8 家に帰ってみた。
更新遅れて申し訳ありません!
今回はエロ入ります。
苦手な方はご遠慮してください。
あのケンカ以降アルとクザンの言い合いはすっかりと無くなった。
言い合いどころかお互いの存在を無視するような態度で、前までは仲は悪かったものの「おはよう」の挨拶はしていたが、今では一切話してるところを見ていなかった。
そんなある日……
夏休みを使って久しぶりに家へと帰ったイアン。
家にはなにも伝えずにサプライズで帰ろうと思ったのだが、
いざイアンが大きな声を上げながら家に入ったら、
「ただいーー」
「おかえりーイアン!!!」
あれ?
反応早すぎやしないか?っと思うくらい早かった。なんせただいまも言えなかった。
父さんはひしりとイアンに抱きついていた。
「寂しかった!!父ちゃんイアンがいなくて寂しかったぞ!!!だから今度からは黙って帰ってくるんじゃなくてしっかりと伝えてから帰ってこいな」
???
今の話の内容的には父さんはイアンが家に帰ってくることを知らなかったらしい。
ならばなぜ、ルーカスはこんなにも早く反応が出来たのかと不思議に思っていると、その謎はすぐに解けた。
「こら!ルーカス!家に入ってくる人にいちいち抱きついちゃ駄目って言ってるでしょ!もしもイアンじゃなかったらどうするの!……って」
「「イアン!?」」
どうやら父さんは家に入ってくる人に誰構わず確かめもせずにイアンと叫び抱きついていたらしい。
抱きついてきたルーカスがイアンの顔を見て驚いているのだから。
「いっイアン……お前は本物のイアンなのか?……いや、もう二度は騙されないぞ!おいガル爺!2回もイアンの幻覚を我が家に入れるとは趣味が悪いぞ!」
ガル爺と言うのは隣の家に住んでいるちょっと趣味の変わった爺さんだ。
イアンはガル爺の作るおもちゃが大好きで、よくガル爺の家に入りたびっていた。
ルーカスの声を聞いたからか隣の方からドタドタと足音がしたと思ったら、後ろから
「なんとルーカス!罪もない老いぼれじじぃを疑うたぁどーゆーこった!?」
今しがた何かを作ってたらしく、作業着であちこちすすで汚れていた。
ガル爺の印象は人によってそれぞれ違うだろう。
髭を立派に生やしており、片目が傷で開かなくなっているところが印象的だった人にはいかつい印象を抱くかもしれないが、全体的に見た人には服が汚れていて顔には子供がいたずらをする時のような顔、
少し子供っぽいお爺ちゃんと印象を抱くかもしれない。
そんな爺ちゃんだった。
「確かに今、イアンと瓜二つの人形を作ってるがまだお主の家にはいれとらんぞ!」
なんか、とんでもないことを言っているがガル爺がルーカスの目の前にいるイアンを見ると、
「おろ?わしの人形がこんなところに?いつのまに逃げ出したのだ」
逃げ出すとか……人形がそんなこと出来るはずないのだが。
もう、仕方がない、と呟きながらイアンを抱えようと近づくと、
「いや、僕だって。イアンだよ」
「っ!!!!」
なんか、そのままガル爺が持ち上げて家に入れたら改造しそうな勢いだったから本物アピールすると、ガル爺は驚いた顔をした。
なんせ人形だた思ってたやつがいきなり喋るんだもの。が、ガル爺の驚きの理由はーー
「なっなんと!丁寧に心を込めて人形を作ると魂が宿るとは聞いておったがーー!!まさか、わしの人形に魂が宿るとはーーこのにんぎーーいや、イアン君は宝庫に入れておこう」
遂に限界がきたイアンは近づいてきたガル爺の耳元で大声を張り上げた。
「僕だって!!本物のイアンだよ!!」
家のリビングで大人2人が正座をしてーーいや、させられて小さくうずくまっていた。
その2人の前には燃えるような赤毛だが顔はCOOLそのものな少年と右手にお玉を持っている金髪碧眼の二次元のような容姿をしている女性が立っていた。
っとそこで赤毛の少年ーーイアンが口を開いた。
「わかった?これからは僕がいない間とかに、いちいち家に来る人に抱きついちゃ駄目だからね。」
「はい、すみません」
「他の人に迷惑がかからないのなら良いけど、父さんのやってたことは他の人に迷惑しか、かかってないからね」
「はい、以後気をつけます」
イアンが何か注意するたびにどんどん縮んでいくルーカス。
その隣ではお玉を持っている女性ーーイーリスことお母さんがガル爺を説教していた。が、説教を受けていると言うのにガル爺の顔にはニヤケが浮かんでいた。
反対にイーリスの顔はひきつっていた。
「こっこれからはイアンの幻覚や人形をつっ作らないこと」
「はい♪わかったよイーリスちゃん♪」
語尾に音符がつくほどウキウキなガル爺。
ちゃん付けされて顔面蒼白になっているイーリス。
