85話 星宮の杖
『シュオオ』
神宮寺の欠損していた右足は不死鳥の能力により、急速に再生していた。
そんな神宮寺の様子を見て、名取はゆっくりと口を開く。
「そういえば、お前はいつだって聞き分けが悪かったよな倫也……いいぜ殺してやるよこの俺の手でお前を」
そう言って名取は星宮の杖を天高く掲げた。
星宮の杖にはアルタイル、ベガ、シリウスの3つの形態変化があり、その3つすべてに別々の固有スキルが搭載されている。
「第一形態、アルタイル」
名取がそう言うと星宮の杖は形を変え、真紅の長剣となった。
第一形態アルタイル、固有スキルは吸収。
「こっちは準備OKだ、さぁ始めようか倫也」
「ああ、始めようぜ兄貴!神皇炎、神炎豪拳」
そう言って神宮寺は名取へと殴りかかった。
神宮寺はその際、走るのではなく両足から炎を噴射し加速しながら名取へと向かっていった。
『ゴウッ』
そうして神宮寺の拳と名取の剣は激しくぶつかり合った。
「硬てぇなぁ、でも硬いだけなら押し切れるぜ」
「硬いだけ?そんなわけないだろ、アルタイル」
『ギュオオ』
名取がそう言うとアルタイルは神宮寺の炎を吸収し始めた。
「なっ、そういう能力だったなそういえば」
神宮寺は名取と2年ほどペアで攻略者活動をしており、その際に何度かアルタイルを見ていたが、その能力のことをすっかり忘れていた。
「覚えていないのか、相変わらず馬鹿なんだな」
「うっせぇ、でも思い出したぜその剣、なんでも吸収しちまうんだよな」
「さぁどうかな?てか聞かれて、はいそうですなんて答えるわけないだろ」
名取がそう言うと、神宮寺の炎はすべてアルタイルに吸収されてしまった。
「あ、思い出したこの剣って吸収した力をそのまま自分の力に還元できるんだった」
「思い出したみたいだけど、もう遅いよアルタイルよ神炎を纏え」
『ゴウッ』
そうしてアルタイル神炎を纏った。
「やべぇなこれ」
神宮寺は自身の炎を纏うアルタイルを見てそう呟いた。
「自分の炎で焼かれたことはあるかい?」
「いや、まだねぇな」
「そうか、なら今からそれを学べるな、喰らえ神炎業火!」
『ブワッ』
そうして神宮寺は自身の技である神炎業火をまともに受ける。
しかし神宮寺は無傷だった。
「……まぁわかっていたけど、そうだよな効かないよな」
名取はそう言って呆れた顔でため息を吐いた。
「ああ、効かねぇよ流石にな、てかわかっていただろこんな事」
「まぁ、試しておきたかったんだ、正直言って俺の勝ち筋は少ないからな、なら色々試すだろ」
そう言って名取は真剣な眼差しで神宮寺を見た。
「おいおいその顔、昔の……攻略者の頃のあんたの顔に戻ってるぜ」
「ふっおもしろいなそれ、なら俺の根っこは攻略者なのかもな」
両者はそう話し笑い合った。
まるで昔のように、そう何者でなかった幼少期のように。




