みつこと小さなくろいたね
みつこには、とてもたいせつにしているものがあります。
ケーキのあきばこに、きんいろのいろがみをはってつくった、たからもののはこです。
はこの中には、うみへいったときにひろった、ピンクいろの貝がらや、くまのもようのおりがみでおったつるや、うさぎのかたちをしたけしごむがはいっています。
きょうもみつこは、はこの中から大すきなものをとりだして、あそんでいました。
「ん?」
はこのそこのほうで、キラリとひかるるものをみつけました。
みつこがつまみあげたものは、くろくて小さなたねでした。
はこの中に、いれたおぼえがありません。上からも下からも、なんどもながめてみましたが、ただの小さなくろいたねでした。
「なんのたねかな」
みつこは、小さなくろいたねをポケットのにいれて、にわへでました。
花だんにゆびであなをあけて、小さなくろいたねをうめました。土をかぶせて、手のひらでやさしくおさえました。すると……。
「きゃっ!」
みつこは、しりもちをつきました。
むくっ、むくっ、むくむくむくむくと、土がうごいて、小さなめがでてきたのです。
みつこが目をこすっているあいだに、のびためのさきには、きんいろの花がさきました。
「ああ、びっくりしたぁ」
みつこは、きんいろの花にたくさん水をかけてあげたくなりました。
じょうろの水はとてもおもくて、とちゅうでなんども水をこぼしました。
みつこは、りょうほうのうでにグイッとちからをいれて、水をはこんでいきました。
「わぁ、すごい!」
花だんにもどったときには、きんいろのお花ばたけができあがっていました。みつこはうれしくて、たっぷりの水をかけてやりました。すると……。
ふわっ、ふわっ、ふわふわふわふわと、空とぶじゅうたんのように、お花ばたけがうかびあがりました。
きんいろのじゅうたんは、みつこをさらって、空にまい上がりました。
みつこは、まえからちょうちょになって、空をとんでみたいとおもっていたので、ひらひらとりょう手をうごかして、空のさんぽをたのしみました。すると……。
にょろっ、にょろっ、にょろにょろにょろと、小さなきょうりゅうが、花びらの中からでてきて、みつこの手のひらにのりました。
「きみがぼくを、そだててくれたんだね。ありがとう。おれいに、ぼくのなかまのところへつれていってあげるよ」
小さなきょうりゅうは、きんいろの花の中から、かみのけくらいのほそいいとをひきだしました。
小さなきょうりゅうは、きんいろのいとをかぜになびかぜながら、きんいろのハンカチをあみました。
できあがったハンカチを、みつこのあたまの上に、フワリとかけました。
「みえるかい? ぼくのなかまたちだよ」
テレビやえほんでしかみたことのないきょうりゅうたちが、たくさんいました。みつこは、すこしこわくて、きんいろのじゅうたんにのったまま、じっとしていました。
「こっちへおいでよ」
小さなきょうりゅうが、みつこの手をひっぱって、大きなきょうりゅうのせなかにのせてくれました。
「きょうりゅうさんのせなか、あったかいね」
みつこがそういうと、大きなきょうりゅうはうれしそうに目をほそめて、あるきだしました。
空をとぶ、きょうりゅうもいます。水の中であそぶ、きょうりゅうもいます。くさの上で、ねころんでいるきょうりゅうもいます。 みつこは、たくさんのきょうりゅうたちと、じかんがたつのもわすれてあそびました。
小さなきょうりゅうが、とおくのほうで、手をふっているのがみえます。
みつこも、りょうてをあげてたちあがると、きんいろのハンカチが、ひらりとおちてしまいました。
「あっ」
りょう手であたまをおさえましたが、きんいろのハンカチは、あっというまにどこかへとんでいって、みえなくなってしまいました。
みつこは、花だんのまえにすわっていました。小さな小さなめが、ひとつだけでていま
す。
にわにおちている石をひろいあつめて、小さなめのまわりに、ひとつずつならべていきました。
水がはいったじょうろが、おいてあります。みつこは、小さなめをつぶさないように、ほんのすこしずつ、水をかけてやりました。
「はやく、花さかないかなぁ……」
小さなくろいたねの小さなめは、みつこのあたらしいたからものになりました。




