土、風、闇、光、神聖

 ・称号:グレィープニル家長女、転生者

 ・加護:剣神、魔法神


 アイル先生は、私(俺)と表示されてるステータスを向後に何度も見渡した。

 うん、アイル先生の気持ち痛い程に分かる。私(俺)も初めて見た時は目眩がした。


「も、もしかしたら」


 ゴソゴソとアイル先生は、何かを思い出したようでカバンの中に腕を突っ込み何かを探してる。


「ラピス様、このナイフに見覚えはありますか?」


 アイル先生がカバンから取り出したのは、一振りのナイフだ。一見、何処にでもありそうなナイフだが、魔力を探知出来るラピスは、それが魔道具だと直ぐに分かる。

 だけど、それ以前に見た事があった。記憶違いでなければ、前世の私(俺)が転生のために自分の心臓へ突き刺したナイフに形状が似ている。


「その様子、見覚えあるようですね」

「いや、それは……………」


 一旦、否定しようにも言葉が出て来なかった。


「これは【転生のナイフ】と言いまして、これを自分の身に突き刺すと転生すると云われる伝説の魔道具です」


 ピクッ

 転生と聞きラピスの表情が強張る。

 前世でも転生者という言葉を聞いた事があるのは一度しかない。それは【勇者召喚】で呼び出された勇者だ。

 表向きでは実際にいるか分からない魔王を討伐するため、国を挙げて召喚をされるが事実は異なる。

 国の兵器として、勇者という化物を飼い殺すためだけに召喚される。勇者がいるという事実だけで国には莫大な利益を生む事になる。

 だから、私(俺)は勇者ではないが転生者という事実を知られる訳にはいかない。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