1 転生しちゃった。
「おぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
?????
おぎぁぁ??
そのうるさい声は自分の口から出ていた。すると、フワッと何かに抱き上げられた、途端に口に何かが押し付けられる、思わずがっつく。
ぷはぁー飲んだ飲んだ……飲んだ?まさか……これって……女性の大切なものじゃないっすかぁーー!!
思わず目を反らしてしまう。
落ち着け!落ち着けよ僕!取り合えず状況判断してみると、手は赤ちゃんのようなむっちりした手、声はおぎゃぁ、そこから判断するに僕は赤ちゃんになっちゃった!……つまり転生ってやつだと僕は思うんだ、うん、きっとそーだ。
そっと自分を抱き上げてる人を見たらーー美人さんだった。もしかしてこれが僕のお母さんかな、僕の将来の顔も美形になるといいなぁー。
お母さんは抱き上げてトントンと背中を叩く。
「ゲェプ……」
恥ずかしい!ゲップ位自分でも出来るのに……!
すると、お母さんはそっとベッドに戻した。
「£@#¥£*#&℃§」
笑える、笑えるぞ。言葉が全くわかんね。どうやらここは異世界の可能性が高くなってきた。言語は違う、髪色や目の色も黒ではない。目の前にいるお母さんは金髪碧眼だ、二次元かよ!的に突っ込みたいが言葉が出なかった。
「イアン、§&#℃&§イアン」
どーやら僕の名前はイアンだそうだ。やはり名前の発音は全国どこへ行っても同じみたいだ。
しばらくすると再び睡魔に襲われそのまま眠ってしまった。
**********
それから首が座るようになったが一向にお母さんしか僕の面倒を見てくれなかった。
メイドさんは?ほらよく転生チートで王族とかに生まれてきて魔力がハンパなくでかいとか、そーゆーの無いの?
この世界に魔法があるかは分からないけども······。
メイドさんはともかく、お父さんを見ていない。まさかお父さんは王宮の騎士団長だから忙しいとか!?すると僕にもそーゆー素質あるか「おぎゃぁぁぁぁぁ!」
······はい、お腹が空いてました。結構前から空いてたけど何かを考えてたら忘れるかなと······。
「%&#$¥#&¥」
相変わらず意味不明な言葉を発しながら部屋に入ってきたお母さん。やっぱり美人さんだなぁ。
もうすっかり女性の大切なものにしゃぶりつくのは慣れてしまった。だってお腹が空いてるんだもん。空腹を満たすためなんだもん。仕方の無い事じゃん?
えっ?顔がニヤついてる?めっ目の錯覚じゃないかなぁ······。
赤ちゃんって暇なんだなぁ。
寝ることしか無いんだもん。
······いや、あるではないか、取り合えずここの言葉を覚えよう!
幸いすぐそこに本棚あるしね!そうと決まれば······
ベビーベッドから降りようとする。が、
あっあれ?立てない······おかしい。これはあれか?まだ筋肉が十分についてないからとか?そーゆーのならひたすら練習しかないだろ!
なんか赤ちゃんって暇じゃないんだなー。
さっきまで暇だなーとか言ってた人のセリフでは無いがこーゆー風にやることが沢山見つかると赤ちゃんも悪くないかもと思ってしまう程でもあった。
それから毎日、イアンは立つ練習を始めた。最初はベビーベッドの手すりに掴まってる状態でも難しかったが次第にそれも普通になってきて、いつしか······
「こらイアン、好き嫌いしないの」
言葉を理解してしまった。
いや、別にダメなことじゃないよ?むしろ喜ぶべきなんだけども······言葉を理解しようと本で学ぶ為にそこまで辿り着かなきゃダメだから立つ練習をしてた訳ですよ、なのに!しっかりと立つ前に何となく分かり始めちゃったんですよ······。
うん、まぁ読み書きを学ぶ為に本棚を目指すってことで。
そしてついに······
「たちぇた!」
立てたのです。
ついでに言葉もなんとか喋れるようになりました。やっぱ頑張ればなんでも出来るんだな!
やっとだ、僕は忘れてないぞ。なぜ立つ練習をしていたのかを!!
エッサホイサとベビーベッドから降りるとまだ不安定ながらも確実に本棚に近づいていた。そしてついに!
「たったどりちゅいた······」
今まで頑張ったかいがあったぜ、頑張ったからこそたどりついたときの感動は素晴らしい。
さっ読み書き読み書き。まずはこれを読んでみよう―――
**********
それから2年――
イアンは読み書きは完璧にマスターした、が言葉はまだいまいち発音出来ていない。
そして、その2年で分かったことも沢山あった。
まず、お母さんの名前はイーリス、お父さんの名前はルーカス。
んでんで!やっぱり魔法と言うものは存在した。 火、水、風、闇、光、時。人はそれぞれ1個の属性魔法を持っていて最初の3つは一般的なものでそこら辺にいる人たちが持っている属性、次の2つは1万人に1人位しか持っている人はいないとされている属性だ、そして最後のはかれこれ300万年ほどその属性を持った人は現れていないと言う······。
ちなみにお母さんは風属性だそうだ、僕は······これからやるつもり!
それと重要なことが発覚した、なんと······!!