その斜め前でガル爺を睨み付けながら頬をひくつかせているルーカス。
それを目の前で見ているイアンは
『きっと父さんはイーリスの事そんな目見るんじゃねぇ!この変態糞爺!っとか思ってるんだろうなぁ、父さん母さんの事大好きだもんな』
そうは思うがどーこーするわけではなかった。
お説教後皆で食事をしよう、となったがちゃっかりガル爺がイスに座って待っていたもんだからルーカスがフルボッコにしてゴキブリ退治をし終わった。
「さぁ!これで汚ならしいゴキブリを退治したよ!久しぶりに家族揃ってのご飯を食べよう!」
ニコニコと満面の笑みで手をパンパンとはたきながら席についた。
その目の前にはもう既に豪華なーーとまではいかないが平民にとっては豪華な食卓だった。
「イッイーリス!きょっ今日は頑張ったな!」
豪華な食卓を目の前に目を輝かせるルーカス。
「そうよ、なんたって久しぶりのイアンだもの」
「そっそうか……イアンのためか……ゴキブリ退治を頑張った俺のためじゃないよな……」
「あら、何言ってるの?ゴキブリを退治してくれたお陰で平和にご飯を食べることが出来てるのよ?ルーカスにはこんなご飯じゃ感謝しようにもしきれないわ」
「っ!!!!イーリス!!」
「ルーカス!!」
そのまま2人は抱き合った。
見てるこっちが恥ずかしいわ。
相変わらず熱々な2人は子供が目の前にいると言うのにDキスをして、ルーカスの手はあちゃってとこを触っていたりーー
って駄目だろ!子供が目の前にいるんだよ!?
イアンは呆然と顔を真っ赤にしながら目が離せなかった。
「イッイアンが見てるわルーカス」
「そうだな……イアンにはまだ早いか……イアン、部屋に行ってなさい」
やっとイーリスが目の前に子供がいることに気がついたと思ったら、ルーカスはイアンそっちのけでイーリスに夢中だった。
せっかくの家族揃ってのご飯なのに食べる前にそれは実現しなかった。
せっかくイアンが久しぶりに帰ってきたと言うのになぜ初っぱなから部屋に籠ってなければならないのだろうと、思いながらトボトボと部屋に向かった。
が、部屋に行くとそれはそれは暇で仕方がなかった。もとの世界のようにゲームとかそんなのがあればいいのだが、あるわけない。
じゃあ魔法の練習ってわけにも行かない、何たって魔力ゼロだもの。
よし、じゃあ勉強しよう!っと机に向かったがーー
「······ぁ······あぁっ」
············································。
どうやらイアンが部屋戻った後両親も部屋に戻ったのだろう。それだけなら未だしも運悪くイアンの隣の部屋が両親の部屋だった。
さっきの続きをやってるらしくイーリスの声が聞こえてきた。
勉強をしているせいで僅かな音でも聞こえてしまうのだ。
「あぁっ!ルーカス!」
「イーリス!」
「いっ一緒にっ!」
「あぁ勿論だ!ーーうくっ出る!」
「っ!!!!!!!」
『しゅーちゅー出来るわけないだろーーー』
イアンは叫びたい気持ちをグッと我慢してベッドに潜り込んだ。その時一瞬見えたイアンの顔を立派に熟したリンゴのようだった。
まぁ仕方のないことなのだ。見た目は小学2年生だが、中身は(前世の年齢を合わせて)立派な24歳だ。社会人の1人なのだ。
そんな彼ーーイアン君はまだ童貞だ。真っ赤になるのも可笑しくはない。
もう終わったのか隣からの声は聞こえなくなった。
っとそこに、
ガチャリ
っと部屋の扉が開いた。
この家には使用人とかいないから開けるとしたら両親しかいないのだが、今しがたイアンが想像をすると赤くなってしまうことをしていたばかりだから、来るはず無いと思っていたイアンだったが、
「イアン!父ちゃんだぞー!!ってイアン!?どうしたんだ!?お腹いたいのか!?」
案の定ルーカスだった。
ルーカスは布団に潜っていたイアンを見ると急に慌てだし近づいた。
「んっううん、大丈夫。ただちょっと眠いだけだよ」
まだ真っ赤になっている顔を隠すために布団を口元まで被っていたが、それでも分かるくらいイアンの顔は真っ赤だったから意味がなかった。
「熱でもあるのか!?」
ヒタリとおでこに手を乗せるルーカス。
そりゃ赤くなってるのだから熱はある。
「熱があるぞイアン!」
そう叫ぶが実際なにも出来ないルーカスであった。
「だから大丈夫だって!」
「そっそうか、イアンがそこまで言うのなら問題無いんだろう······」
ルーカスはしゅんっとなってベッドに腰掛けた。
が次の瞬間イアンは自分の父さんは一体何者何だと考えるはめになってしまうのだった。
「俺に何にか言うことあるんだろう?イアン」
「っ!!!!!?????」
