002
「ようこそ、Third Elements Onlineへ!」
今しがたエディットした碧眼灰髪のバンクの目の前に元気な声の光の玉が浮いている。
「ここはチュートリアル用の空間となり、一通りの注意事項を行った後にアリシアの街に降り立つ事になります。」
アリシア?最初の街の名前かな?
と思っているが光の玉は説明を続ける。
「まずは基本的な画面からの説明です。最初なのでメニュー、ステータス、インベントリと元気よく大きな声ではっきりと叫んでください!」
光の玉は元気良く進めるが、そんなもんなのかと恥ずかしいながらも誰もいない空間なので指示に従う。
「メニュー!ステータス!!インベントリ!!!・・・うおっ!」
高らかに雰囲気を出して叫ぶと目の前に3つのウインドウのような物が出てきた。
「今、目の前に3つの画面が出てきたと思います。これが基本的な画面となります。本来は頭でイメージするだけで出てきます。それでは画面の説明に移ります。」
おいこら玉ぁぁぁぁぁぁ!
なぜ叫ばせたぁぁぁぁぁ!!
「メニュー画面は基本的な設定や運営へのヘルプ画面など基本的な事はここから出来ます。ステータス画面は自分のステータスやスキル、装備などの確認、変更ができます。インベントリはアイテムやお金の管理ができます。この世界ではお金はリグという単位で使われます。」
ほんとにね、、、
なんてい言うかね、、、
この玉淡々と進めてくれてるね。
「ではまずスキルに見合った初期装備をインベントリに入れてあると思いますので装備してみましょう。基本的には装備したいものを装備するイメージをして頂くだけで装備は可能となります。高らかに叫ばなくても大丈夫ですね。」
この玉はケンカを売っているんですかね?
そうなんですよね??
そんなイライラを大人の対応でいなしてインベントリの中にある装備品を装備する。
「ダガー、レザーハット、レザーメイル、レザーアーム、レザーレッグ、レザーブーツか、装備するとインベントリからも無くなるのは便利だな。スキルに従って初期装備を貰えるみたいだけど防具とか入れてない人はどうするんだろう?」
などと考えているうちに目の前にウサギのようなものが出てくる。
せっかちだなぁ。
「次は戦闘となります。街の外や各種イベント時にはこのようなMOB、、、魔物がいます。通常攻撃でもダメージは与えられますが今回はスキルの実践を行いましょう。<短剣>スキルにある[スラッシュ]を使用しますが、目の前の魔物の近くで[スラッシュ]と声に出して下さい。」
先ほどステータス画面のスキルを確認した時に[スラッシュ]があったのは確認しているが、先ほどのことがあるためもう騙されない。頭の中でイメージをして発動!!!
「あれ・・・?」
「あ、スキル名は声に出して下さいね、実際に使って慣れてくるまで基本的にはイメージでは発動しませんので。高らかに言わなくていいので声には出して下さい!」
この玉には人が入っているのか?
人の傷をレイピアの如くブスブスと刺してくるんだが??
「スラッシュ!」
言葉にすると体が何かに引っ張られるように短剣を横薙ぎに振りウサギに攻撃を行う。
「ピギィィィ」
ウサギは光の粒子となり消えていった。
たが慣れるまでは少し違和感があるなこの感覚は。。。
「スキルは今のように即発動しますが、魔法は詠唱というフェーズが発生し、そのときに攻撃などを受けてしまうと詠唱中断が発生し魔法が発動しないためお気をつけ下さい。さてこれで基本的なことはお伝えしましたが聞きたいことはありますか?」
「クエストなどをまとめて受けるようなところはあるのかな?」
やはりMMORPGの最初の基本はクエストを受けてお金を稼いだりすることなのでそのことについては聞いておいた。
「はい、【Third Elements Online】にはギルドというものが存在しており、個々のNPCだけではなくそこに依頼という形で出てくるクエストもあります。中には壮大なストーリーになっているミッションと呼ばれるものもありますので、探して進めてみるのも面白いと思います。」
ほぅ個々の依頼にギルドの依頼、ミッションなんてものもあるのか、まぁまずはギルドを探すか。
「ありがとうございます。他は大丈夫です。」
「はい!後は実際にアリシアに降り立ち様々な人との交流を経て情報を集めてみて下さい!ただ最後にひとつ注意があります。【Third Elements Online】の中に出てくるNPCは現実世界の人と同じく感情を持っています。ひどい対応をするとそれに見合った対応をされますのでお気をつけ下さいね。」
「では【Third Elements Online】の世界を存分にお楽しみ下さい!!!!」
さんざん人をコケにした玉が最後にはまともなことを言って世界が暗転した。
