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ネットと法整備〜無断複製とアップロード〜

作者: 高千穂 絵麻

特定のサイト、サービスについての言及ではありません。

現代のビジネスモデルと情報革命の考察です。

 まずはじめに言っておきたいことがある。

 法律は遵守すべきであり、犯すものではない。

 その上で考察したい。


 情報革命と呼ばれる昨今。

 インターネットは便利であり、今や必要不可欠なテクノロジーであることは、否定できないだろう。


 現実に目を向けると、違法アップロードは後を絶たない。


 とあるコンテンツ表示サイトでは、閲覧者には無料で、著作権所有者に対しての支払もなしに、画像を表示している。


 漫画を読み放題、というやつだ。


 そのサイトは、インターネット上にアップされている画像を表示させているだけだから、参照はしているけど自分たちでアップロードはしていないし、漫画を配置したりはしていないから、違法ではないと言っている。


 現行の日本の法律ではそうだろう。


 もし、それが違法であるならば、検索サイトは画像表示ができなくなってしまう。

 要は、そういうことである。


 何故そうなったか。


 過去の革新的な出来事を考えてみる。


 まずは農耕だ。


 それまで狩猟で生活していた人類は、農耕を発明する。

 食料が劇的に増え、定住ができるようになった。


 獲物を追って各地を転々とする必要はなくなり、人口も増えていった。


 次は産業革命だ。

 工業の発達により生産性が著しく向上し、生活が豊かになり人口も増えた。


 それで今、情報革命が起きている。


 それまで現物や現地でのリアルな取り引きだったものが、インターネットによって距離の垣根を超え、伝達速度も飛躍的に向上した。

 そしてなにより、それまで限られた設備や知識を持った者たちだけが実行できた情報展開が、一般の人々にも発信源となる機会が与えられた。


 それによってインターネット上の情報が、検閲できる量をはるかに超え無法地帯に近しいものになってきた。


 少し前から機械的な予兆はあった。


 人間の五感に対するラジオやテレビだ。


 ラジオやテレビは音や映像で情報を伝達する。これは聴覚と視覚を使用する。


 他の感覚はどうだろうか。


 匂いや味、触り心地というものは、現在ではまだ物理的な制限に縛られている。

 テレビで匂いや味がわからないのと同じだ。

 嗅覚や味覚を刺激する粒子が必要だからだ。


 そうなると、匂いや味は拡散や複製が難しい。食べるという肉体的欲求に直結していることもあるが、テレビと違って料理人が提供できる数は限られている。工場で食品を製造したとしても、その量には限りがある。

 それに比べて聴覚と視覚はどうだろうか。


 それこそ狼煙や鐘の音にもつながるように、直接接触する以外にも代替手段は古くから存在していた。


 絵画でも贋作が古くからあったりもするし、メリットを見ても口伝と違って写経のように複製ができるというものがある。


 音と見えるものは匂いや味に比べて、古来から複製が容易だったと言えよう。


 活版印刷に蓄音機。より機械的により精度の高い複製が可能となったわけだ。

 その上でコンテンツ商売をしてきた者たちにとっては、インターネットは革命以上のインパクトがあった。

 読者は生原稿でなくとも構わないからだ。


 法整備が整っていない状態では、複製防止を個人のモラルに頼らなくてはならない状態になっているくらいだ。


 法整備を整えたところでその法を犯す者たちは後を絶たない。

 あまりにも数が多すぎて見せしめ程度にしか検挙できていない。

 それ以上にテクノロジーに法整備が追いついていないという現実もある。


 文化、産業として連綿と続いてきたコンテンツビジネスも、そのテクノロジーによる法の抜け道にまで追いついていない。


 今まで複製が容易ではないから、旧態依然としたコンテンツビジネスが成立していた。

 だが、違法アップロードが蔓延している今、対策や保険に費用はあまり割けられない実情もある。

 ただ、対策を取らないままでは制作サイドに利益が回らず、コンテンツ制作ができなくなるということにもなる。


 しかしながら、作者に利益が行かない、行きにくいビジネスモデルとして質屋や古物商があり、昔であれば貸本屋、今ではレンタルショップもあちらこちらに存在する。

 さらにはレンタルショップもインターネット動画に視聴者を奪われ、利益が減少していると聞く。


 はたして聴覚と視覚に与えられるコンテンツを、今の形態で展開して保護はできるのだろうか。

 その望みは、儚くも崩れ去ることになるだろう。

 どんなにセキュリティを高めようとも暗号化をしようとも、正規利用者と同じ処理を行う悪意のあるプレイヤーが、複製を行なえてしまえるからだ。


 子供たちの漫画やゲームの貸し借り、図書館や漫画喫茶の存在。

 これはコンテンツビジネスとしてグレーゾーンかもしれないが、存在は正式に認められていたり、暗黙の了解の範囲で運用されていたりもした。


 不特定多数に展開されるインターネット。


 プロバイダーなどで検閲をして違法サイトへの道筋を見えなくする、ペアレントコントロールで言い聞かせる、だろうか。


 コンテンツ提供側に利益が行かずに衰退すれば、コンテンツ自体の量も減り質も下がることになる。

 その負の連鎖を断ち切るには、作家に利益を渡さなくてはならない。


 利益が分配されるシステムを構築する必要があるのだ。


 多分これを発明できたら情報革命のリーダーとして崇められることになるかもしれない。


 完全なる物質からの脱却である。



 今まで聴く、見るを商売にしてきた者たちにしてみれば、インターネットはその手法を逸脱した展開方法を見せている。

 デジタルでコピーが容易になったこととそれが拡散できることに対して、効果的な対策ができていない。

 だが、利益を得られなければコンテンツは制作できない。昔のパトロンがいて芸術を生み出していた時代とは違うのだから。

 中間搾取はともかく利益が出なければコンテンツ提供側が衰退し、新しい作品が生まれなくなる。


 卵が先か鶏が先か、うなぎ屋が先かウナギの絶滅が先か。だがコンテンツを無法展開する者はコンテンツが滅んでもまた他のジャンルに移るだけだろう。


 そうなったときに、衰退してからでは遅いのかもしれない。


 だからこそ、今の段階で利益を生産者に提供できるビジネスモデルを作ることが、コンテンツ衰退を回避する手段になり得るのではないだろうか。


 残念ながら私にはそのビジネスセンスも資金も無いが、これを読んでくれた方が起業なりクラウドファンディングなりで、コンテンツ延命からさらなる発展への活動へつなげてくれることを望む。


 要は、これからも新作漫画を読みたいってことなのよね。賢い人、頼んだぞい。

もっと漫画家さんが儲かる仕組みを考えてみたいけど、なかなか難しい。

漫画もアシスタントや編集などがいるから、制作委員会みたいな形がいいのだろうか。

悩みます。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここで仮に法規制でとなると、制作者の権利を守るというよりは、中間業者(出版社とか)の利権を国内で確保するという事になりそうですな。 1) 中間業者が必ずしも製作者にお金を払うとは限らない。 …
[一言] 画像検索の逆流バージョンを端末機に標準装備させる事は出来ないのだろうかと思う。 公式の会社などで発売される漫画や小説のデータが、ネット上にあった場合は自動で見れなくする事は出来ないのかと。 …
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