94話 仙道vs槙島
「えっと君達、もう暴れないよね」
「ああ、暴れないよ」
「うん私達、戦闘力低いし……てか、こんだけ拘束されたら暴れられないよぉ」
「ま、そうだよね」
そう話す仙道の目の前には、Sレアダンジョンアイテム、鉄縄でぐるぐる巻きにされた鶏鳴狗盗のメンバー2人がいた。
「うえーん、助けてぇよぉ首領ぉぉ」
「うるさいぞ綾女、泣くなよな」
「そっちこそうるさい、太一のくせに」
そう言って2人は喧嘩を始めてしまった。
「ちょっと喧嘩はやめて、まったく仲良くしなさい」
仙道はそう言って軽く2人を叱った。
仙道遥には、弟2人妹3人がおり、年下の子を叱るのには慣れている。
父と母は2人とも田舎でお米を仲良く育てており、小さい頃からそんな両親の手伝いを遥はしていて、弟妹の世話もする面倒見の良い子と地元では呼ばれていた。
「仲良く?いやいや絶対無理だよ」
「俺も無理だね」
そう言って2人は仙道の言うことを聞こうとしなかった。
2人とも年齢的には14〜15歳と言ったところで、仙道からしてみると弟妹達よりも少し下の代になる。
しかしそんな2人の姿がかつての弟妹とダブっていた。
「はぁ、まったく喧嘩はダメって言ってるのに……」
『グシャ』
「あれ……なんか、お腹が痛いな」
「あんまり僕の可愛い弟妹達をいじめないでもらえるかな?」
槙島は突然仙道の背後から現れ、手刀で腹を刺した。
「ゴフッ、ま、槙島……」
『ズシャ』
「やぁ仙道さん、まったくこんな中学生2人を捕えるなんて大人気ないね、君も」
槙島はそう言って仙道を鋭い目つきで凝視する。
「いやいや、流石に鶏鳴狗盗のメンバーで金鞭持ってたら拘束するよね」
仙道は刺された腹部を押さえながらそう話す。
「そうかい?僕はそんなことしないなぁ」
「首領!」
「やぁ、綾女それに太一も、まったくこんな低レベルなやつに捕まるなよなぁ」
槙島は仙道の感情を逆撫でするようにそう話した。
「低レベル?まさかそれ私の事言ってる?」
「まさかではないよ、普通にそう言ってるだけかな」
「なるほどね、なら殺すよあんた」
「やってみろって、この回復しかできない組合のマスコットが」
柴崎拓真曰く仙道遥に対して言ってはいけない事が2つあるらしい。
一つは容姿について。
仙道遥は、スタイルも良く顔も美人なのだが、本人はそれを言われるのをよく思っていない。
理由はどうせ顔だけとか、可愛いから優遇されているだとかを言われたくないからである。
仙道は、今まで欲しいものは己の努力で掴み取ってきた、学業も攻略者への切符も全て努力により獲得しており、そのためあいつは容姿だけなどと言われるのは大嫌いなのだ。
二つ目が、自身の能力の否定。
先述の通り、仙道には誰よりも頑張ってきたという自負がある。
そのためプライドが非常に高い、故にそのプライドを傷つけられるような事を言われると彼女は、ブチ切れるのだ。
「おいクソ島、てめぇあんまし調子乗ってんじゃねぇぞ、腹も刺しやがってこの野郎、アルティメットスキル発動、ハイヒーリング」
仙道はハイヒーリングを使用して、お腹を治した。
「あー、久々に頭きてるわぁ、いいわ本気で相手してやるよ、、来なさい白虎」
そうして仙道は巨大な白い虎を呼びよせた。
『どうした遥、また怪我人かい?』
「いや、怪我人じゃないかな、あいつを目の前にいる奴を倒したくてさ」
『ほう、わかったそれなら共に戦おうか』
白虎はそう話すと、槙島を睨みつけた。
SSSレアダンジョンアイテム白虎。
レベルは152相当で能力は鋼鉄化と治癒力である。
「へぇ、そんなもん持ってるんだ、これなら少しは楽しめそうだよ」
「だからさぁ、調子乗んなって言ってんだろアルティメットスキル発動、雷帝の撃雷!」
『ズドォン』
仙道は槙島へ向けて自身唯一の攻撃型のアルティメットスキルを発動し、そのまま槙島へ直撃し大きな爆発を起こした。




