大統領就任演説からよむこれからのアメリカ外交の基本路線について
とりあえずアメリカの方向性について書いてみました。
アメリカの方向性に振り回される周辺諸国はそのうちに、欧州、中東、アジアくらいに分けて書くことになると思います。
トランプ大統領の就任演説を全文和訳して、今までの自分の視点に一つ抜けていることがわかった。
それはトランプ氏を大統領に押し上げた人々の目線である。
このことを踏まえて今後について予測してみたい。
アメリカ国民は公平を愛する。
それが今回の就任演説から強力に漂ってくる決意である。
「アメリカが作り出した平和にただ乗りしてきた連中、グチャグチャいうなら自分でやれ。」
乱暴な言葉だが上記の一言が一番近い。
例えば南シナ海、アメリカはどこの領海になろうが公海法に従って航行する限りアメリカの船に攻撃するバカな国はいないと知っている。
もしもそれをやったならアメリカンジャスティスがその国に向かって炸裂するからだ。
中東での平和維持、それってアメリカがしなきゃいけないことなのか?
確かに可能な国はアメリカしかないが、もともとの原因はイギリスだろう?
その他の地域でも手を出し、口を出し、やればやるほど嫌われるか、やって当然と思われる立場にアメリカは疲れ果てた・・・という感じがにじみ出ている。
やった分の称賛やご褒美はないならやらなくてもいいじゃないか。
その分のお金や人を国内に廻して自分たちが豊かになるのはいけないのか?
いけないわけがない!じゃあそうしよう。
という骨子の就任演説でした。
世界はアメリカに甘えてきた。
今や世界最強の軍事大国にして経済大国であるアメリカは世界の趨勢をコントロールできるだけの力がある。だから世界はアメリカにコントロールしてもらっていた。
しかしアメリカにしてみればコントロールを任せられたはいいがボランティアであり、何も手に入らない。
むしろコントロールされた側が豊かになっていくのを見守るだけ、とアメリカの中産階級は思っていたということです。
困ったことにそれは正しい認識です。
ベトナム戦争でアメリカは若者から大人になったと言われていますが、その後の冷戦を経てアメリカは今初老を迎えているような感じがします。
大きな野望より身近な幸福、それを求めているイメージです。
ここで問題になるのはアメリカが身近な幸福を求めて行動すると、今までボランティアでやってもらっていたつけが全部、当事者に廻ります。
当事者には良い面も悪い面も現れるので現場は混乱するでしょう。
悪いことだけなら、まだ早急に当事国が対応せざるを得ないのでまだましなのですが、良い面が利権として放り出されるとその利権争いが第1に来るため余計に混乱するのが目に見えるようです。
特に中東ではロシア・欧州が米国が手放した利権を手に入れるために、泥沼に両足をつっこみ大変なことになるでしょう。
そしてアメリカはそれを傍観するつもりです。
まだアジアの方がましかもしれません。
米国の経済大国を脅かす存在、中華人民共和国に対しては対等な敵と認め叩き潰す方向で動くからです。
自分たちより金持ちの国なら、自分たちより世界に影響を与え安定させろ。
というのがその主張の根本にある公平さです。
今のところ中国はそのメッセージに気付いていません。
世界に影響を与えるにはその状態を正しく認識する必要があります。
台湾は独立状態なら、それを踏まえた行動をしないと友好的な手は打てません。
トルコの上ジョージアが2008年のロシア侵攻の結果3つの国に分割され、二つがロシアの傀儡政権ならそれを踏まえて、ロシアとも交渉しないと中東問題に有効な手は打てません。
台湾問題はそのあたりをついたアメリカの中華人民共和国に対する強烈なイヤミといっていいと思います。
ともあれ日米同盟にもある程度の変化が現われます。
それはおそらくは強化の方向に向かうでしょうが、基地人員は減少の方向になると思っています。
強化されるのは自衛隊における権限です。
たぶん南シナ海の監視を海上自衛隊に押し付ける気、満々です。
そのための緊急時指揮権の問題とか米軍基地使用権とかでの譲歩が見られると思います。
アメリカにしてみれば日本の方が近いから、その辺見張ってぐらいの気持ちだと思いますが・・・中国にしてみれば米帝の手先が・・・ということで緊張は高まるでしょう。
この辺りどこまで米国が許容するか、どの状態で参戦するかで紛争が戦争になるかも・・・あるいはそこまで見越して中国に経済的な損害を与えることを優先するかもしれません。
今のアメリカは決して善良なだけの隣人ではなくなったのです。
嫉妬や妬みあるいは逃避といった人間的な要素を持ったごく普通の国家に変わろうとしています。
アメリカがいうから的な米国追従外交では使い捨てられる可能性があることを日本人は覚えておくべきです。
幸いにして公平ではありますので役に立つうちはあっちも同じくらい役に立ってやるという気概があるのがせめてもの救いですが・・・
これはトランプ大統領が云々ではなく中産階級の過半数がそう考えているということでアメリカがその方向に動き始めたということでいいでしょう。
現在反対運動を行っている人たちは、1つには美辞麗句への不信感、従来の方針を変更する拒否感と失望感から行っていると思います。なにしろ世界を思いのままに動かすアメリカから世界で一番豊かな国に変わるとはいえ普通の国に落ちるのが許せない人々の想いは根深いものがあると思います。
当然権益も絡んでくるので報道をそのまま考えることはできません。
国外は勝手にしろというのは国外の権益を放棄するということでもあります。
軍需産業の輸出に関しては大きなマイナスです。
アメリカは軍縮、財政改革、不法就労や脱税・節税に関して厳しくなると思います。
それらを見ているのが大統領でなく中産階級である以上、彼らが声を上げ続けられる限り、国の変質は進んでいくと思います。
それが21世紀国際社会にとって有益であることを祈らざるを得ません。




