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プロローグ「魔法とは地味なものである」

 すべての人間が『魔法』というものが使えるこの世界。

 しかし誰もが最初から魔法を使えるわけではない。

 学び、教えられ、そしてようやく魔法が使えるのだ。

御門みかどー」

 と僕が魔法について思いを馳せようとしたところに邪魔が入る。

 同じクラスの友達、大瀬おおせだ。

「どうしたの?」

「いや、1つ忠告することがあってだな・・・魔法の成績が5のうち2であるお前が魔法を語るなんてちゃんちゃらおかしいって言おうとしたんだ」

「お前が僕を馬鹿にしていることはよくわかったよ」

「まぁまぁ。次、どうせ魔法学だろ?だったら先生の説明を聞けばいいさ、あの先生同じことを授業の冒頭に必ず毎回言う人だし、お前のぐだぐだな説明より全然マシだからさ」

「さっきからお前が僕を馬鹿にしていることしか分からない!」

 というわけで休み時間も終わり、魔法学という授業が始まった。

 先生の話はやはり長いわけで、本当にそんなスピードで次のテスト範囲が全部終わるのかと心配になるほど。

 だから少しだけ頭の中で要約することにした。



 魔法。

 それは火を生み出したり、水を流したり、雷を落とすような、そんな創作の中でしか起こりえないようなことをするものではない。

 僕的には派手な方がいいのでぜひ、火をだしたりしてみたいが、そんなことはこの時代、この世界においても不可能だった。

 では何が魔法なのか?

 それは自分の身体能力をどれか1つだけ底上げすることである。

 チーターのような脚力で走り、ゴリラのような力で潰し、鋼のような硬さで体を守る。

 それには魔方陣を描かなければいけないというリスクもあるのだが、とても便利なものだった。

 一時的に脳が全力を出したり、相手の心を読めたりなど頭脳的な、精神的な能力も上げられる。



 底上げできる箇所は1つの魔法陣で1つのみ。

 同時にいくつもの魔方陣を書く事はできないので、その効果が切れるまでは別の箇所を上げることはできない。

 そして底上げする箇所によっては得手不得手、得意不得意というものが人それぞれ違う。

 それは自分で見つけるしかない。

 じゃあどうやって探すのか。素人が魔法陣を書いて魔法を発動出来るのか。



 答えは否だ。

 魔法陣にはただ書くだけでなく、いろいろな規制、例えば魔法陣の色など様々なものがある。

 そして魔法が発動できないのなら自分の得手不得手を見つけることもできない。

 そのため、教育過程に『魔法学』という授業を入れたのだ。



 魔法学は小学生から大学生まで通して行われる。

 大学を終えてようやく完了という長いスパンで行われる教科なのだ。

 もちろん魔法が上手いほど就職にも有利になる。

 頭脳の力を底上げしたら仕事が何倍もはやく終わるし、力を底上げしたら工事現場などではとても役にたつので当然である。



 ただ・・・成績も人それぞれで・・・・・僕の場合は・・・・・。

「おい、御門。」

「・・・・・・」

「御門?・・・寝てやがる・・・先生に見つかるぞ」

「・・・・・・」

「はぁ・・・しゃあないか・・・お、おい!御門!目の前にでかいおっぱいが・・・!」

「!?どこですか!?どこに落ちてるんですか?・・・・・・ない!?・・・ちっくしょう・・・このクラスで一番のムッツリである小林くんにすでに盗られた後だってのかよ・・・ッ!」

「!?おい、なぜお前の居眠り事件に俺が巻き込まれるんだよ!というか盗るってどういう意味だ!」

「てか大瀬!お前、起こし方が最低だな!なんか僕が居眠りしたときよりも状況が悪化してる!」

「・・・・・・・・とりあえずお前ら3人は後で職員室にこい」

『・・・・・・・・・・』

 まぁ、なんというか僕の場合というかこのクラスの場合というか・・・魔法学の落ちこぼれどもが集まったクラスなのだ。

 もちろん、数学やら国語やらという教科もある。

 だがクラス分けはあくまで魔法学の成績で決める。

 本当なら様々な成績の人が均等に分けられるはずだけれど、魔法学の成績が2以下の人はまとめられるというわけです。はい。

 ようするに頭がよくても魔法学がダメならこのクラスにポイということ。

 先生は神様より残酷かもしれない。









「災難だったな、御門」

「本当だよ・・・大瀬には馬鹿にされるし、魔法学の授業はさっぱりわからないし、居眠りもできないし、おっぱいも盗られるし、先生に呼び出されるし・・・」

「まてまて、俺の空想上の罪を今日の災難という流れで羅列するな」

「ちなみに次は魔法学の実技だからさらに1つ増えることになる・・・」

 僕ら落ちこぼれクラスの9組。

 そのクラスにおいて魔法学の授業ほど苦痛なものなんてないのだ。

「体育館で魔法発動の練習だっけ?勘弁してよ・・・・・」

 ちなみにここらへんのセリフは他の授業の前でも言っているような気がする。

 要するにどの授業も嫌ということだ。

「でも魔法学ってことは女子もいるってことだろ・・・実技は人が多ければ多いほど、先生の注意が緩慢になる・・・だからあまり注意はされないはずだ」

「いや、大瀬。僕らはもうすでに1回怒られてるからあんまり意味がないような気がするよ」

「小林、お前は魔法学の成績どのぐらいだっけ?」

「2だ・・・・・・」

「そうか・・・・・」

「うん・・・・・・」

 改めてテンションの下がる3人。

 と、そこで何を思ったのか大瀬が声を張り上げて質問してきた。

「お、俺の成績はどれぐらいでしょうか!」

 テンションを上げようとしての質問だとしたら失敗以外のなにものでもないチョイスだ。

「んー・・・2?」

「じゃ、俺も2」

「・・・・・・・・・正解」

「・・・・・・・・」

「・・・・・・・・」

 というかこのクラス、2以下なのでだいたいの割合で2なんだけど・・・。

 というセリフは心にしまう。

 そういうわけで次の実技を頑張りますか・・・。

 

 

2作目です。


1作目との同時進行なので遅くなるかもしれませんがこちらもよろしくお願いします。


ではまた次回。

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