第三話
何とか気持ちに折り合いをつけたカナタはシロを探すためにギルドを降りていた。
人一人探すのは難しいと思っていたが、幸いなことに一番手近な宿がアタリだった。
シロは隠れる気がないらしい。
宿主に訪問の許可をもらい、シロが取った部屋のドアを叩く、数秒待つが反応がない。
寝ているのだろうか、人の気配は感じる。
どうしよう、帰るか?と迷いつつもドアをを回してみると鍵はかかっていなかった。
恐る恐るカナタがドアを開けると何かに引っかかって途中でドアが止まった。
不可解に思い、少し強引にドアを押し体を滑り込ませた。
中に入ることに成功し引っかかっていたものを見てみるとシロが床に倒れていた。
「シロ?!どうした?!」
カナタがシロに声を掛け近寄る、仰向けにして両肩を叩き声を掛け続けた。
「…………ぅぅぅ、ふ、はっ、は、はっ」
シロに意識はなく、苦しそうな呼吸をしている。
眉を顰め、シロの身体を診る。
血圧低下がみられる手足も冷たい、ひとまず命に別状はなさそうだ、特に怪我をしているわけではないのでカナタに出来ることはなかった。
床で診ていたので目の前のベッドに持ち上げ寝かせる。
冷えているので温めるために布団を上からかけ、しばらく様子を見ることにした――。
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カナタは『白い』
クロやアサギは言っていたけれど俺にはそれが分からなかった。
俺には肌の色は明暗でしかわからない。
初めて会った白い子供は、俺にとっては美しく見えた。
こんな綺麗で崇高で不気味な人間に初めて会った。
口は悪く喧嘩は強い、初めは苦手だったのにケガを治してくれた。
天使のような皮膚の持ち主は、徐々に人間身を増してしまった。
天使が人間界に降り立ち、人間を真似る姿の様でさらに好意を抱いた。
カナタは病弱で、日の光に浴びることが無く肌が白かった。
外で遊べず引きこもりだったとカナタは自嘲気味に自身を貶していたが、俺にはただただ知的で博識でなんでもできる少年にしか見えなかった。
たくさんのことを知っているのに、ひどく暗く、笑顔一つさえ見せない。
その背景は家族はおろか、大切な人をも失ったからだろう。
人生を絶望しそれでも残された命を繋ぎ前を向いて生きようとしている姿勢。
気まぐれを口実に人を助けるお人よし。
敵わないと悟ったのを今でも覚えている。
そしてそんなカナタに惹かれていくのは必然だった。