確かに、イアンはルーカスに言いたいこと相談したいことは沢山あった。しかしそれがルーカスに勘づかれているとは思いもしなかった。
ルーカスは見た目通りバカだった。勉強面では騎士団に入っている位だからいい方だが主に生活面では色々と抜けていた。
そんなルーカスに勘づかれてしまうほどイアンの顔に出ていたのかと言うとそうではなかった。しかし、その事にイアンが気づくことはない。
「父さんには何でもお見通しだぞ!話してごらん」
すると、イアンの口からぽつりぽつりと言葉が出てきた。
「僕さ、どうすればいいのかわからないんだ。友達2人が今ケンカをしてさ、最近は口も聞かなくなっちゃって······なんとか2人を前の関係に戻してあげたいんだけど、どうやってもうまく行かないんだ」
それは、只今絶賛絶好中の2人ーーアルとクザンのことだった。
イアンはあの喧嘩から幾度なく仲直りを試してみたが全て失敗。どうすればいいのか分からなくなってきたのだ。
静かに口を挟まず真剣に聞いていたルーカスは口を開いた。
「イアン、お前はなぜその2人仲を直してほしいんだ?」
「えっいやそれは前の関係に戻してあげたいから······」
「それは、頼まれたことか?頼まれたことなら父さんはその考えを否定はしないーーだが、ただ単に仲を直したいってだけなら、父さんはあまりおすすめはしないよ」
いつものルーカスらしからぬ言動に驚いたイアン。
いつものルーカスなら、そんなの父さんに任せれば一発よ!!とでも言うと思ったのだがまさかそんなことを言われるとは思ってもいなかった。
「えっなっなんで······」
「その2人は前の関係で合わなかったからケンカをしたんだろ?なのにイアンはまたその合わなかった関係に戻そうとしているだけだ。そんなの苦痛でしかない。だから、イアンが何故仲を直してほしいのかハッキリさせない限りやめた方がいいと父さんは思うぞ!」
イアンはその後しばらく黙った。
何故仲を直してほしいのか、それはーー
「僕はあの2人が大好きなんだ、あの2人とはずっと親友でいたい」
「出てるじゃねーか答え。そうだ、それをしっかりと伝えるだけだ」
イアンは初めて自分の父親を尊敬した。
いままではバカやってるとこしか見てこなかったが素晴らしい父親だと7歳になって知ったのだ。
**********
広い街の大通り、ソイツは歩いていた。
回りの人は汚いものを避けるかのように大きく弧をえがきながらソイツの横を通る。
ソイツは異様に左手の人差し指の爪が長かった。
そうーーこの前イアンが街にいったときに裏路地にいた奴だ。
ソイツは相変わらず薄汚いマントを羽織っててフードを目深に被っていた。
そんな格好で大通りに出ることはそれなりのリスクがあるがソイツは気にしている素振りも見せない。
っとそこで大通りの雑音の中よく通る声がソイツの耳に届いた。
「ねぇねぇ君!!何してるの?1人?じゃあ俺とお買い物しよう!」
いわゆるナンパしてる声が響いてきた。
ソイツは声が聞こえた方に顔を向けると見覚えのある顔がそこにはあった。
背高ノッポ。
「アイツはーー」
ぼそりと呟いた声は雑音によってかき消され変わりに口元にニタリと笑みを浮かべた。
「えっいや、すみません友達と待ち合わせしてるんです」
「えー残念だなぁー君見たいにきれいな人そうそういないのになぁー」
っと言いながらチラチラ相手の様子伺う背高ノッポの少年ーークザン。
対する女性は苦笑いをして何とか避けようとしていた。
「いやいや、そんな私より綺麗な人なんて沢山いますよ」
「いやいや、そんな自分を過小評価し過ぎですよ。もっと自分に自信を持たなくちゃ!」
「そんな嬉しいこと言われると迷っちゃーーっ!?」
女性は後少しで折れそうだったがクザンの後ろの方から黒いものが近づいてくるのを確信した。
本当は途中から気がついていたのだが確信が持てなかった。だが確かにソレはこっちに近づいてくる。
「どうしたの?僕の美形に今更ながら気がついた?」
っとどう考えても美化しすぎの言葉も今の女性には聞こえない。
「あっあのっ後ろ······」
「ふっふーん、俺は騙されないぞ、そうやって後ろを振り向いた瞬間に逃げる戦法だろう?」
「いやっちがうの!本当!後ろ!」
ついにソイツはクザンの真後ろまで来た。背高ノッポのクザンでさえ小さく見えるほどの長身だった。
クザンは自分に覆い被さる影にやっと気がつき後ろを振り向いたーー
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
そこには既にクザンにナンパされていた女性しか残っていなかった。
読んで頂きありがとうございます。
感想、アドバイス待ってます。