僕の家系は別に貴族とか王族じゃなかった······いま、別にどうでもいいとか思った?ダメなんだよ!転生して異世界とかに来たら、貴族の家に生まれた。ってゆーのがお決まりじゃないの!?僕未だにこの世界に来てチートを味わってないよ?······えっ?魔力とかバカデカイかも?······なるほどね、そーゆーことなら許してやっても?
まっそんなこんなで今日は僕の2歳の誕生日、そしてついにお父さんに会える!――いま、まだ会ってなかったのかよとか言った奴出てこいや――お父さんはやっぱり国の騎士団長さんだから忙しくて今まで会えなかったんだって、誕生日だからスゴいプレゼント持ってきてくれるってお母さん言ってたけどすんごい楽しみ!······と言ってもまだお父さんは帰ってこないのでそれまで僕の属性魔法でも調べてみますかね?
「初心者必見!魔法書」
普通のタイトルだけども魔法の入門編的なのがこれしか無かったから渋々見てるだけだかんね!
まぁ早速ページをめくってみる。
フムフム、
人はそれぞれの必ず!どんなに微量でも必ず!魔力を持っている。人は魔力が無くなったら死んでしまう。だから無理せずに気をつけて魔法を使ってください。そして魔法には6つの属性がある······火、水――「ここらへんはしっちぇる」以上を踏まえて次のページに進んでみよう!
ぺらりとページをめくってみるとそこには見覚えのある字が······。
「えーご·····」
そうそこに書いてあったのは「英語」だった。
火の属性魔法を持ってる人はこのページの詠唱を覚えよう。と書いてある1番上に書いてある詠唱は、
[ファイア]
えーごだね。うん。
水とかも同じように[ウォータ]とか[ウィンド]見事なえーごっぷり。
次のページをめくると、
あなたの属性まるわかり!これを唱えるだけでどの属性魔法かわかっちゃう!
おぉついに僕も魔法だ、早速。
何々······手を目の前にかざして······「我、示せ魔法の力」と唱えるとその属性の光が手のひらに浮かぶそうだ。よっしゃー!遂に僕の時代が幕を開けたぜ、きっと転生チートとかで全属性が使えるとかそんなんじゃないの?
ウキウキと目の前に手をかざして······
「われ、しめしぇまほーのちから」
··············································。
なにも起こらないではないか······あれか?しっかり発音しなくちゃいけないとか?それならドンと来い!
「我、しめしぇ·····我、しめっ······我、示せ魔法の力」
言えた。なんかもー属性魔法よりも言えたことの喜び。
っといかんいかん·····魔法は魔法
手のひらを見ると――
何も無かった。
「ありぇ?ちゃんといえちゃのになー」
もう一度と目の前に手をかざそうと――――――
「イアーン、お父さんがそろそろ帰ってくるよー」
隣の部屋からお母さんの声が聞こえたから、
「おとうしゃん!」
属性魔法よりお父さんの方がイアンには大切だったそうだ。魔法書を放り投げて行ってしまった。
イアンが隣の部屋につくのとお父さんが家についたのは同時だった。
お父さんの第一印象は、イケメンだった。
僕と同じ真っ赤な赤髪なのになんでこんなに似合うんだろうと思うほどに、そして身長も高かった、おおよそ190センチはあるだろうと思われる。ただ高いだけでなくいい感じに筋肉も付いていてまさに完璧だった。が、
「イーアーン!!!」
僕の顔を見た瞬間あの長身で飛びついてきた。勿論受け止められる訳なくそのまま吹っ飛ぶ。
「こら!ルーカス!イアンはまだ2歳よ!怪我でもしたらどーするの!」
っとお母さんは怒っているが久しぶりの旦那の帰宅で嬉しさを隠しきれていなかった。
「おとうしゃんいたい······」
愛されているのは嫌ではないけど痛いのは嫌だよ······僕だってMじゃない。
「イアン痛いのか!?大丈夫か!?どこが痛いんだ!?」
「ルーカス、久しぶりに会ったからってはしゃぎすぎよ。ほらご飯も出来てるから2人も座りなさい」
実を言うとお父さんとは僕が生まれたときに会っていたそうなのだ。が、そんな生まれたてホヤホヤの時の記憶なんて無いに決まっていた。
お父さんは席につくと早速プレゼントを渡してきた。真ん丸の鉄らしき物体だった、まさかお父さん······これがプレゼントとか言わな―――
「プレゼントだ!!」
言っちゃったよー······こんなの貰っても何に使うの?困るよー······。
「まぁそんなガッカリした顔しないで!これがどんなものか知ったらお前は絶対に飛び付くぞー······おっ興味持ち始めたな?コホンまぁこれはなんと!!魔力測定器!もうイアンも2歳だ!そろそろ測る時期だろ」
来た来た来た来た!!!!!
遂にこの瞬間が訪れたのだ!僕は待って待って待って待って待って待って待って待って!!!!(そんなに待ってない)待ったのだ······。
「おとうしゃん!これどーやるの?」
「まぁ待て焦るでない我が息子よ、ここに手を乗せるだけで······」
即座に置いてみた。3人揃って横にある画面に顔をよせる、画面には測定中の文字が·····そして遂に出た!画面には―――――
「「「ゼロ?」」」
間違い、アドバイス頂けたら嬉しいです。