マッスルドリンク
夕方5時過ぎ。僕らはかなり疲労していた。
「はぁー疲れた。もういやだ。みなさん、元気すぎ」
僕は汚れてしまったジャージを脱ぎながらいろんな場所でへたっているみんなへそう言う。
「ふふ、そういわないの。・・・私としてはかなり満足だったわ」
そういう越後谷は頬がかなり赤くなり、熱にあてられた感じになっている。
「そう、だね。Mr.ヘイタのスタミナは無尽蔵かい?meたちはもうへとへとだよ」
アルトリアは服の前のボタンをかなりあけて下の布が少しばかり見えていた。
「そ、そうだよ。へいちゃん。全員のあれを相手にあれだけのことしておいて」
そういう静香はかなり元気そうだ。ただそれでも机に突っ伏して顔だけこちらに向いていた。
・・・って、着替えているんだからこっち見るな。
「さ、さすが平太。私なんかはもう息切れがしているぞ」
姉さんはそう言いながら制服のしわを伸ばしているが手に力が入らないのかぼたんをうまくかれられないようで苦戦している。
全員息遣いが荒い。
何かに全力で取り組んだ後のようだ。
女性陣は頬を真っ赤に染めて、疲れた顔をしてあたりにはラベルのない小さな空き瓶が散乱している。女性陣はソファやベット、いすや机に着かれたように項垂れている。
僕はジャージから制服に着替えると、全員の疲れた顔を見て満足そうな顔した。
そして、振り返って4人にねぎらいの言葉をかける。
「じゃあ、僕は先に変えるんで。…お疲れ様でした」
そう言って帰る平太の机の後ろには大量の処理済み書類が山となって、その横には4種類のスキャナーが出来上がっていた。
まあ言ってしまえばスキャナーを作る代わりに、今日の僕の仕事を全員に割り振ったわけだ。
まあ、みんなできない人ではないので、報酬と言う名のエサで釣ったわけだが、このありさまだ。
しかし、言っておこう。僕はいつもあの山すべてを一人でこなしているのだ。
少しは僕の苦労がわかってくると嬉しいと思いながら僕は生徒会室を後にした。
それにしてもかなり疲れているようだったので栄養ドリンクを保健室にもらいに行ったのだが、先生はおらず、電話をしたら棚の内にあることを聞き探した。そしたら箱に『ハッスルドリンク』と書かれた箱があり、それを持って行ったところ全員が息を吹き返したようにがんばって、数封後に終えることができた。まだ体力に自信のあった自分は少し前にはまったツボ押しやマッサージをした。
マッサージ中、妙に声が艶めかしかったが、なんか「いい」って言ってくれたので、少し自分も頑張ってしまった。
そしてあの光景へとなったのであった。
「おい、藤」
「あ、篠畑先生。栄養ドリンク、ありがとうございました」
「・・・・・・・まさかあの『マッスルドリンク』を持って行ったのか?」
「え?はい」
「お前は飲んだのか?」
「・・・いいえ、でも生徒会の女子全員が疲れていたので、飲ませてしまいました」
「・・・はあー」
篠畑先生はそう言ってため息をつくと、僕の耳元でこういった。
「あの薬は、第七のバカが送ってきた奴だぞ」
「・・・へ?まさか、Dですか?」
「そうだ奴によると、ドリンクを飲んで初めて見たやつの言うことを30分だけ聞いてくれるという上に、あいつ特製の媚薬入りだそうだ」
「……やっちまた。道理であんなバリバリ動いてくれたわけだ」
「ちなみにお前どんな事やらせたんだ?」
「みんなにスキャナーをプレゼントしなきゃいけなくなったので、今日やる自分の仕事です。初めみんなしぶしぶだったのですけど、飲んだ後から急にやる気出しちゃって、どうしたのかと思ってたんですよ。そういうことだったか、納得しましたよ」
すると、篠畑先生は呆れたような顔でこちらを見る。
「お前は良くも悪くもこちらのこちらを裏切ってくれるな。媚薬まで入っていながら」
「はは、彼の媚薬はシャレになりませんから。だってプロトタイプなんかあの時、扇風機の風だけ・・・・・・・・・・・・・・・」
そこで僕は思い出した。あの艶めかしい声を。
「・・・ふーん、まあいいよ。帰ってよく休めよ。温泉に浸かるのもいいかもな」
篠畑先生はそう言って保健室へと歩いて行った。
「・・・温泉か」
僕は携帯を取り出し、とある番号へと電話を掛けるのであった。
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「今日はへいちゃんのご飯食べられないから、お惣菜買っちゃった。でも急にどうしたんだろ?『温泉浸かりに行く』だなんて」
