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1000字見聞録

作者: KA-TISU-YA

本当に怖いのは、殺人鬼か?幽霊か?そのありきたりな質問に終止符をうつべく俺は記者になった。真実をありのまま伝え、散ってやる。

そう俺は心に決めた。


その日やって来たのはある公園だ。白髪で盲目で、その醜い様子からホームレスだろうと感じた。俺は、初めての仕事ともあり緊張していたが、その人に話しかけた。

「どうも、はじめまして。万人記者の万屋と申します。本日、あなたに密着取材していただくことってできますでしょうか?」

「これはこれは、私も30年前までは職もあって家族もいたのだよ?この不景気でじわりじわりと追いやられ、つい5年前ホームレス生活を始めたんじゃ。柴時というモノや。よろしく頼むよ。」

想定外だった、なんの疑いもなく俺を受け入れるとは。気を取り直して、それから一日中、柴時さんの日常に密着した。自分はアクビが出た。20時間以上、公園から動かず、ふと立ったと思ったらトイレに行くだけで。どうやらこの人は2日に一回しか食べ物を口にしていないらしい。どうりでやせ衰えている訳だ。夜中の3時だった。柴時さんの元に現れたのは、5人の不良少年だった。リーダー格の男は、柴時さんにナイフを突きつけ

「ありったけの金を集めてここに入れろ。さもなくば前みたいに爪を剥いでやる。」俺は手をあげようとしたが、周囲にもナイフを持った男がおり挑発も出来ずただ立つことしか出来なかった。柴時さんは空き缶を渡して、

「これが全てだ。」といった。柴時さんの泣け無しの600円を奪うと笑いながらその場を去っていった。俺は通報しようとした。その時だった。柴時さんは満面の笑みでボタンを取り出し、それを押した。「ッパーン!」という破裂音が後方で鳴り響いた。後ろを振り返ると、あの不良たちの持っていた空き缶が爆発し、5人全員は血を流し倒れていた。

「こんな輩が毎日来るもんで、必死に金ためて作ったんじゃ。大丈夫じゃ、証拠もない。」

そう言うと、柴時さんはベンチ下の袋から服をとって着替えた。そのカッコはどこかバーの定員を彷彿とさせるダンディーな格好であり、タバコを口に加え、手を振りその場を去っていった。この一件の恐ろしいことはいくつかあったが、あとから来た警察官から聞く話によると、ホームレスを襲った犯行を減少させるため、ある老人が爆薬で反撃する事例が1年に10例ほどあったという。人は見かけによらないのだなと俺は思った。

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