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秘密の森8
くしゃくしゃになったそのメモ紙にはこう書いてあった。
鍵を探せ
秘密の森
父を信じるな
乱暴に書かれた文字からは何か必死なものを感じる。昨晩から部屋には父親しか入っていない。父親が自分で自分のことを信じるなとわざわざ書く訳もない。信じるも何も、あのうだつの上がらない父親に信頼を寄せた事などほとんど無い。
「どういうことだ?鍵ってまさか書庫の鍵のことか?」
このメモを書いた人物は夢で見たことをなぜ知っているのか?わからないことだらけだ。
「そう言えば、鍵はじいちゃんと一緒に埋めたって言ってたな。夢でだけど。」
ふと、夢で父親が話していたことを思い出す。
祖父の墓を掘り起こすことに抵抗はあるが、どうしても確かめておかなくてはならない。このメモが何を意味してるのか?そして、あの夢の正体。赤い眼。
外は雨だ。
学校の帰り墓に行こう。学校からはさほど遠くない。