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王族の面汚し③

 サリナスの手を借りてダールトンとフランチェスカ、ついでに間男を王宮の中庭に連れ出した。

 何代か前の王は散財好きで彼の作らせた調和の取れない悪趣味で豪奢なオブジェやエクステリアが至るところに建てられている。

 中でも目立つところに建てられた噴水は茨に捕らわれた裸婦像が中央に置かれており、石でできた棘だらけの茨が水上に生えているというモンスターさながらの不気味な造りをしており、すこぶる評判が悪かった。


 それを有効活用してやろうと思った。


 まず全裸の間男の股を開かせたまま、荊の上に座らせる。

 自重で棘が食い込み気を失っていた間男は痛みで目を覚ました。


「お、お許しください!!

 私は金で買われただけで、陛下に歯向かう気などまったく————」

「王妃に不義のたねを注ぎこんだ。

 長らく私はあの売女を抱いていない。

 もし孕めば間違いなく私の子ではない。

 オルタンシア宗家の血筋を絶とうとしたのだ。

 これが王国に対する攻撃行為でなくてなんとする?」

「そ、それは……」

「高貴なる王妃を犯すのは支配欲が満たされたろう。

 まして自分の子種で孕んだ王子が国王などになるなどと想像して腰を振ればさぞ昂ったことだろう!

 羨ましいなぁ……そんな快楽を私は味わったことがないぞ!!」


 奴のももの間にぶら下がった残骸を踵で踏み躙ると猿のように甲高い声を上げてもがき苦しむ。

 無様なこの男に私は少なからず嫉妬している。

 フランチェスカに愛などないし、愛されたいとも思っていない。

 だが、私との子作りは嫌で仕方なかったヤツが別の男との時にはケダモノじみた悦び方をしているのを見て、原始的な雄のプライドともいうべき何かが傷つけられ、悔しくて恥ずかしくて腹ただしくて仕方がない。

 王家の血を絶やそうとした、という処刑理由は建前で、実のところ私的な怒りのぶつけどころとしていると言った方が正しい。

 茨がまとわりついた裸婦像に奴の背中をもたれさせて縄体に食い込むほどに縛り付けて固定する。

 これでオブジェの土台ができた。


 次はダールトンだ。

 当然、コイツも全裸に剥く。

 骨格自体はガッシリしているが贅沢な食事によってたるみ切った肉体はオークのようだった。

 間男の均整の取れた肉体とは雲泥の差だ。


「ゆ……ルして…………」

「なぜだ?」


 ダールトンの嘆願の言葉の意味が分からなかった。

 なぜ、許してもらえると思っているのだろうか。

 父を苦しめ、母を嘲り、レプラの命を奪おうとし、追放し、辱めを受けたことを悦んだ。

 許せる要素がカケラもない。


「今思えば、貴様がレプラを殺そうとした時に殺しておくべきだった。

 そのせいで貴様は多くの罪を重ね、私の怒りを買った。

 悪いと思っているよ。

 お詫びに王位をくれてやる」


 そう言いながら、間男の上に重なるようにして荊の裸婦に抱きつかせた。

 棘が刺さる痛みに潰れた喉で声にならない悲鳴を上げる。

 ……あ、いいこと思いついた。


「おい、口を開けろ」


 私は間男に命じる。

 そしてダールトンの腰を掴んで位置を調整する。


「やめ……ゆる……」

「いやだ」


 設置完了だ。


「あ……あ、あ、あ、あ…………」


 ダールトンの目から涙が滴り落ちる。

 尊厳を踏み躙られた屈辱の涙だ。

 さらに煽るように楽しげに声をかける。


「彼の顎の強さに期待するんだな。

 彼が力を抜いて口が閉じれば貴様のムスコが噛み切られるぞ」

「く……ぉぉおぉぉぉ…………」


 いい歳をして子供のように泣き喚く。

 見苦しいし聞き苦しい。

 こんなのが次期国王なのだ。

 国はともかく、王政の廃止はそう遠くないかもな。


 ダールトンへの復讐において私が手を下せることは少ない。

 放っておいてもコイツは自滅する。

 その様を私が見届けられないのは残念だが……まあいい。


 さて、メインディッシュ————いや、むしろこれから行う悪虐行為のオードブルをいただくとしよう。

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