異世界転生2
「…知らない天井だ…」
さらっと言ってみたかった台詞を言って、キョロキョロと周りを見渡したが、周りはただ白い空間が拡がっているだけの全く何もない所だった。
「貴方は死んだのよ、湊 祐介君。」
そう言われて俺は後ろを振り返ってみると、そこにはまさにギリシャ神話や、中世絵画に描かれているような女神の着ている風の服装をした金髪の絶世の美少女がいたのだ。
「…そうだった…霧島だとか、大島だとか人違いで、全く知らない人に襲われて…」
そう言いながら俺は目覚める前の事を曖昧だが思い出した。
「貴方も可哀想な人間ね、いきなり殺されるなんて…」
突然の事で何がなんだか解っていない中で、なんだか女神?様に同情をされてしまった。
確かに同情されるような死に方をしたのは自分でも解っているのだが、とにかく状況が知りたい。
「えっと、貴方は女神?様ですか?」
「まあ、貴方達は私たちの事をそう呼んでいますね……ですが、私は名前というものがありませんから、ぜひ好きに呼んでください。」
そう言われたので“女神様„と呼ぶ事にした。
「…で、女神様が俺みたいなそこ辺りにでもいそうな人間を呼んで何をするのですか?」
そう質問すると女神様が、待っていましたと言わんばかりに少し前のめりになって本題を言った。
「実は貴方に頼み事があるの、しかもそれなりに重要な事を、ね。」
多分死んでから対して時間が立っていないというのに、いきなり初対面の人から頼み事をされるなんて、思ってもみなかった。
「…その頼みごと事とは?」
「それは…」
女神様は少し間を空けてからゆっくりと口を開けた。
「私が監視している世界に転生してもらいたいのよ!」
女神様が言ったことに俺は動揺したが、それをすぐに押さえて、今一番聞いてみたい事を聞いてみた。
ライトノベルが大好きな俺が一番気になる事、それは……
「えっと…異世界転生ってヤツですか?」
典型的なオタクと呼ばれる俺からすれば、異世界転生とかは憧れの中の憧れなのだ。
「そう言うことになるわね。
まあとは言え、そんないきなり言われたって困るだろうし、理由を説明するとね、私が監視してる世界は乱れたりするようなことが、結構あるのよ…しかも、大勢の人の運命が大きく変わるようなことが何回も…」
女神様はさっきまでの元気なしゃべり方から、声と気分のトーンを下げて話しはじめた。
「でも、私が俺が生きていた世界でもそんな事が結構ありましたよ。」
「私が監視している世界はね…もう3回も人類が滅びかけているのよ!」
女神様は呆れ所と怒りが混じったような声でそう言った。
というか、女神様反応早いなぁ。
「しかもね!そのたびに助けてやってるのに…3回も、3回もよ!そのたびに、文明が衰退しているのよ!」
「あぇっと……それは大変ですねぇ……」
そう同情すると女神様は俺に向かって嬉しそうな笑顔を見せ、俺の方を掴んだ。
「そこで貴方にやってもらいたい事は、私の代わりに戦争とか何やらを解決をしてもらいたいのよ!」
「ハイイィ!」
俺は驚きのあまり大きな声で叫んだ。異世界転生の条件厳し過ぎない?
「まあ戦争とかを解決すると言っても、私がある程度指示をするから安心しなさい。
ちなみに伝え方は、5年に一回あなたの夢の中と、この世界を一時的に繋げて、何年以内に大きな戦争や、種族の絶滅の危険とかが起きるかとか、具体的な事を指示するから安心して。
後ちなみに私の命令を聞かない時は、あなたに災難を与えるから。」
「ちょっと待ってください!俺は戦った事なんて一度も無いし、俺の死因知ってます?包丁で刺されて死んだんですよ!」
半分位怒鳴りながらそう言うと、女神様は“落ち着いて„となだめながら俺に衝撃的な事実告げられた。
「ちなみにあなた、多分自分がどれだけの魔力を持っているか解らないんですね?」
「え…魔力?魔力ってラノベとかでよくあるあの?」
「らのべ?が何かは解りませんが多分そうですよ?そしてあなた前世で、何か光る玉のようなや、ゴースト等を見たことありますか?」
パニックになりながらも、前世の記憶をたどっていくと、6歳位の時に母の実家で、人魂のような物を見たことがあるし、お化けとかも中学生二年のころ友達と肝試しに行ったときにそれっぽい物を見たことがある気がする。
「確かにそんな事があったような気がしますね…それがどうしたんですか?」
そう言うと、女神様はなぜ見えるか教えてくれた…
あり得ないような理由だったが。
「それはあなたの前世の世界で千年、いや一万年に一人位しか現れない…普通の人の、魔力よりも何百倍も持った人だったからです。
ちなみに、あなた位魔力を持っていたら、聖霊や、場合によっては神だって見ることができましたよ。」
「えぇぇぇ……」
まさかの死んでから聞かされた新事実!
俺ってお化けとか通り越して、聖霊や神が見えることになっていた…生きている時にもっと森とか、神社とか行っていたら良かったなぁ。
そう思っていたら、さらに女神様が追撃をかけてきた。
「ちなみに私が監視している世界だと、あなた位の魔力を持った人は産まれてからすぐに行われる能力鑑定で、魔力の保有量がすぐに解ってしまって親元から引き剥がされた後、戦争に加担されられたり、権力闘争とかに巻き込まれたせいで死んでしまうから、ほとんど見たことは無いです。」
その事を聞いた俺はもう驚き疲れてしまって何も言えなかった。
少し落ち着くまで女神様に待ってもらい、このあと俺の来世を大きく変える選択を女神様に迫られた。
「という事で、異世界転生してくれる?ちなみに、私の指示が来ない限りは自由に生きていて良いし、最低限の戦闘力から、きちんと生活できる家と環境もバッチリ用意しているから!お願い!転生して!
そして、特典として記憶はそのままで、転生させるから!」
「あっ…はい…」
聞いただけだど、おそらく条件としては結構良いはずなんだけど、こういうのは必ず裏があるのだ。
しかし、死んでしまった今ではそんなの心配せずに、お互いwinwinの関係と考える。
そして俺は若干の胡散臭さに迷わされること数分、ついに決断を下した。
これがどんな苦難の連続かを知らずに。
「解りました!転生をします!」
大きな声でそう言った。