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三年目のスキャンダル①

 我慢しろ。


 幼い頃からずっと言われ続けてきた。

 我慢は大変だ。

 怒りを抑えたり、悲しみを堪えたりするのは苦しくて難しい。

 我慢しようとすればするほど我慢ならない物が増えていく気がする。

 そのどうしようもなさに耐えられなくなりそうだった時、ねえさまはこう言ったのだ。


「自分のために我慢できないなら、大切な人のために我慢しなさい。

 父上や母上を悲しませるのとジルが我慢するのとどっちが良い?」

「そんなの……決まっている」

「うん、いい子だね。ジルは」


 ねえさまは微笑んで僕の頭を撫でてくれた。

 ねえさまはとても賢い人だったけれど、僕の気持ちを分かっているだろうか。

 父上よりも母上よりも、ねえさまを守るためにならどんなことにだって我慢できるってことを。





————————————

【創刊特別企画! 

王宮関係者が暴露する

『ヤラせてくれる王宮の女ベスト5』!】



5位 第一近衛騎士団 副団長 サーシャ・リット・ライメル


栄光の第一近衛騎士団の紅一点は夜も猪突猛進!

こっちの剣が折れるまで続くかと思われる程激しい腰使い!

噂では一分間に200回抽送運動するんだとか。

(近衛騎士団関係者)


4位 宮廷料理人 マチルダ・トリアッティ


マチルダさぁん!

ミートパイよりもオッ●イをご馳走してください!

メイド服がはち切れそうな程、巨大な山々は毎日登山者が絶えません!

(王宮の食事に詳しい関係者)



3位 宮廷音楽家 タリス・フレイマン

衣装が既に卑猥。

あんな格好でその辺歩いてるとか全裸で歩いてるのと同じ。

男を誘ってるとしか思えません。

半ば無理やりでも全然オッケーでしょう。

ガンガンいこうぜ!

(音楽評論家)



2位 王妃 フランチェスカ・グラーナ・オルタンシア


王様に短小王というイカした異名を授けてくれたお妃様は欲求不満。

寝室からは夜毎「陛下なんかよりずっとイイ!」という嬌声が聞こえてきますよ。

(王宮警備関係者)




1位 前王の側室 マリアンヌ・グラマ・オルタンシア


亡くなられて7年が経過しますが、やはり王宮内の淫乱といえば彼女を置いて語れない!

もはや王族ではなく一人の淫乱として弔った方が彼女のためじゃないですかね。

生前は街に赴いては犬のようにそこらで盛っていました。

ジルベール陛下の出来の悪さを考えるとどこかで犬にでも孕まされたのかも知れません。

(王宮の歴史に詳しい歴史学者)


————————————



「なんだよ……この頭の悪そうな記事は……」

「最近創刊した王宮情報専門紙『ロイヤルベッド』の特集記事ですね。

 王宮関係者から得た情報を元に書かれた実話だそうです」

「何がやらせてくれる女だよ……この二位の女の夫はもう1年以上ご無沙汰だぞ」

「もはや童貞に復帰しそうな勢いですね、ふふふ」

「笑えんわ……というかこの人選……」

「間違いなく陛下を挑発していますね」


 三位から五位は王宮内で国王派であることを強く主張している女性達だ。

 王子の頃から私のことを知っているからマスコミの報道を間に受けていないからだろうが……


「サーシャはもうすぐ結婚式を挙げる。

 マチルダは自分の店を城下に出す準備をしていた。

 二人ともこの記事のせいで不幸な目に遭わなければ良いんだが」

「陛下が気に病むことじゃないでしょう。

 悪いのはこの記事を書いた記者ですし」

「それはそうだがな……」


 レプラの手前、タリスのことを口に出すのは避けた。

 タリスはならず者達に攫われ慰み者にされた過去を持つ。

 そんな彼女に性欲を剥き出しにして声をかけたりなんてした日には……


「2位だけは本当のことじゃないですか?

 あの淫売は陛下のことお嫌いでしょうし」

「遠慮なしに言ってくるなよ。

 まあ否定はしないが」


 フランチェスカとは即位と同時に結婚した。

 彼女は私にとっては従姉妹にあたる。

 父の兄ダールトンの娘で私と同い年だ。


 父が亡くなった時、遺言で私が後継者に指名されていたが、王族内のパワーバランスを取るために叔父にも華を持たせる必要があった。

 そこで私とフランチェスカを結婚させ、叔父を将来の王の祖父にすることを落とし所にした。

 当然、私達の間に愛はない。

 最初のうちはお役目ということで子作りに励んでいたが、いつしか彼女の方から行為を拒絶するようになり、私も無理にとは言わなくなった。


「良い機会ですしあの淫売を離縁しましょう。

 王妃の不貞などギロチンにかけても生温いですよ」

「レプラは本当にフランのことが嫌いだな」

「当然です。陛下を傷つける者は私の敵です。

 短小だとか腰の振り方が気持ち悪いとか本人に言えば良いのにサロンで暴露したりするなんて」

「ちょっと待て……

 本当にフランがあの蔑称の生みの親なの!?」

「ぁ……」


 指先で申し訳程度に口を隠すレプラ……

 お前が一番私を傷つけているよ。


「ま……まあ、それはさておき……母上を犬呼ばわりとはね。

 父上が存命ならば関係者一族郎党皆殺しだな」


 父上は公明正大な方であったが、母上へのご寵愛ぶりは相当なものだった。

 前王妃との間にあった確執と悲劇の記憶から逃れるために縋ったのかもしれないが。

 だから、母が亡くなられてから父上はめっきり落ち込んでしまい、若くして身罷られた。


「陛下はなさらないので?」

「当然だ。くだらない風評被害で故人の名に傷がつくよりも我慢ができない王と思われる方が問題だからな。

 それに、イチイチ反応していたらキリがない。

 公務に差し支えがない限りは我慢してやるさ」


 そう言って薄汚れた紙くずをゴミ箱に放り投げた。

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