そして光が戻ってきたとき、青い空と石畳そして様々な人々が喧騒と共に目の前に飛び込んできて【TEO】の世界にきたんだとその中世に似た街並みを見て感じる。
「ついに俺による俺のための俺にしかできない冒険が始まるぞ〜!・・・と恥ずかしい事はそっと言ってギルドを探すか。」
探し出してすぐに盾の前で剣と杖が交差したエンブレムを発見したので入ってみるとそこには受付と併設された酒場のある建物だった。
「こんにちは。」
「はい、こんにちは冒険者ギルドへようこそ。どんなご用件でしょうか。」
「あっと、、ここの建物が冒険者ギルドかもわからずに入ってきたのですが、ここがクエストを受けたりする事ができる場所という事でよかったでしょうか?」
「はい、間違ってはいませんが半分正解というところです。」
「半分、、、、?」
「はい、ここ冒険者ギルドではクエストと呼ばれる依頼書の発行を行っておりますが、ここでは魔物の討伐や採取の依頼といったものがメインとなります。」
「それ以外にも種類があるんですか?」
「こちらの冒険者ギルドでは生産品の納品依頼というものは扱っておらずそのような依頼をご所望でしたら生産ギルドに足を運んでいただく必要があります。」
「なるほど、住み分けが行われているんですね。ではここでの依頼を受けるためにはどうすればいいのでしょうか。受けられるようにしたいのですが。」
「はい、ではギルド証を発行しますのでこちらの用紙に必要事項を記入下さい」
渡された用紙には名前と役割を記入する欄がある。
「この役割というのは何でしょうか?」
「役割とは戦闘時にご自身が行うことができる役割で盾職や前衛、回復など役割がわかればどんな記入でも構いません。パーティー募集などを行う際に目安とするものとなります。」
うーん。基本的には何でもできる職を目指しているがタンカーとかは難しそうだな。
「はい、記入しました。」
「ありがとうございます。ではこちらの水晶に手をかざして下さい。・・・・はい登録が完了です。こちらがギルド証となります。冒険者ギルドには冒険者ランクというものがあり依頼の達成数や難易度に応じてポイントが加算され一定数達成すると10級〜1級へとランクが上がっていく仕組みとなっておりランクが高いほど、難しく実入りのいい依頼を受けることができます。
その他にもパーティの募集時のご自身の証明などにもなります。紛失した際は再発行に1万リグが必要となりますのでご注意ください。
なお、その他のギルドとの互換性もありますので他のギルドに登録する際もこのギルド証をお出し下されば情報を追記できます。」
色々な説明を受けたが渡された物が指輪一つでカードのような物を想像していた俺としては、どんなん風に使うのかいまいちイメージができない。
「あの〜。これどうやって情報を見るんでしょうか。」
「その指輪を装着していただきギルド証とイメージして下さい。」
バンク
冒険者ギルド10級:遊撃
と用紙に記入したことがそのままウインドウとして出てきた。便利だ。
役割は後衛でも良かったのだが素早さと手数を重視して回復も索敵もできるような構成にしたので遊撃としてみた。
「それでは依頼の受け方をご説明しますね。後ろの依頼掲示板を見ていただき、受けたい物に指輪をかざしていただくことで条件を満たしている物は受注ができます。そのまま依頼を進め完了したらこちらの受付まで持ってきてください。改めて査定を行い問題がなければ報酬をお渡しいたします。ただ、失敗するとポイントがマイナスになりますのでご注意下さい。ここまでで何かご質問はありますか?」
「受注条件とはランクのことですか?」
「基本はランクとなりますが、依頼によっては特定スキルがないと受けられない物も存在しますが、その際はパーティメンバーに所持している人がいれば受けることができますのでうまく協力をしてクリアをして下さい。」
なるほど、自分だけではダメならできる人を誘えばいいのか。うまくできてるな。
「ありがとうございます。早速依頼を受けてみます。」
「頑張ってくださいね。」
早速掲示板の中の10級のスモールラビットの討伐に指輪を近ずけてみる。
『このクエストを受注しますか? Yes/No』
と出てきたので迷わずYesを選択する。
隣にあったサンドワームも受けておく。
その状態でギルド証を確認すると
バンク
冒険者ギルド10級:遊撃
スモールラビット討伐(0/10)
サンドワーム討伐(0/10)
とクエスト情報が出てきて進捗状況も確認できるようだ。便利だ。
そんなこんなで冒険者ギルドを後にする。
「よし、今日はとことん情報収集のために街を巡るぞ〜!!」
と【TEO】の世界に既に引き込まれ気合を入れ直すバンクだった。
お読みいただきありかとうございます!
文字数3,883也