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アルシー・ラ・ジャンバルディ

ようやく二人で話せると思っていた二人の元に


「初めまして麗しい姫君方」


と言いながら少し彼女たちよりも年上と思われる人物がやってきた


「ん? どちら様でしょうか? 私はアルシーとお話ししたいのですが」


シルベリータの機嫌が急降下しているのをアルシーは感じていた


(ちょ、シル! それはあからさますぎるって!)


「これは失礼致しました、私はオルナンダル大公家嫡男、ルイス・カロム・オルナンダルと申します、以後お見知りおきを」


「え! 大公閣下の……」


シルベリータは自分の取った対応が最悪手だったことに今気づき顔を青くしていた


「これはルイス様、初めまして、私、ジャンヴァルディ候長女のアルシーと申します、こちらは私のお友達でこのパーティの主役のフォンダー候長女シルベリータですわ、こちらこそ今後ともよろしくお願いしますわ」


「ほほう、あなたがアルシー殿でしたか、噂はかねがね聞いておりますよ」


「どのような噂かは存じ上げていませんが、噂通りとは違うと思うのですが」


「ジャンヴァルディ候の長女は慧眼であるっていう噂だよ」


「それは良いことをお聞きしましたわ、私ではなく、私を教育してくださった方々の功績ですわ」


「……そうですか」


「あ、あの! すみませんでした!」


「シル?」


「先ほどのご無礼、お許ししていただきたく……」


「落ち着いてくださいシルベリータ殿、私は気にしておりませんから」


「ですが……」


「シル? 先方が気にしていないと仰っておられるのだからそれ以上は良くないわよ」


「あ、はい……」


「今日は顔合わせですね、またお話しいたしましょう姫君方」


「あら、いい勘しているわね、そういう方とは今後ともいい関係を築きたいものね」


「こちらこそ、あなた方のような姫君とは今後とも付き合っていきたいものです、ではまた会いましょう」


そういってルイスは去っていった


「アルシー……」


「気にしなくても大丈夫だよ、ああいう人は根に持ったりしないと思うもん」


「うん……」


「さあ、ご飯食べに行きましょ!」


「うん!」


(フォローになっていればいいけどな……はぁ、また五歳児らしからぬ行動を起こしてしまったな)


アルシーは今日の出来事を思い出しあることを考えていた


(父上と母上に知らせる……べきだな、この流れに乗らないと本当に期を逸してしまう気がする)





そうこうしているうちにぼちぼちと帰る貴族が増えていき


最後にアルシー達だけが残っていた


「しかし、ヴァレンス、大公閣下を呼んでいたとは……」


「何言ってるんだいドルイ? さんざん世話になったのに」


「あれとこれとは事情が違うだろ」


「だけど閣下は来て下さったじゃないか」


「……確かにな」


「さてと、シルベリータの奴隷を買いに行くとするよ」


「ああ、そうだったな、では俺たちも帰るよ」


「明日、伺ってもいいかい?」


「ああ、もちろんだ」


「じゃあ、また明日」


「おう」




そしてこれは子供たち


「今からプレゼント買いに行くの!」


「そうなんだ!」


「だから今日はこれぐらいだね……」


「今度は遊びにきてよ! 歓迎するよ!」


「ほんと! やったー!」


「じゃあ、またね!」


「うん!」



====================================



その日の夜、ジャンヴァルディ候邸にて


「アルシー、話とはなんだい?」


「そうよ、急にどうしたの?」


(父上、母上……でも、いずれは言わないといけないんだ、勇気を振り絞れ俺!)


「父上、母上、実は隠していたことがございます……」


「「………………」」


「それは……その」


「アルシー様、言いにくいのでは私が申し上げますよ」


「いや、いいよルナン、これは私の問題だから……実は私には前世の記憶がございます……」


「……アルシー何を言っているんだそんなはずは」


「あなた……」


「だけど……本当なんだよ、父上、母上」


「お館様、奥方様、私もアルシー様と接していてそのように思えることが多々あります」


「ルナン……お前はそれを知りながら俺たちに……」


「私は、アルシー様がこのように自らお館様と奥方様に話すと信じていましたので、お館様も心当たりがあるのでは」


「………………ああ」


「あなた!」


「思い違いだと考えていたよ、でもやっぱりそうだったのか」


アルシーはただ黙って経過を見守ることしかできなかった


(俺はこれからどうなるんだろうな……)


「だけど、アルシー、君は私たちにとって唯一の存在なんだ」


「そうよ、アルシーだから」


「「怖がらずに私たちを見て」」



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