静香はあの後色々あった生徒会室を後にしたところで、平太からメールをもらった。
『急だけど温泉入りに行ってくる。だから夕食は自分で栄養考えて食べろよ』
今日一日を通してずいぶん疲れを感じているのを感じていた静香としてはこれを留める気はなかった。
平太が夕食を作れない時や、運動部の友達とよく行く大型食品店「五木島」。
ここは食のテーマパークともいえるところで3つのエリアに分けられている。
入って一番手前が惣菜コーナー、二番目の真ん中がスナックなどのお菓子コーナー、そして一番奥が食品コーナーとなっている。
この五木島は格店舗いより内装が違い、学生の通りが多いこの店では店前でコロッケなどの片手で食べられる軽い物を売り、毎時間我先にとごった返す食料品のタイムセールは店の奥でやり、入る人の邪魔にはならいようになっている。
また20台の人が打ち込むレジに、40台ものセルフレジがある。
また防犯設備は完璧で、顔認証システム、重量測定機を改良した荷台にカメラとリンクする顧客人気度&万引き防止装置。などとある警備会社のシステム計30個。
入り口は惣菜エリアの自動ドア2台とと回転式1台の扉にして買い物した人のみ通ることが許された4方向各2つ付けられたドア。不審者を電撃でやっつけてくれるスタンガン板など超警備です。
五木屋は防犯対策をすることで万引きによる被害額をゼロにし、その分安く、商店街をそのまま店の中に持ってくるなどの町の空気を変えない地域未着型の食品企業として大盛況だった。
栄養バランスを考えるといろいろ買える方がいいとここを選んだ静香だが、今持っている袋の中は肉や揚げ物とサラダだった。
静香はこのあたりで反かなり有名で、人見知りしないため多くの人が顔を覚えてくれる。
また先ほども言ったが商店街のおばちゃんたちも中に店を構えているので、そこのおばちゃんがおまけしてくれたりと、そんなことばかりしていたら袋の中はこんなことになってしまった。
ちなみに今日の食費はコロッケ1つ(50円)焼き鳥3種1本ずつ(1本50円)サラダ(350円)
+おまけ(コロッケ、唐揚げ、とんかつ、食パン、さんまの塩焼き(半分)、みそ汁(魔法瓶ごと)かまぼこ等々他30点ほど)(0円)
これが、地元のスーパースターの実力である。・・・にやり
・・・・・・・・・・うわ。やっぱ恥ずかし。今のなし!なし!昔の中二が出るところだった
やがてマンションへと着くと、ちょうど平太が自転車に乗って出かけるところだった。
「あれ、へいちゃん今から?もう6時半だよ」
「お、静香。・・・ってまたおばちゃんたちか?うらやましいやつだな」
平太は静香の買い物袋の中身を見て苦笑いをする。
・・・ああ、やっぱり、へいちゃんと話していると安心する。
静香はそんな感情に浸っていた。
「まあ、あまり食べすぎるなよ。今日は俺温泉地の方の友達の家に泊めてもらうから」
「え?帰ってこないの?」
きゅうに静香の胸がきゅっと引き締められ、急に苦しくなる。
・・・へいちゃん。また消えちゃうの?もう・・・おいて行かないで!
心はそう叫んでいるけど、それは言葉としては出ない。
そのつらさ、苦しみに耐えているとその苦しみは続いた平太の言葉によって霧散する。
「大丈夫。明日には帰ってくるよ。僕お金持ってないからね。交通費浮かせるついでに温泉に入ってくるんだよ」
そう言って、平太は隣の自転車のサドルを叩く。
「このロードレーサーならいい運動にもなるしな」
平太の持っている自転車はいつもの普通のママチャリではなく、ロードレーサー。走ることに特化した自転車だった。
・・・この自転車。
静香にはこのロードレーサーには見覚えがあった。
・・・今は笑って送り出す。
この言葉を聞いた人物がいれば、まるで恋人のようだなと思っただろう。
しかし、ここには誰もいなければ心の中を何の制限もなく覗くことができる者もまたいない。
故に彼女は笑顔でこういうのだった。
「いってらっしゃい。疲れいやしてきてね」
平太はその言葉に一瞬呆けたが、すぐに「おう」と言って彼女の頭を撫でて走り出したのであった。
二人はお互いの顔を恥ずかしくて見れなかった。
しかし二人のしている表情は一緒だった。
『顔を真っ赤にして恥ずかしがる』
実に日本人らしい初々しい表情だったとここに記しておこう。




