表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どっちなの?  作者: othello
6/22

Which病

 時は少し過ぎて夜20時ちょうど。

「ご馳走様でした」

「ごちそうさん」

 二人は夕食を食べていた。

「いやー、美味しかった。さすがへいちゃんの料理だね」

 今日出したのはあらかじめ用意してあった生姜焼きだ。

 本当は明日の弁当用の物を焼いたのだがとてもおいしかったようで何よりだった。

「美味しかったなら何よりだよ」

 僕は笑顔で静かにそう言うと、彼女はうつむいてしまった。耳が赤いけど大丈夫だろうか?


「あ、洗物手伝うね」

 そう言って、洗物をしだした僕の隣に来る静香。

 今の彼女は風呂に入って、私服をきている。風呂出てすぐごはんだ他からまだ火照っているからなのか顔が心なしか赤い。するとあることに気づく。

「あ、腕捲りしろ。袖がぬれるぞ」

 そう言うと、すでに手を洗った静香が腕をこっちに伸ばして「捲って~」と言う。

『いや、もうすでに俺も手がぬれているだけど』と思いもいながらも手を洗ってタオルで拭いた手でまくってあげる。

「私が泡落とすね」

 そう言って静香は僕の洗ったお皿の泡と丁寧に落としていく。

「ねえ、へいちゃん。赤木姐から聞いたんだけど、その……」

「生徒会の件か?」

「……うん」

 いつも元気いっぱいの彼女がうつむいている。その表情はどこか暗く、何かに祈るようにも見える。

「まあ、どのみち正式入る意味はないんだよ。と言うより今年の生徒会はメンバーを並べてポスター作るだけでも宣伝効果が出るほどの布陣だからな。正直、場違いなんだよ俺は」

「そんなことないもん!」

 静香は怒った。そうだ、いつも自虐的なってしまい後ろ向きな考えをしたときに叱って前を向かせてくれるのは彼女だった。

 僕は思わず苦笑いになった。

 そうしてつぶやく。

「静香は本当に優しい子だな。好きになってしまいそうだよ」

「え!?へいちゃん今なんて!?」

 耳のいい静香にとって平田のつぶやくを聞き取ることぐらい造作もないことだった。

「静香はこんな俺でもやさしくしてくれる優しい子だといったんだよ」

「もー、まあ、いいや」

 心なしか静香がとても嬉しそうに見える。とにかく怒りをかったようで墓くてよかった。

「で、入るの?入らないの?『どっちなの?』」

 その瞬間、時間が止まる。





「静香、その言葉は言っちゃだめだよ」

 これは、僕の病気のようなもの病名を『Which 病』。

 選択を迫られたときに己の時が止まり、関連する情報を閲覧できる。

 これは心を盗み見ることもできるが、意志が強いものや何らかの原因で強力なプロテクトがかかっている物も多くあり、まあ頑張って調べればわかるようなことがほとんどである。

 ただしこれにも例外がある。

 それは、対象との親密性だ。

 心を開くとはこの場合最も適切なのだ。

 情報のプロテクト解除方法は関連情報の所有者と仲良くなること。

 まあその場合、直接本人の口から聞くということもできるため微妙なところの事なのだが。

 しかしこの病気は心に干渉できるもの、そして例外を除いた自分以外の時を止めるとして裏ではかなり有名な病気だったりする。

 発症するのは2択の選択を迫られる状況とキーワードを言った時。

 このキーワードは患者によって違う。

 僕の場合はさっき静香の言った『どっちなの?』。

 まあ、時を進めるためにはどちらかを選択するだけでいい。

 良い捉え方をすると考える時間をくれる。悪い捉え方をすればうやむやにできない。

 すべての選択肢をはっきりさせるのだ。亀裂も生まれる。

 その結果が今のじぶんっだたりするのがその話はなた今度しよう。

 さて、今求められているのは『生徒会に入るか?』。

 もちろんNOと言いたい。

 しかし、ここで断った後のことを考えると絶望でしかないのだ。

 僕は今年の生徒会メンバー4人すべてと知り合いだ。

 全一芸に秀でている。そしてビジュアル的には全員その……美女または美少女だ。

 そして学校では猫をかぶりかなり優秀に見えるが全員問題があるのだ!

 もし任せた後のことを考える。

 今年は一切の行事と言う行事がこの学校からなくなることが確定する。

 それくらいひどい状況が予測できるのだ。

 だとしたら、答えは一つしかない。

「選択する。」

 すると時が動き出した。

「静香、生徒会には入るよ。一緒に頑張ろうな」

「うん!」

 静香は今日一番の笑顔を見せてくれた。






〈会長〉静香ちゃん、ちゃんと聞いているかな?

    電話しようかな?でも今聞こうとしているところだったらどうしよう。

~1時間後 8時30分~

〈会長〉遅いよ、どうしたのしーちゃん!? 

〈庶務〉へいちゃん、入ってくれるそうです!

〈会長〉そうなのよかった!

~電話の向こうでチャイムが鳴る~

〈会計〉静香、ちょっと出てくれ

〈庶務〉わかった。平ちゃん!じゃあ、姉さんまた明日

〈会長〉ちょ、ちょっと待て!あ、切られてしまった。ど、どういうことだ!?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