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妖精族に転生した元男の私は勇者達からスキルを回収する  作者:
3章 背中を任せられる人(笑)
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出発と3組目の転移者の噂

私達は尚樹と理恵を荒川達に預けると、セシリがいる執務室に向かった。


コンコン


「入って。」


私は執務室の扉を開けると、忙しなく書類に目を通してはサインをしたりしていた。


「…ずいぶんと忙しそうね。」


セシリはその声に反応するように私の方を見て、睨み付けながら


「クロノス……何の用。私は今見ての通り忙しいの。」


「ええっと……これから私達はイザン帝国の同盟国の1つのクラット王国に行くって事を伝えに来ただけだから。

……私が言うのでもなんだけど、お仕事頑張ってね。」


私はそう言うと執務室の扉を閉めて、廊下を歩き出した。


















それから5日が過ぎた。


私達は順調に旅を進め、途中の村々で情報収集をしたが特にめぼしい情報も聞けずに、とある地方都市に着いた。


「よし行って良いぞ。」


そこの地方都市はまぁ普通の都市で、王都程賑わってはいないがそれなりに人口は多かった。


私達はまずは宿を取って、その部屋の中で予定を決める事にした。


「とりあえず今日と明日でここで情報収集にしましょう。

メルナとベルはギルドに……」


「それはダメですお姉様!」


なぜかメルナにダメ出しされた。


「何でさぁ?別行動でも……」


「とにかくダメなのです!いくらお姉様でも今回は別行動は認められません!」


私は反論しようとしたが、メルナは認めてくれなかった。


私はベルに助けを求めようとしたが、ベルはそれに同調するようにうなずいていた。


「……解ったわよ。一緒に行動すれば良いんでしょう…」


私は渋々納得するしか無かった。














私は宿に残って居たいと行ったが聞いてもらえずに、メルナとベルに連れられギルドに入った。


ここは地方都市のギルドだから村や小さい街のように小さいギルドでは無く、地下もある3階建てのそれなりに広いギルドだった。


「やっぱり少しお酒臭い。」


「ギルドがお酒臭いのは、酒場も兼ねているから、仕方ないんだよクロノス。」


ベルはそう説明した。


「それで聞き込みをする時、私はどうしていれば良いの?」


私がそう言うと、いきなり2人は顔を近づけてきて


「「それは勿論私と一緒に決まっているじゃない。」」


2人の声が重なった。


「クロノス、私といきましょう。」


ベルは微笑みながらそう言ったが、その微笑みは威圧感しか無かった。 


「いやいや。ベルと行くよりも私と一緒に行けば、何か奢ってあげるよ。」


メルナは負けじとそう言って、微笑んでいる。


「おい!うるせぇぞアマぁ!痴話喧嘩なら他所でやれ!」


だが、そんな会話が五月蝿かったのか近くの冒険者が立ち上がり、そう怒鳴るようにそう言ってきた。


「「アァッ!!」」


それを聞いたベルは、少女?が出してはいけないような声を出して、凄い気迫でその冒険者に迫った。


「あなたなんかに解らないと思うけど、これはとっても重要な事なの……」


「あ、あぁ…」


「だ か ら あなたは黙っていてくださいねぇ。」


ベルに威圧しながらそう言われた冒険者は冷や汗をだらだらと流しながら、座った。


「あ、あと」


「ひぃぃ……」


冒険者はさっきまでの勢いは無くなり、みっともない声を出しながらさらに冷や汗を流す。


「何もとって食おうってわけじゃ無いから落ち着いて聞いてくださいね。

私達はここ辺りでは珍しい黒髪で黒い瞳の冒険者を探しているの。それで何か知っているようだったら教えてもらいたいの。」


「は、はい…それだったら少しだけだったら聞いた事があります。

少し前にここのギルドで黒髪で黒い瞳の3人の男女がここの街を拠点として、少し離れた所にある結構な深さのダンジョンを攻略しようとしているみたいで、来たときはEランクだったのに異例の速さでCランクにまで上がっているんですよ。」


「ふぅん……ありがとうね。」


「はい……」


そう言うと冒険者は木製のジョッキを持ちながら席を離れた。


私は心の中でとばっちりに近い理由で威圧され、逃げるように去ったあの冒険者に謝っておいた。





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