83話 名取と神宮寺②
「麗奈、黎人を連れてここから離脱してくれないか?」
黎人に寄り添う麗奈に名取は優しくそう伝えた。
「え、でも名取さん1人になっちゃうよ、私も戦うよ」
「いや麗奈、私は1人で大丈夫だから、早く黎人を頼む」
「で、でも名取さんを1人にするわけには行かないよ!」
麗奈はそう強めに返答した。
「おい何回言わせるんだ、言う事を聞けよこのクソアマ!!」
「え?」
名取がそう少し強めに言うと麗奈は固まってしまった。
「あ、麗奈今のは違うんだ、あれはその……」
「い、いやごめんね、行くから……すぐ行くから」
麗奈は涙を堪えてそう言った。
「いやいや待てよ女、お前は消し炭コースってさっき言ったよな」
「え?」
黎人を連れて逃げようとする麗奈の前に神宮寺が立ち塞がる。
「おい神宮寺、待てよその子には手を出すなって、頼むよ」
名取は取り乱し神宮寺にそう懇願する。
だが名取は言葉だけで止めに入ろうとはしなかった。
そうまるで神宮寺に早く麗奈を殺せと仕向けているようにすら感じる流れ、神宮寺も薄らとその空気を感じている。
「おいおい、さっきも言ったろ名取さん、これは命のやり取りなんだよ」
『ガシッ』
神宮寺をそうして麗奈の頭を掴んだ。
「い、いややめてよ」
「あばよ」
『ドスッ』
そうして神宮寺は麗奈の腹を炎を纏わずに殴り失神させた。
「へぇ使わないんだ炎」
「なんだろうな、勘だけどこの子は燃やしちゃいけない気がしたんだ」
「そうかい、俺としてはその子は別にどうでもいいから燃やしても良かったのになぁ」
そう言って名取は不気味に笑った。
「この麗奈って子とあんたの関係は今はどうでいい、俺はあんたの本心を知りたいよ兄貴」
そう言って神宮寺は名取の方へと向き直す。
「本心?そんなもんないだろお互いに、何もない同士の俺たちだったろ、小さい時からさ」
「そうかもな」
神宮寺と名取、そして若織、この3人は同じ施設で育った孤児である。
お互いに親に捨てられた者同士、そんな3人の絆はとても深かった。
「倫也、もう俺は攻略者じゃないしお前の兄貴でもない、ただの略奪者なんだそれを認めてくれ」
「嫌だね、俺が目指した攻略者はあんたなんだ、だから俺はあんたを諦めない」
『ゴウッ』
そう話すと神宮寺の炎はさらに強くなる。




